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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第二章 関係構築編
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おはようとおやすみ

 人はいつ恋に落ちるのか……それは本人にしかわからない。きっかけがあったかもしれないし、自然と目で追うようになったかもしれない。気がつけば相手の事を考え、相手と同じ行動をし、相手と同じ空間で過ごしたいと思うようになる。


 そしていつしかその気持ちに気づくだろう。抑えきれない気持ちが加速し、一緒にいたいと強く思う。誰にも渡したくないと独占欲が出て……できるなら同じ思いを相手にも持って欲しいというは自分のエゴなのか。




『相思相愛』

 相手を思い、相手を愛する。

 相手に思われ、相手に愛される。

 相の手、最愛の手。

 この思いを一人の手に。





◆◆◆◆◆


 時刻は早朝。鳥たちがまだ目を覚ます少し前、窓には薄く青い光が見える。そしてゆっくりと顔を正面に戻すと、今度は銀色のカーテンの中に入る。そこは暖かな風と甘い香りが心地よくいつまでも堪能出来てしまうほどの空間。薄らと湿った淡いブルーの瞳がコチラを覗く。視線を下げればプルンとしたピンクの唇。息をするのも忘れるほどその光景は美しい。



「…………ソフィアさん」

「……はい」

「質問をしてもよろしいか?」

「……結婚?」

「……質問」

「……接吻?」

「……クエスチョン」

「……ディープキス?」

「……」

「……んっ」


 んチュッ……


 ソフィアさんは朝の目覚めが早すぎると俺は思う。目覚めっていうのは早起きの事だと思っているだろう?だがそうじゃない。性欲の目覚めだ!ここ最近……睦希が一緒に住むようになってからは《《毎朝》》こうなのだ。


「……ん……はぁはぁ……しょ〜ま〜」

「……ソ、んぐ……ぷは、ソフィちょっとま……」

「ちゅば……んっ」


 ビクンと体を仰け反らせながらソフィアは俺に抱きつくようにして俺の横に顔をうずめる。一気に銀色のカーテンが視界を塞ぐ。その柔らかなカーテンはどこも不快ではなく、むしろもっと堪能したいくらい。そうしていると現実世界に戻ってきた淡いブルーの瞳が俺を見つめてくる。


「……話ってな〜に?」

「はぁ……なんで朝早くから居るのか聞こうと思ったが……どうでもよくなった。おはようソフィ」

「うん!おはようショーマ、ステキな目覚めをありがとう」

「俺はいっつも怖……いや……」

「ん?」


 初めの頃はソフィアが侵入してくる度に恐怖していたが、今ではそれを受け入れている。もっと言えば《《俺が》》求めているのかもしれない。頭ではわかっているが口に出すのは恥ずかしいとやはり思う。


そんな俺を見て可愛らしく首を傾げているソフィア。時期は夏前だが早朝は少し肌寒く、ソフィアはピンクのキャミソールに薄いカーディガンを羽織っている。下はトレーニングジムで着ていくようなピッチリとした黒のスパッツ。そんな彼女を見て興奮しないわけが無い。


「寒いだろ……入るか?」

「うんッ!」


 俺は彼女を布団に入れるためベッドから少しズレて布団をめくる。元気のいいウサギみたいに飛び跳ねて、彼女がスルリとスリムな体を忍ばせてスリスリと俺の体に擦り寄る。


「えっへへ〜ショーマの体あったかーい」

「……そうかい、そりゃ良かったよ。もう少し寝てろよな……起こしてやるから」

「……おやすみのキスして」

「まったく……わがままロシアンガールだな」

「ショーマから……してほしい」

「はぁ……わかったよ。ただし一回だけな」

「うん……して」


 俺はソフィアを横に抱き顔を近づける。ピンクの唇に目を向けると甘い息が蒸気していた。そして汗で頬にしっとりと張り付く銀色のカーテンを開け淡い朝焼けを取り込むように二つの唇を近づける。


「あっ……」


 その声は今まで聞いた中で最も艶やかで愛に飢えている音色だった。……その響きの元へと自分の唇を重ねにいく。見据える瞳は青と黒。この瞬間を逃すまいと見開かれていた青い宝石は、やがて訪れる温もりにキラリと輝きその瞳は自然と闇に沈んでゆく。されどもその闇は包み込むような暖かさ。彼女の閉じた宝箱から溢れたその闇の欠片を、俺はそっと手にとり微笑む。


「おやすみ……ソフィア」


 ……………………

 ………………

 …………


(月曜日ってのはいつも憂鬱な気分だったんだが……最近じゃあソフィのおかげで)


 銀色に彩られた俺の枕に天使が顔を覗かせている。その天使は穏やかな表情で夢の世界を旅しているのだろう。それを見て俺も安心して、同じ夢が見られればいいなと願い、闇の中へと身を落とす。


「おやすみ……ショーマ」


 その声は彼女のものか……それとも俺が創り出した幻想か。今の俺にはもうわからない



 ただ……こういった朝も悪くないなと、まどろみの渦の中で口に出し、そのまま夢幻の渦の中へと誘われていくのであった



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