変態達の邂逅は未知のケミストリー
全教科サンドバッグ地獄初日を終えて、女子達の仲はとても深まったようだ。
何を話してたのかは知らないが、今も俺の前を三人の美少女(見た目はJK中身は)
「っ!」
睦希がすごい速度で振り向き睨んできた。
エスパーか!
「翔馬……私は今日行けないから、別の人にお願いしたわ」
「う、うん。わかりました」
よっしゃぁぁ!
ヘルからの脱出!
エデンへの帰還!
またせたなぁ野郎共!!
んっ? お願いしてる?
「えっと……ちなみに誰にお願いしたの?」
俺の第六感は鋭い。
ソフィア達と関わるようになってその精度はマシマシよ!
「会長よ」
「許して下さい! ごめんなさい睦希様なんでもしますからぁ」
あの変態はいやだ! いくら生徒会長と言っても半裸で勉強は教わりたくない。
「昨日のウチに連絡しちゃった♡」
「なぜその人選?」
「翔馬の天敵だから……その表情を見たかったの!」
どちくしょぉぉぉ
このドS娘がぁ!
「んじゃ、頑張ってねぇ」
登校中ソフィア達女性陣はニコニコ話しながら校舎に着くと、睦希はそう言って自分の教室へ向かって行った。
そして放課後
「ピンポンパンポン……二年一組の神月翔馬! 至急生徒会室に来たまえ! 尚、拒否権はない! 二分以内に来なければキミの恥ずかしい写真をばら撒く! それと彼女ズも一緒にな!」
「……ショーマこれって」
「あぁ」
「なんか前回より時間と短くなってない? それと彼女ズって」
「妖怪全裸女〜どこでも脱ぎたがるドM王〜の仕業だな」
「デスヨね〜」
俺とソフィアは大きくため息をつきながら葉月のクラスに行き、葉月は目をキラキラさせながら着いてきた。
「いいか君達。これから見る光景を見ても決して驚かない様に!」
「ショーマ覚悟できてるわ! 人材発掘の最前線ね」
「縄は多めに用意してます! ふんすっ」
うん、この二人なら大丈夫だろう
コンコンッ
「会長来ましたよ!」
「うむ! 入ってくれたまえ!」
ギィィ
扉を開く音がした、それは生徒会室を開く扉の音か……それとも誰かの新しい扉の音か。
「……ふはぁ」
「ぐふぅ」
「はわわわ」
その光景を見て俺達三人は変な声の応酬になっていた。
「どうだ! 似合うだろ?」
そこには会長の姿があった。いや会長の姿をした何かだ。
目元を覆う女王様メガネ
手にはどこかでみた鞭
肩からなびくタスキはご主人様の家庭教師
着ている服はレオタード
体には無数の縄
「どうだ! 私からの三人に対する尊敬の形」
「撤収ッ!!」
「「オー」」
俺達は脱兎の如く踵をかえす!二人とこんなに息があったのは初めてだ!
「逃がさん!」
ガチャリ
「ちっやられた」
「ショーマ扉が開かないわ!」
「せ、先輩」
「ムダムダムダ! さぁ私の愛の形を受け取るがいい」
狭い会長室を舞台に迫る超変態逃げる変態ズ。うん、どっちも変態か。
「ぜぇ……はぁ……で何の用ですか?」
ソフィと葉月は捕まっている。そして会長の餌食になってぐったりしている
「ふむ!睦希くんからキミに勉強を教えて欲しいと言われてな! 承った訳だ!」
「契約破棄していいですか?」
「だが断る!」
会長の目はイキイキしている!
「理由を聞いても?」
「キミを家に誘拐……ゴホンッ、招待して好き放題できるから!」
「さらっと誘拐って言いましたね?」
「ブォーォ」
「なんで、法螺貝持ってるんですか?あとうるさいです」
「ジョークだ!」
「スケールがデカい! 決戦にでも行くんですか?」
「どちらかというと夜戦だな! 想像するだけで濡れる!」
「ハイハイ……」
ピポパボ
「翔馬下着を……」
パサッ
「先手必勝です」
「以心伝心! これぞまさに夫婦のなせる技! よし翔馬結婚しよう」
「お断る!」
「お断わるをお断わる!!」
「お断わり返し!」
「リバース」
「はいダウトぉぉぉぉ」
ギャーギャー言いながらも俺は会長との会話を楽しんでいた。
「ム〜……ショーマがあんな少年の様な笑顔で」
「先輩かわいいです」
ひとしきり雑談した挙句俺は本題に入る。
「それで会長、どうして俺を家に?」
「ふむ! それはだな、久々に母上と父上が帰ってくるのだ! 二人共翔馬に会いたいと言って駄々をこねるのだ!」
はぁぁぁぁとため息が出る。
「なんで皇グループのトップが駄々こねるんですか?止めて下さいよ!」
「父上がワガママを言えるのも、翔馬のお陰なんだがな……」
俺は最後のセリフを聞かない事にした。
「はぁ……わかりましたよ! ソフィと葉月を連れて行ってもいいですね?」
「大歓迎!!」
ソフィアと葉月は皇グループのトップと会うと分かるとどこか顔が強ばっていた。
「時に翔馬よ」
「なんすか?」
「これはどうやって解くのか? もうそろそろ膀胱が限界なんだが……」
会長は体をクネクネしている。ヤバい!
「葉月っ! 全力全開だぁぁぁ」
「はいぃ!」
その後なんとか会長の尊厳は守られた。