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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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閑話 裸のフェスティバル②

 

 あれから数日が経ち、なんとか自分なりのプレゼントを用意した。本題は、いつ会長へプレゼントを渡すか。


(会長が俺の家に住む事になるのはいいんだが……その前に謝りたいなぁ)


 皇家での衝撃的な事は過去のものとして考えておこう。

 そして俺は今、思考の渦へと消えるため至高の渦の中にいる。



 カポンッ

 「たっはぁ〜気持ちいい〜」


 気の抜けた声が反響する、こればかりは仕方ない。至福の時間を味わってるのだ。最近は少しずつではあるが腕も動かせるようになり、リハビリと称して一人での入浴を提案している。


(今日はあいつら、やけに素直だったなぁ)


 いつもなら力づくでお風呂に突入してくるのに今日は皆おとなしかった。


(まぁそんな日もあるか……)


 考えが煮詰まった時は温泉に限る。この時ばかりは家を譲ってくれた祖父母に感謝だな。


 「しかし、あのプレゼントで会長が喜ぶかどうか……」


 ぷかぷかと浮かぶアヒルを眺めながら最近の疲れが出てきたのか、コクリコクリと船を漕ぎはじめる。

 そのまま、お風呂の縁に寄りかかり目を閉じてしまった……思考の波とお風呂の波に揺られながら。


 「ぐぅ……ぐぅ」




 カラカラ……


(……薬が効いてきたみたいね)


 まるで忍びのような気配遮断で中に入ってきた人物は……アサシンソフィア


 そして訓練された兵士のような手信号で外にいる仲間に合図を送る。

 さらには無線機を使って指示を飛ばす。


(こちらコード02ボルシチ、オールクリア!対象沈黙……GO)

 ビシッバシッ


(こちらコード08リーフムーン。了解!……突撃、捕縛結界発動!)

 バシュッガシッ


(こちらコード03ヒミコ!……対象の輸送を開始!)ヒミコ?

 ウィーンッズダダダ


(こ、こちらコード01……シ、シックスレール……た、対象の裸を見ちゃったッ!意外と、お……じゃなくて、会場の準備完了!)


 その後、四人は集合し着替え始める。そして俺も着替えさせられていた。(意識ないけど)

 そして、そこにはもう一人の人物が王様よろしく鎮座していた。


 「ふむ……呼ばれて来てみればこれは一体?」

 「まぁまぁ、ゆっくりしてくださいよ!」

 「そ、そうですよ会長!今日は祭りです」


 ソフィアと葉月はノリノリで、準備を進めている。

 当の本人……会長は訳がわからず言われるがまま椅子に座っている。


 「なんで私まで……まぁノリでOKしちゃったけど……恥ずかしいよぉぉぉ」

 「まぁまぁむっちゃん!乗りかかった船じゃない!楽しみましょう」


 弥生さんも目がキラキラしている。祭りの内容を知っているからだろう、凄く楽しそうである。

 睦希は逆に恥ずかしそうにモジモジしていた。

 意識が朦朧としながらも、周りのやかましさに徐々に覚醒していく。

 そして俺は……縛られていた。

 それも目隠しと猿ぐつわを嵌められて


 「あぅぃお……ぅぅんぉぉぉぉ」

(葉月の仕業だろぉぉぉぉ)


 「ショーマ聞こえないわ、ハッキリ喋りなさい」

 「んふふふあぇ、えぇあろぅ」

(喋れるわけ、ねぇだろぅ)


 じたばたフガフガする俺を見て皆クスクス笑っている。そんな俺は今更ながら肌寒さに震える。


(あれ?俺、服きてなくね?)


 いや感覚としては下半身はなんとか守られている。しかし上半身はオープンだ。

 そして縄が地味に体にくい込み痛い。そんな俺を他所に周りは盛り上がっている。


 「さぁ!じゃんじゃん運びましょ!」

 「おー」

 「むっちゃんこれお願い」

 「分かりました弥生さん」

 「ふむ!では私も」

 「「「「会長は動かない」」」」

 しゅんとする会長


 あれ?いま会長の声が。俺はここでようやく会長が居ることに気づく。


 「あいぉ?」

(会長?)

 「ふむ私だ!なにかソフィア達に呼ばれてな!翔馬が危ないと聞かされて急いで来てみたんだが……杞憂だったようだな!ははっ!」


(めちゃくちゃピンチなんですけど?何が杞憂だよ!ヤバいじゃんこの状況?会長馬鹿なの?)


 「失敬な!馬鹿ではない!変態なだけだッ」


(もう……エスパーじゃん)


 「私もなんで呼ばれたかわからんのだが、楽しそうだからそのままにしている」


 会長はもう諦めたと言う感じで足を組んで寛いでいる。


 「会長も早く着替えてください!始めますよ!」

 「うむ、よくわからんがわかった!」


 衣擦れの音がする。それもあちこちから……

 俺はその音が地獄への鎮魂歌なのでは?と思うほど冷や汗をかいていた……


(ヤバい!ヤバい!!これは……俺の貞操が危ない!)


 今世紀最大の危機的状況だ……長年の(約二ヶ月の)俺の感が逃げろと言っている。

 当然物理的に縛られているから無理なのだが……そして


 「みんなー準備はいい?」

 「「「「おぉ!!」」」」


 ソフィアの合図に周りが盛り上がる。


 「それではミュージックスタートッ」


 掛け声と共にけたたましい音楽が流れ出す。そして俺の目隠しも取り払われる。


 そこで見た光景は…………まさに




 カーニバルだった……


 きらびやかな照明

 卓上に並ぶ豪華な食事

 鳴り響く音楽

 愉快なリズム

 踊る女の子

 楽しそうな笑い声


 ここまではいい!こ・こ・ま・で・は!!

