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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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閑話 女子?会をしよう!

 喫茶店『オーシャンレイン』


 今日この場所はある肉食獣達の集会の場として提供されていた。もちろん貸切である。


 「あらぁ〜! 今日は皆ありがとう〜ウチの店を使ってくれるのは凄く助かるわ!」


 いつもよりテンションが高いこの店の怪物。オカマママが近くにいたソフィアに話しかける。


 「オカマママ! 今日はありがとう!」

 「オカマママさん、今日も素敵です」

 「オカマママ殿、今度その服のデザインを」

 「オカマママ、今日は私の奢りだから」

 「お、おか……オカマ、オカマママさん初めまして、睦希です」


 そしてこの場には俺はいない。今日は五人で集まって重要な話し合いをするとの事だ。


 「ゆっくり楽しんでね! お料理はお任せでいいかしら?」


 怪物は皆に向かってウインクしている。この光景に違和感を覚えているのは睦希だけだが……


 「はい! オカマママさんの料理凄く美味しいので楽しみです」

 「ソフィアちゃんはホントにいい子ね! サービスでボルシチを作ってあげるわ」

 「ヤッター! オカマママ大好きー」


 それから怪物はフリフリの黒のドレスを豪快に揺らしながら颯爽と厨房へと消えていった。


 「あ、あの人が噂の……オカマママさん。ご、ゴージャスで豪快な人ね……」

 「睦希〜なかなか見る目あるわね!でもあの人、見かけはアレだけど料理は抜群に美味しいわよ!」


 ソフィアが補足説明をする。そして葉月もアシスト。


 「ですです! いままで食べてきたお店でトップに入るくらい美味しいです!」


 会長もすかさず援護。


 「昔、初めて翔馬に誘われて来たことがあるんだが、あの時食べたパンが絶品でな!是非皇家の料理人にと父上が打診してたくらいだぞ!」

 「へ、へぇ……それほど凄いんですか」


 そして弥生さんが爆弾発言。


 「店長は昔パン職人だったのよ? そして奥さんと結婚して喫茶店を始めたのよ」




 「「「「ふぁい!?」」」」




 「え! オカマママ結婚してんの?」

 「ビックリデスッ」

 「私も初耳だ」

 「人は見かけによらないわね……」


 弥生さんが得意げにさらに追撃。


 「娘さん達はすっごくラブリーよ!」


 天を仰ぐソフィア


 「おぉ神よ……」


 そして話は本題へ入る。


 「あの……それでソフィアお姉ちゃん、今日皆で集まったのはなんでです?」

 「そうね、その話が先だったわね……オカマママの過去話で忘れるところだったわ」



 ソフィアは一つ咳払いをし手を顎に当てて話始める。


 「最近、人数が増えてきたと思うのよ」

 「……人数?」


 葉月がはてなマークを頭に浮かべながら繰り返す。


 「えぇそうよ」

 「ソフィアよ、人数というのは翔馬の周りのって事であってるか?」

 「その通りよ会長」

 「あ〜なるほど〜」

 「「?」」


 会長と弥生さんはピンと来たらしくうなずいている。睦希と葉月は未だにクエスチョン。そんな中ソフィアが再度話始める。


 「いい二人とも。人数が多くなったという事は、ショーマと二人きりの時間が減るって事なのッ!」

 「「ガーンッ」」


 二人は効果音が出そうな勢いで驚く。対して年長組はしたり顔で頷いている。


 「た、確かに……最近全然二人きりになれていないような」

 「そ、そうね。私はまだ日が浅いからわからなかったけど、考えてみればいつも誰かと一緒にいるわね」


 お水をぐびぐび飲みながら冷静さを取り戻そうとする二人。


 「してソフィアよ、今回の話し合いというのは……」

 「さすが会長……いい勘をしてるわね」

 「お姉さんも、なんとなくわかったわ」


 三人の雰囲気は刑事ドラマでありそうな深刻な会議をしている様。ここ喫茶店なんですけどね!そしてゴクリと唾を飲み、グラスの水滴がコースターに染み込む。ゆっくりとソフィアが口を開く間の静寂が辺りを包み込む。



 「……ショーマとのイチャイチャ時間を作りたいのよ」

 


