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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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巡り巡ってくるくる回る

 さて、この展開は何度目だろう?

 正直……驚く事も面倒になってきた。


 「ブランさん、会長のお兄さんだったんですね」

 「いかにも。いやぁ黙ってて悪かったね。妹に口止めされててね」

 「そうですか……」


 俺は皇家のソファで天を仰いでいた。


 「ソフィ、葉月、紹介するよ。俺が行ってるトレーニングジムのトレーナー、ブランさんだ」

 「は……初めまして白咲葉月です」

 「お久しぶりですブランさん。ソフィアです」

 「初めまして白咲さん。そして久しぶり如月さん」

 「なんですと?」


 どうやらソフィアは知り合いらしい。


 「詳しく話してくれ」

 「ショーマを監視してた時、何度かお邪魔したことがあるのよ。そこでショーマの事を色々聞いたわけ! ほらコレ」


 ソフィアは鞄から日記帳みたいな物を取り出し渡してきた。適当にページをめくると


 ○月X日

 心の天気は最高よ!(深夜テンション)

【ショーマが寝てる隙にキスをした♡それから服の中に手を入れて……】


 投げ捨てた。


 「わぁぁぁぁ! ワタシの日記帳がぁぁぁ」


 「ゴホンッ。ブランさん何故口止めを?」

 「翔馬くんのジムでの行動や話を、妹に報告するよう脅さエホンッ……依頼を受けてね」

 「なるほど、しれっと脅されたって……まぁいいや。じゃあ俺が彼女出来たって言った時慌てたのも?」

 「うん、女性関係は迅速に伝えるよう言われてた」

 「ソウデスカ……で会長?」


 俺はソフィアの件でやけにすんなり話が通った事を納得していた。


 「うむ! ソフィア嬢の件についてはすまなかった。もっと早めに気づくべきだった」

 「いえ……会長は悪くないです! それに助けてくれてありがとうございます」


 会長とソフィアは互いに謝っている。


 「それにね翔馬くん。僕はこの前言ったよね? 家に招待するって」

 「確かに。こういう事だったんですか」

 「その通り! まさか妹の意中の相手に彼女がたくさんいるとは思わなかったけどね。まぁ翔馬くんならモテるのは当然か。それでも……妹の幸せを願うのが兄というものだ」


 ブランさんはカラカラと笑っている。ほんとにいい人だ。


 「これで名実共に兄弟になったわけさ! よろしくな弟よ!」


 前言撤回。ブランさんもどこかおかしい。


 「あの……あの、先輩と皇家の皆様の関係って?」


 葉月は俺と皇家の関係が知りたいようだ。

 まだ会長とブランさんの関係しか話してない。


 「その事については私から話すわ……」


 白亜さんが会話の中にするりと入ってきた。コトリと紅茶を置きゆっくりと話しだす白亜さん。

 途中、天馬さんと会長達が合いの手を入れながら話が進んだ。


 ――――――


 「そ、そんな事が……」

 「先輩かっこいい」


 俺は凄く恥ずかしい思いでその会話を聞いていた。


 曰く

 白亜さんは昔から体が弱く一日のほとんどをベッドで過ごしていた。天馬さんは妻の体を心配していたが仕事が忙しく中々家に帰れない。それを見かねた会長が父親と大喧嘩。

 当時の俺は会長と料理同好会発足に向け動いていた。その流れで会長から愚痴を聞いた。話を聞いた俺は天馬さんに突撃し家族の目の前で説教をした。

 俺の祖父が所有していた温泉で白亜さんを湯治させろと提案。

 白亜さん元気になる。天馬さん会社ごと白亜さんのいる所まで引越す。白亜さんにベッタリになる。←ここ重要

 俺は白亜さんの為に皇グループに温泉施設を売る。←ここ大事(最初譲ると言ったが、天馬さんが引かなかった)

