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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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三度の飯よりサンドバッグ

 

 「勉強会をしよう!」

 「ん? 試験対策? ムダムダ、ショーマのおつむじゃ一桁がやっとよ」


 「それはお前の教え方が悪い」

 「あの……あの、先輩は馬鹿です!」


 くぅぅ純粋な子(見た目)に言われると心に響く。


 「まぁ落ち着け! 助っ人を呼んである入ってくれたまえ!」


 俺はリビングから廊下に続く方へ向け声をかける。


 「お、お邪魔しまーす」


 睦希が恐る恐るといった様子で入ってきた


 「あっ」

 「黒神先輩?」


 「いかにも、俺の元クラスメイトにして言葉と物理で敵をメッタメタ! 俺のライフももうゼロよ! でお馴染み黒神睦希嬢だ!」

 「誰がメッタメタよ! せっかく来てあげたのに帰るわよ?」

 「ごめんなさい、場を和ませるジョークです」


 音速を超える勢いで頭を下げた。


 「ショーマのあんな姿初めてみたかも」

 「黒神先輩に……是非ご教授を」


 ソフィアと葉月が感心していると


 「きゃっ!」


 可愛らしい声の主は睦希だ。

 何事かと見てみると彼女の足元に我が家のボス、ぜんざいが擦り寄っているではないか!


 「な、何事だ!! ぜんざいが自ら懐くとは! 明日は嵐になるぞ!」

 「ぜんざいちゃ〜ん……私が近づいても知らんぷりするのに〜」


 葉月は泣きそうな顔でぜんざいを見ている


 「この子ぜんざいって言うの? 可愛いわね」

 「ニャオ」

 「よろしくねぜんざいちゃん! 私はむつきよ!」


 睦希に抱きしめられながらぜんざいは嬉しそうな顔をしている。

 負けじとソフィアがしらたまを召喚してきた。


 「あらその白猫ちゃんはなんてお名前?」

 「しらたま」

 「あははっ! 二匹で白玉ぜんざいじゃない!」


 睦希は余程おかしかったのか目に涙を浮かべながら笑っている


 「あー笑った! さてお互いの自己紹介は済んだ所で勉強始めるわよ!」

 「よろしく先生」

 「さて、始めますか!」


 こうして俺の試験勉強が始まった。


 「あの……そろそろ休憩を」

 「この問題が解けたらね?」

 「そうよショーマせっかく付き合って貰ってるんだから徹底的にしなさい」

 「先輩……そこ私でもわかります」


 なんだこれ?

 かれこれ三時間はぶっ続けだぞ?


 「いやぁでもぉ……そろそろ皆もお腹が空いた頃じゃ」

 「終わったらね! 私も付き合ってあげるから」

 「その心意気素敵よむつき!」

 「こういう我慢プレイもありですね」


 ダメだこの子達、完全にノリノリだ。

 そして……睦希は昔からこうだったなぁと若干後悔し始めていた。


 そしてさらに一時間経過


 「お……終わった、これでやっと飯が」

 「何言ってるの?次は国語でしょ?」


 キョトンと可愛らしく、悪魔的な事を平気で言う睦希さん


 「What's?」

 「国語の勉強よ!」


 「Why?」

 「翔馬が馬鹿だから」


 「ふぅー」

 「あなたよ!」


 「いやそっちのwhoじゃねぇよ、ご飯は?休憩は?てか帰らなくていいの?」

 「さっき家族に連絡したわ!今日は帰らないって」


 これは不味い……俺は呼んでは行けない者を呼び寄せたようだ。

 今までは放課後の学校で試験勉強やってたから下校時刻が存在した。

 その安全リミッターを自ら外してしまったと言う事か!


 「むつき〜ご飯できたわよ! 葉月とワタシのお手製ビーフシチューよ」

 「わぁ〜美味しそう! 頂いていいの?」

 「です! 食べて下さい!」


 ソフィ達の座るテーブルから香ばしい匂いの波が押し寄せる。それは俺の鼻腔を抜け脳天に衝撃を与えた。


 「ジュる……あの、つかぬ事をお伺いしますが……」

 「ん?」

 「私めにもその香しい天からのお恵みを……」


 俺は絨毯に正座をし、彼女たちの方を見る。


 Dead or Alive



 「あと三教科終わったらね!」


 はいアウトぉぉぉぉぉぉぉ!


 結局俺がホントの意味でご飯にありつけたのは……朝方の三時だった。


 女子達はその間……

 うちの自慢のお風呂でうふふふふ

 パジャマで恋バナうふふふふ

 みんなでケーキうふふふふ

 トランプ楽しいうふふふ

 俺のおやつは甘納豆

 うぅぅぅぅ……


 初日から全教科にサンドバッグにされるとは……

 明日が怖い…いやもう今日か。


 夢の中で睦希が女王様のコスプレをして、笑いながら俺をサンドバッグにしていた。

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