 ソフィアの言葉を聞いて、それぞれがゆっくりと脳内でイチャイチャ時間について処理していく。


 内容は以下


 葉月

(確かに……お姉ちゃん達と過ごすのも楽しいけど……先輩と二人きりで拘束プレイ)


 睦希

(む、昔みたいに二人きりで遊んだらきっともっと楽しいはず。あ、あわよくば……あわわ)


 弥生

(私は家とバイト先だけだものねえ……学校で四人が一緒なのは確かに……それにもっと……大人の……)


 さつき

(ふむ! 二人になったら全裸運動……)


 会長は無視して良し。


 およそ三分の間、厨房の怪物の鼻歌だけが店内に響きわたる。包丁のリズムに合わせてラップまで始める、妙に上手いのがムカつく……


 「……それで、皆はどう思った?」


 ソフィアが口を開き皆からの回答を待っている。


 「わ、私も……欲しいです」

 「そうね。昔みたいに一緒に遊びたいわ」

 「大人のデートを教えてあげたいわね」

 「ふむ! 私は全裸……」

 「会長は黙ってて!」

 「……はい」


 会長めっちゃ落ち込んでるよ?ソフィアさんそれは酷いよ! あっ……そうでもないみたい、下半身をモジモジさせながら喜んでる。


 「それで提案なんだけど……」

 「はい……」

 「ゴクリッ」

 「……あらあらさつきちゃん」

 「……トイレに」

 「会長は正座」

 「……はい」


 「話を戻すけど……ショーマの事を一週間交代でシェアしていかない?」


 もしもーし、本人がいない所で何言ってんの?俺に拒否権は?ちょっと、聞いてる?もしもーし………………


 「シェア……」

 「一週間……」

 「……ステキな提案ね」

 「あの……ト」

 キッ

 「……はい」


 「具体的にはどうするのかしら?」


 弥生さんが内容を聞いてくる。たしかに今の一言だけでは説明が足りてない。


 「具体的には月曜日に始まって日曜日までを私達の内の一人が独占するの!朝も夜も」

 「朝も」

 「夜も」

 「独占」

 「……」


 会長はもうダメだ……諦めよう


 「正確には束縛って形じゃなくて朝一緒に起きて、登校して……一緒に帰って、お出かけして……弥生さんの場合は少し違うと思うけど……まぁそんな感じ」

 「魅力的ですッ」

 「お、お風呂も一緒……よね?」

 「当然ッ!」


 ニコッと笑うソフィア


 「まぁその間、誰とも喋っちゃダメってのは可哀想だから、極力二人きりの時間を作るっていう認識でいこうと思うのよ」

 「なるほど〜確かに家事とかしてたら必要最低限は話さなくちゃいけないわね」

 「そゆこと〜」


 ソフィアの提案にみんな納得している様子。一名は気絶する寸前だが……


 「そして弥生さんには、私達以上に頑張ってもらおうと思ってるの」

 「えっ? 私?」


 急に話を振られて弥生さんは驚いている。


 「えぇ、だって弥生さん。お昼はショーマに会えないから……会える時間を極力増やしてあげたいのよ。だから三人共、弥生さんの時はなるべく二人の邪魔をしちゃダメよ?」

 「ですですッ! いっぱい甘えて下さい」

 「弥生さんもその時はもっと翔馬に頼ってもいいと思うわ!彼はちゃんとわかってくれるから」

 「……」


 会長はホントにダメみたいだ……


 「……みんな……うん、お言葉に甘えるわね」

(彼女達は心が綺麗なんだろうな。だからしょうくんに惚れて……しょうくんも彼女達を見捨てなかった……私も……)



 コトリッ

 弥生さんが感傷に浸っているとテーブルに料理が置かれてゆく。オカマママはこう見えて空気の読めるオカマだ。


 「ステキな子達ね、やよちゃん」


 弥生さんに微笑みながら優しい言葉を残し、去っていく。その後ろ姿はまるで大黒柱のように逞しくかっこよく見えた。…………会長を背負ってさえいなければ



 こうしてソフィア発案の女子?会はその後も色々な取り決めをして賑やかに過ぎていく。そして困った事があったらこの喫茶店に集まるというのが彼女達の間での暗黙の了解になっていくのであった。





 喫茶店『オーシャンレイン』


 喜びも悲しみも全ての雨が集まる場所

 愛が渦巻く大海原へと至るための彼女達の楽園



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