 天馬さん大感激! 娘を頼むと言われる。

 俺拒否。

 何度も言われる。電話もしつこい。

 俺拒否。

 家に招待される。娘を頼むと言われる。

 俺拒否。←今ココ


 「あの時の翔馬はかっこよかった! 思い出しただけでも濡れる!」

 「確かにあの言葉は惚れたわ〜私も濡れてきた」

 「は、白亜?」


『家族と仕事どっちが大切かわからねぇやつに人を愛する資格はねぇ』

『目を閉じてよく考えろ! 最初に浮かんだ顔は誰だ? てめぇの奥さんだろうがぁぁぁぁ』


 「あの後、天馬さんにグーパンをお見舞いしたしょうちゃんは素敵だったわ」

 「恥ずかしので真似しないで下さい」


 目をキラキラさせている白亜さん。頬をポリポリかく天馬さん。笑顔で俺の肩を叩くブランさん。トイレに行きたそうにモジモジする会長……は無視


 「ショーマ! 惚れ直したわ今すぐ結婚して!」

 「あの私も今すぐに!」


 二人も大興奮し婚約を迫ってきた。

 俺はスルーしてブランさんに話を振る。


 「ブランさん、なんで玄馬って名乗らなかったんですか?」

 「ん? そうだなぁ、そのほうが楽しいじゃないか。ほら玄馬げんまって玄米げんまいみたいだろ?だからブランなんだ!」

 「へぇその理屈だとあのジムも?」

 「そうだよ! ほらホワイトキング。白い王→皇ってね!」


 どうやらブランさんはダジャレ好きのようだ。

 俺はふと疑問を投げかける。


 「ところでなんでこのタイミングで結婚の話を? 卒業してからでもいいんじゃないですか?」


 俺はあたかも結婚が前提で質問してしまった。


 「実はな……私の会社はすでにあの温泉施設にある。そしてここに帰ってくる事もほとんど無くなり、さつきを一人にする事が増えてな」

 「僕もジムと父の手伝いでなかなか家に帰れなくてね!」

 「で、いっそ翔馬に預けようと思って……」


 やべーこれ押し付けられるやつや……それにいつの間にか名前呼びに……そして爆弾投下。


 「この家を来週で解約する事に決めた!そしてさつきを翔馬の家で同棲させようと話し合っていたのだ!」



 ハッハッハと笑う天馬さん。


 やっぱりか。


 「ちなみに拒否権は?」

 「「「「ない(わ)」」」」


 皇家のオールスター感


 「ずいぶんと色々やってくれましたねぇ……それにもう手続きも終わったんでしょ?」

 「滞りなく! 来週の土曜日に引越し業者が君の家にいくはずだ!」


 「はぁ……」


 俺はチラリとソフィアと葉月をみる。


 「ショーマこの際だから言っておく……」

 「お、おう……」


 おっ? 珍しく真面目な事を言いそうだぞ!頑張れソフィ! いったれ!!


 「大家族って憧れてたの!」


 ダメだこりゃ……


 「あの……あの、先輩!私はお姉ちゃ……」

 「葉月もういい!わかってるから!お姉ちゃんが増えて良かったな!!」


 コクリと頷く葉月。目が輝いている。


 「翔馬よ! 今更だが改めて。私との同棲を認めてくれないか?」


 そう言って会長は俺に正面から頭を下げた。

 その姿勢は普段の冗談を言う会長とはかけ離れていた。

 俺はもう諦めた! 今更変態が一人増えようが気にしない。もう何も怖くない!


 「わかりました認めますよ! 但し、家で全裸は勘弁してくれ」

 「ヤッター善処する! でも二人きりの時には問答無用で脱ぐからな! 覚悟しろ!」

 「なんの覚悟だよ……もうヤダ……」


 こうして皇さつきが新しく神月家に来る事になった。

 弥生さんと同じ時期に来る事になりそうだ。その時に紹介しよう。


 その後、結婚祝いだと言って全員で天馬さん行きつけのレストランで食事をした。どえらい美味しさだった……もちろん天馬さんの奢りで。



 あれ……俺、今日勉強してなくね?

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