 だが、その女の子達は……



 …………下着姿なのだ!!



 「んいあえんおッッッッッ!!!」

(何やってんのッッッッッ!!!)


 「会長の誕生日会よぉぉ!ひゃっふー」

 「リオのカーニバルをイメージしてみました!やっはー」


 ソフィアと葉月は踊り狂っている。


 「このフィット感癖になりそうね〜ふふふふっ」

 「や、弥生さん〜やっぱり恥ずかしいよ〜」


 弥生さんはキャラが崩壊している……睦希はまだ恥じらっているようだが……しっかりと下着姿だ。


 「あははははははッ!皆の者よくぞその境地に至った!私は感動しているッ」


 会長は……手遅れで、もうダメだ……今日の主役とタスキを巻きながら泣いていた。

 そして会長の後ろには


『皇さつき生誕祭!〜裸とはだかでつつきあい♡〜』


 俺はもう泣きそうだよ……助けてパパママ……



 それを見せつけられている俺は一体どうしたらいい……目を瞑ればいいって?そんなことソフィア達が許すわけないだろぅ?

 今も俺の目をテープで吊り上げて固定している。


 ぐすんっ……

 何だか涙が出ちゃう、だって皆が変態なんだもん!


 「ショーマ!これは会長へのサプライズよ!」

 俺にはヘルサイズなんだが?


 ソフィアは白にピンクのレースがあしらわれている下着を身につけていた。雪のような白肌にピンクレースのアクセントが似合っている。おへその下にある可愛らしいリボンが印象的だ。

 そして、背中から羽を生やしていた……パンツにはチアリーダーが持つようなボンボンの小型バージョンが横で揺れている。


 「です!見てくださいこの葉っぱ、かわいいですよねぇ」

 うん、葉月さんは葉っ○隊の人かな?


 葉月さんは……葉月さんは……葉っぱを着けていた。

 これ以上の説明はない……いや一つだけ……月の形をしたサングラスがペカペカ光っていた。


 「しょうくん!私のこの情熱的な踊りはどう?」

 弥生さんは……弥生さんは……燃えていた。


 いや現実ではないんだけど、真っ赤な下着姿で体に炎のペイントを施し、手には赤のサイリウムを持っていた。そして顔には般若のお面をつけている。

 正直、一番怖い……


 「は、恥ずかしいよ〜」

 そんな言葉とは裏腹に睦希が一番ノリノリだった。


 なんというか……女王様だった。ソフィアが以前着けていた蝶サングラスとムチを手にしている。そして彼女の下着は黒一色のボンテージを纏っている。

 ソフィアとバトンタッチでもしたのかと思う程、それは様になっていてとても楽しそう。



 「皆〜ありがとう!こんなに楽しい誕生日会は初めてだぁぁ」

 涙を流しながら喜ぶ会長……うん、わかってたよ、どうしようも無いことくらい。


 はい!全裸です!

 それはもう産まれたままの姿。一糸まとわぬビーナス。スラリとしたおみ足、流れるような黒髪、はりのある果実、プリンッとしたプリン、そして滝のような涙。


 この光景に言葉など不要なのかもしれない。

 俺は意識を境界の向こう側に飛ばそうと思ったが……膝の上に暖かな温もりが二つ並ぶ。


 「ッ!しらたま……ぜんざい……お前たち」


 俺が一人の時も苦楽を共にし、一緒に飯を食い、風呂に入り、共に泣き笑い、確かな絆を育んできた二匹は暖かな温もりで俺を癒してくれる。


 「あぁ……やはりお前たちは最高のパートナーだ」


 ゆっくりと、振り返るしらたまぜんざい。


 二匹の顔には……ペカペカ光るサングラスがついていた……そして口の周りには、ち○〜るの跡がべっとりと。


 「餌付けされてんじゃん!!!」


 二匹は俺にサムズアップをするように片足をあげて、足早にソフィア達の元へ戻って行った。


 「その後の祭りが、どうなったかって?そりゃあ楽しんださ!主に女子達はな!」

 俺の唇は獣達の餌食にされ、体は弄ばれ、睦希は興奮し、葉月はカメラを携え、ソフィアまで脱ぎだし、弥生さんも脱ぎだし、会長はそのまま……その後たっぷりと四時間楽しんださ!


 俺か?ふんっ……縛られたままさッ!


 だが彼女達にもまだ理性はあった。幸いなことに俺の貞操は無事だった……貞操はな……後は、察してくれ。

 じゃあ!もう寝る、おやすみ……





 後日談

 祭りのあと、情景もへったくれもなく俺は会長に謝ってプレゼントを渡した。

 中身は、エメラルドがあしらわれたネックレスだ。

 それを見て周りの女性陣はキャーキャー言っていたが無視。そしてさらにもうひとつプレゼント。どちらかといえばこっちが本命なんだが……その……下着をプレゼントした。

 デザインは聞かないでくれッ!


 それを受け取った会長は、ネックレスの時よりも喜び号泣したというは内緒。


 そしてその日の夜、女性陣がこぞって俺の部屋に押しかけて来たのはまた別の話である。



 裸のフェスティバル〜完〜

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