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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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水面は静かに揺れ動く

 結婚生活とは幸せだと聞いた事がある。

 それはなんとなく理解できる。好きな人、愛した人と一緒に居られるのだから当然だ。

 しかしそれは愛する人が傍にいる場合だ。

 何かしらの理由で離ればなれになってしまったら……

 そして、もう一生会うことが出来ないとしたら……

 その生活は幸せと呼べるのだろうか……



 「皆さん今日はお集まり頂きありがとうございます!」


 俺は今大勢の前で話をしている。現在俺の家には、神月家、如月家、白咲家、九条家、皇家の面々が集結している。


 「まさか我が息子がこんな事を考えるとはな……天国のアイツ等にも報告してやりたいな」

 「そうね、あなた」


 俺の両親はいつものアホを忘れて真面目に感想を言ってくる。


 「漢だな少年!さすがソフィの婿殿だ!」


 想一さんとアリシアさんも微笑んでくれている。


 「余興は任せよ!瓦百枚割りを披露してやるわ!ホホホッ」

 「料理は私達が担当しますわね」


 玄吉さんはホントに元気だな。

 料理については月美さん達女性陣が担当してくれる。


 「ありがとうございます!ちなみにアレの材料って揃ってます?」

 「えぇ、問題ないわ」

 「助かります」


 月美さんには予め材料の買い出しを頼んでおいた。


 「黒神家の送迎は私が手配しておいたぞ!感謝せよ!」

 「……今日は脱がないで下さいね?」


 天馬さんには釘を刺しておこう。ちなみに玄馬さんが運転手を務めてくれている。


 「しょうちゃん、衣装はバッチリ用意したから!事前に調べてくれてありがとう」


 白亜さんにも衣装について頼んでおいた。

 そして、今回俺がやろうとしている事は事前に睦希や葵、奏には話してある。この話をした時の三人の顔は忘れられないよな。


 「翔馬さん、内装の飾り付けを後で確認してくれるかしら」


 時子さん達九条家の面々には室内の装飾を担当してもらった。

 場所は、昔じいちゃんが趣味でやっていた武道を行える場所。庭に面して明るく広さも十分だ。


 「さてと、アレを作りますか!ソフィ、葉月手伝ってくれ」

 「もちろんよ!ダーリン♡」

 「ふんすッ!ふんすッ」


 気合い入ってんな〜ありがてぇ


 それから皆で慌ただしく料理の準備や会場の設営を行い時間が過ぎていった。


 そして天馬さんが手配してくれた車に乗って(大型リムジン)黒神家の面々が姿を見せる。


 「きょ、今日はここでお茶会をするのかな?葵、奏?」


 降りてきた凪さんが周りをキョロキョロしながら緊張した様子で双子に尋ねる。

 そりゃそうだ。いきなりリムジンでお迎えなんて。


 「ニシシッそーだよ!パパ」

 「ささッ!ママと手を繋いで二人で歩く!」


 葵と奏がオドオドしてる二人を引き合わせる。


 「え、えぇそうね。あなたいいかしら?」

 「お、うん……なんだか、恥ずかしいな」

 「そうね……久しぶりな感じがするわ」


 凪さんと百合子さんはそう言って手をとって歩きだす。

 二人の後ろをニヤニヤした三人娘が見つめている。


 そこに艶やかな和服に身を包んだ、時子さん、さゆりさん、弥生さんが丁寧に腰を折って挨拶する。


 「本日は私共のお茶会に参加して頂きありがとうございます。九条時子と申します」

 時子さんはどこかの料亭のように礼儀正しく挨拶する。それにならって、さゆりさん弥生さんの順で挨拶する。


 「こ、これはご丁寧にどうも!娘達がいつもお世話になっているようで。父の黒神凪です。こちらは妻の百合子です」


 凪さんはあたふたしながらも挨拶を返す。そして三人に先導されながら会場になる庭の武道場へと歩を進める。


 俺達はその様子を緊張しながら待っている。

 この緊張はどう伝えればいいだろう?今まで散々彼女達の家族に挨拶をしてきたがそれの比ではない程心臓の鼓動が速い。


 ジャリジャリっと庭の小石を踏みしめる音がする。

 俺達の鼓動も早くなる。もうすぐだ。

 隣のソフィアと葉月がキュッと俺の手を握ってくる。緊張が伝わったのか、俺は二人の手を優しく握り返し微笑み返す。

(大丈夫!きっと上手くいく!)



 「こちらが今回の会場になります」


 時子さんがお辞儀をし、会場の方に手を伸ばす。



 「……えっ」

 「これって……」


 それを見た凪さんと百合子さんは固まっている。

 当然だろう。会場の入口にはこんな看板があるのだから……




【黒神凪様・黒神百合子様】

『結婚式場』




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