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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第二章 関係構築編
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歌う黒髪

 俺と睦希はこの休日を利用して歌の練習をすることにした。文化祭に向けて少しでも感が鈍らないようにする為だ。

 という訳で、またまたカラオケで歌っている。しかし、前回と違う点は本日は同居メンバー勢揃いという事。


 「睦希、めちゃくちゃ上手いじゃんッ」

 「ですッです!」


 ソフィアと葉月に褒められて睦希はニコニコしている。なぜ彼女達が来たのかと言うと、睦希を励ます為と、自分達も歌いたいとの要望があったのだ。


(後半の方が本音な気がするが……)


 「ちょっとトイレ行ってくるー」

 「おう、行ってらー」


 俺は出口付近に座っていたから睦希が通りやすい様に体を縮めたのだが……


 ムニ……


 「ふぐぅ……」

 「ごめんあそばぜー」


 睦希の柔らかいお尻が俺の顔に当たる。


 「お前……わざとだろ」

 「ふふふ……」


 睦希はイタズラな笑みを見せると、そのまま出ていった。


 「なるほどその手が……翔馬! 私もトイレに」

 「会長は漏らして下さい」

 「辛辣ッ! 私の扱いが酷い。だがそこがいい」

 「ブレないわねぇさつきちゃんは、あら? 次は私の番ね」


 そして弥生さんはスッと立ち上がりお立ち台の方へ歩いていく。


(なにげに皆の歌を聞くのは初めてだなぁ。弥生さんは何を歌うんだろう?)


 髪を前に垂らして俯く弥生さん、そしておもむろに靴を脱ぎ出した。お立ち台は別に土足禁止ではないのだが。そして前奏が始まると……


 「てめぇら準備はいいか、コノヤロォォォォ」

 「「「「!!?」」」」


 アーティスト

 マキシマム○ホルモン

 曲名

 絶望○リー

 ………………

 …………

 ……


 曲が終わるまで俺達は、絶望していた……

 この瞬間皆が思った事は1つ。

『 弥生さんには逆らわない』


 「しっかし睦希のヤツ遅いな、ちょっくら見てくるか」

 「いってら〜」

 「おう、いってき〜」


 曲が終わるまで帰って来なかったので体調でも崩したかと少し心配になり、女性用トイレの近くまで歩いていく。すると……


 「なぁ……姉ちゃん、いいだろ?」

 「やめてくださいッ」

 「ふひひひ、こんな格好で1人でいるなんて、誘ってんだろ?」

 「違いますッ連れが居ますからッ」

 「じゃあその連れも一緒にどうよ? 楽しくしようや」


 まぁ、こんだけ遅いとそっちの心配もあったか。今までは女子達に圧倒されて来たから鈍ってたが、彼女たちは女性なのだ。だったら俺がとる行動は1つだけだ。


 「おい、人の彼女に手ぇ出してんじゃねぇぞ?」


 「あ?」

 「なんだ、てめぇ?」

 「ちんちくりんの癖にこの女の彼氏?」

 「「「あははははは」」」


 まぁそうなるよな。なんで俺の周りの女性陣は俺の事が好きなのだろう?俺から見ても外見で言ったら彼らの方がイケてる。


 「残念な事に、このちんちくりんの俺の彼女なんだな。それでお前らはちんちくりんに負けた負け犬って訳だ」


 俺の安い挑発に案の定3人組は怒り心頭。


 「てめぇ、調子乗ってんじゃねぇぞコラッ」


 やっぱり女性1人に複数人で声をかけるのはチキンのやることだよなぁ。その点、睦希やソフィア達はすげーと思う。周りにライバルがいるのにアタックし続けるんだからな。


 ガンッ


 「いって……」

 「ッ!翔馬……」

 「大丈夫だ。手を出すなよ」


 俺は睦希を庇いつつ、3人組の攻撃を受けていた。


(あ〜あ、また怪我の治りが遅くなるなぁ。でも、睦希が無事ならいっか)


 「お客様ッ」


 「ちっ……行くぞ」


 丁度いいタイミングで店員がやってきたので、3人組は俺達から離れて逃げていった。


 「翔馬……」


 睦希は泣きそうな顔になりながら、俺の目線までしゃがんでいる。


 「大丈夫だって、普段お前達から鍛えられてるから」

 「そういう……問題じゃない」


 睦希は顔を俺の胸に押し付けて泣き出した。


 「悪かっまたな、早く来れなくて。何もされてないか?」

 「うん……ぐす……大丈夫。何もされてない」


 結局その後、俺は店員が呼んでくれた警察官に事情を聞かれた。そして、ご丁寧に連中は身分証を出して来店していたのと、料金を払わずに退店したので俺への暴行と料金の踏み倒しの両方で制裁を食らうだろう。


 「しかし、最近の防犯カメラはスゲーな」

 「ショーマが出ていって遅いと思ったらそんな事になってたなんて……」

 「ごめんなさい。ノリノリで『 ぶっ生○返す』歌っていたわ」


 どうやら俺らがいない間に弥生さんのオンパレードだった模様。


 「あははははッ! 弥生さんマジ最高だな。今度また聞かせてくれよ? な、睦希」

 「……うん、今度聞かせてね弥生さん」

 「もちろんよ、睦希ちゃん」

 「弥生お姉ちゃんの歌はテンション上がります! そして睦希お姉ちゃんの歌は心が洗われるような感覚ですッ!」


 葉月は睦希を励まそうと健気に頑張っている。こういった気配りが出来るのは、葉月のいい所で後輩ながらに見習わなければと思う。


 「翔馬、帰ってから話がある」

 「服を着てるなら聞きます」

 「半裸で手を打とう」

 「譲歩してねぇじゃん……」


 幸いにも俺は打撲と擦り傷ですんだから良かったが、警察の人が病院の診断書等のアドバイスをくれたのでそれに従おうと思う。


 「さぁて、今日は皆で焼肉にでも行くか」

 「おぉ!やっきにく〜♪やっきにく〜」

 「弥生お姉ちゃん、フードファイトしましょー」

 「あらあらいいわねぇ〜」

 「睦希は私に、スモフェニの事を教えてくれ」

 「ッ! 会長も好きなの?」

 「ふふふっ……これを見よ」


 そういって、会長は財布から1枚のカードを取り出した。


 「……こ、これはッ!」

 「スモフェニ公式ファンクラブ『不死鳥の再誕』会員番号006」

 「まさか……1桁の人がいるなんて」


 その後は、みんな仲良く焼肉を食べまくり話に花を咲かせながら帰り道を仲良く歩いて帰った。

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