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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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閑話 裸のフェスティバル①

 これは試験勉強会中の一コマである。



「やべぇ……どうしよう、すっかり忘れてた」


 うぅぅと頭をか抱えて唸る俺を見てソフィアが心配した様子で尋ねてくる。


「どうしたのショーマ?」

「あぁ……やっちまったんだよ……」

「はぁ!? ヤッたの? ワタシを差し置いて? 誰よ? 今すぐ教えなさいッ!」

「ソフィアさん落ち着いて、そっちのヤッたじゃないから……てかそんな目をしないで、違う意味でヤリに行きそうだから……」


 俺はソフィアを宥めつつ一旦落ち着けと頭を軽く撫でてやる。

 さらさらの銀髪が指に絡みつく。その感触は癖になりそう。そして可愛らしく俺を見つめる瞳は鏡のように俺を映している。その顔はデレデレしていた……


「えっへへ〜」


(可愛いなぁ……いやそうじゃない! なんか段々ソフィア沼にハマってる自分がいる)


 そうしていると隣にも頭がヒョコっと現れる。


「……」


 可愛らしく上目遣いで見つめてくる黒い瞳、こちらは吸い込まれそうな深淵。落ちたら最後ブラックホールの如く帰って来る事はない。精神的にも物理的にも。

 そして前髪からピョコッと天をつくアホ毛がなんともチャーミング。上から覗くとその双丘は楽園への道へと誘われる……そう葉月だ。


「……あぅ」


 俺が魅入って黙っていると葉月は涙目になりだした。これはこれで可愛い……俺は根負けして葉月も撫でてやる。


「あぅ……きもちいいですぅ」


(手の怪我が治ってりゃなぁ……)

 黒髪はまるでコンディショナーをつけた後のようなしっとりとした触り心地。吸い付くような感触とヒヤリとした冷たさが心地よい。ソフィアと葉月を片方ずつ撫でてやると、今度は俺の頭を撫でる物体に遭遇した。


 ムニ……ムニ……


「……」


 無に……無に


「……あの」


 ムニ……ムニ


「弥生さん?」


 ムニムニ……無に無に……


 俺の心は今二つのに汚染されている。

 柔らかさのム。

 心の無。

 これを人は虚無と言うのか……否ッ! 至高ッ!!


「……弥生さん、最強兵器をどけて下さい」

「えぇ気持ちよくないの? せっかくのご褒美なのに〜」

「いや、その……気持ちよくないかと言われれば最高に気持ちいいんですけど……あの……睦希の目が……」


 俺の正面の睦希の目が死んでいる。


「翔馬……変態……」


 俺への株が大暴落だ。そして俺はなんとか三人を落ち着かせ話の本題に戻る。


「それでショーマ、何をヤったの?」


 ソフィアが名残惜しいそうに見つめながら聞いてくる。


「ゴホンッ……えぇ実はですね。わたくしとしましても、あってはならない失態をやってしまいまして……」


「誰とヤッたの?」

「今すぐお縄です!」

「お姉さんに紹介を!」


 三者三葉の反応、それはもう終わったよね?


「ステイソフィ、殺気立たない! 葉月、縄とスタンガンはしまって! 弥生さん紹介はしない! ってか、そうじゃない!」


 一向に話が進まない……


「早く言いなさいよ! 勉強に集中出来ないじゃない!」


 睦希も興味津々だ、やっと本題を話せる。


「実はな……会長の……誕生日を……忘れてた……」

「えっ? 誕生日?」

「会長さんいつが誕生日なんですか?」

「あーそれは……」


 俺は会長の誕生日を忘れていたのだ。実の所会長からの呼び出しがあって文化祭の手伝いをお願いされた日……会長の誕生日の二週間前だったのだ……


「やばいよ〜俺あの時会長の誕生日を暗証番号で確認してたんだよ〜」

「へぇそんな事が……」

「それに会長、やけに俺を引き止めるなって思ってたんだよ! 最後の去り際なんて少し寂しそうだったもん。もしかしてデートの誘いとか待ってたのかなぁ……」


 これは不味いことをした。会長が文化祭の手伝いだけの為に俺を呼んだんじゃない。そこには明確な理由があったのだ。一緒に誕生日を祝って欲しかったなんて……


「そっかぁ……それはジャパニーズハラキリね」

 えっ?ソフィアさん?


「はい、極刑ものです」

 葉月さんも?


「しょうくん、お姉さんは悲しい……釜茹でね」

 まさかの五右衛門……


「翔馬……」

「睦希!お前は……」

「地獄に堕ちろ!」

 女性達はどごまでも厳しい……


 ぐすんっ……みんなひどい!いや一番酷いのは忘れてた俺なんだけどね……

 俺は四人の前で正座させられていた。


「いい? 誕生日ってのは一年に一度しかない記念日なわけ!」

「ですです! それを忘れてた先輩は鬼畜デス!」

 葉月さん最後のデスの意味が……


「女の子の誕生日を祝えない男なんて…」

 弥生さんのあんなに冷めた目は初めて見た。


「流石に私も三人と同じ意見よ。このヘタレ!」

 グゥの音も出ない正論。睦希は俺のたまを取りに来ている……


 彼女達は怒髪天をつくような顔をしている。俺は地に頭をつけお願いをする。


「どうすれば許してくれますか?」


 そこで四人は顔を見合わせる。だが、マトモに答えたのは睦希だけだった……


「素直に謝るしかないわ! そしてなにか特別なプレゼントを用意するの! とびっきりのやつをね」


 以下、肉食系の会話

「ショーマの初めてを貰うわ!」

「ふんすッ! それで許します!」

「お姉さんも混ぜてね!」


 俺は三人を無視し睦希の足を撫でる。


「睦希様〜ありがとう! プレゼントは何がいいと思う?」

「気持ち悪いわね、足をそんな風に撫でないでよ!」


 睦月から足蹴にされる。メコる俺の顔面。


「だって他の三人があてにならないんだよ〜」

「確かに、私も聞き間違いかと思ったわ……」


 俺と睦希のやり取りに三人は憤慨している。


「あ〜ショーマ! 睦希の足をなでなでしてる〜! なんでよ! ワタシのじゃ不満なの?」

「いや一回も撫でたことねぇよ!それにお前は怖い」


「先輩は胸じゃなく、足がいいんですか?」

「いやそうじゃなくて……」


「しょうくん、お姉さんは悲しい……」

「弥生さん最近そればっかだよね……」

「てへっ」


 そんなやり取りをしつつ結局プレゼントを買ってから会長に謝ろうという話になった。


 さて、プレゼントは何を買おう……


 俺のこの悩みの裏側で、女子達(睦希を含む)が変な計画を立てている事などこの時は知らなかった……


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