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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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相談したからといって問題が解決する訳ではない

 トレーニングジムとは自分を高め、限界を超え新しい自分という扉を己の肉体で切り開く場所である。その思いでトレーニングをしている人は本当にすごいと思うし尊敬する。


 ダンジョンや異世界に出会いを求める人達もいるのだから、ジムに出会いを求めるのもまた一興ではなかろうか。


 社会生活を行う上で人との繋がりは切っても切れないものであり、趣味が講じて良き関係に近づくことも1つの巡り合わせだと言える。


 そんな俺も出会いを求めてジムの門を叩くひとりだ。





 「翔馬(しょうま)くんお疲れ様! いい追い込みだったよ。しっかりとクールダウンしようか」


 そう声を掛けてくれたのは、俺の憧れブランさん。日本人なのに何故か初めて会った時から「ブランと呼んでくれ!」と言ってきた。そして何故かネームプレートもブランで通ってる。


 筋骨隆々というか、もしかしたら目の前にいる人は山なのでは? と思うほどデカい。それでいてめちゃくちゃ優しくて穏やかな性格。


 高校に入学して一人暮らしを初めてから、生活の知識や学校での事など、それはもう色々と相談に乗ってもらっている。


 「わかりました! あっブランさんちょっと相談が」

 「ん、なんだい? クールダウンしながらでいいなら聞くよ」


 そう言って俺とブランさんは壁際のストレッチエリアへと向かった。


 「えーとですね。俺がこのジムに入るキッカケって覚えてます?」

 「覚えてるよ。あんな情熱的な告白をされたのは初めてだったからねぇ」


 「いや告白って、違いますから! あとここ公共の場ですって」

 「ハハハッ! つれないなぁ翔馬くんは」


 前から思ってたけど、ブランさんってソッチの趣味なのか? 確かに以前から俺を見る目が怪しかったが。


 「いやいや失礼……でもあれは衝撃的だったよ『俺! 初めて見た時から憧れてました。あなたみたいになりたいです! マッチョになってモテたいです! ぜひ弟子にして下さい』って言うんだもん」


 確かに告白みたいだったけども。


 それはいいとして本題だ。俺はブランさんの顔に近づいてこっそり耳元で話す。


 「実はですねぇ。俺、彼女ができたんですよ」

 「……エッ!?」


 「いや〜ブランさんのお陰ですよ。まぁちょっとややこしい関係なんですが、付き合う事になったんですよ」

 「……えっ!? 本当かい?」


 ブランさんの顔を見ると、顔が青白くなってダラダラと冷や汗をかいている。


 「ブランさん? 大丈夫ですか?」


 この人やっぱりソッチの趣味が?



 「あぁ、すまない大丈夫だ。ちなみに相手の子はその……同じ学校の子かい?」

 「はい、同級生の子ですね」


 「ハハ、そうかそうか」


 ブランさんの顔色が見る見る悪くなる。


 「本当に大丈夫ですか? ブランさん」


 そう声をかけると。


 「すまない翔馬くん! 急に仕事を思い出した。あとは君一人で大丈夫だね? しっかりクールダウンするんだよ」


 早口で言い終わると、砲弾の如きスピードでその場を走り去ってゆく。


 「どうか勘違いでありますように!」


 手のひらを合わせて祈るしかない。あと、結局肝心な事は相談できなかった。

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