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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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二度ある事は三度ある

 失敗するとわかっていても挑戦する事に意味がある。同じ経験をした事は無いだろうか?


 例えば


 失敗するとわかっていながら、卵を片手で割ってみる。

 失敗するとわかっていながら、静かな教室でペン回しをする。

 失敗するとわかっていながら、洗濯物を洗濯機にシュートする。


 い覚えはあるだろう? あるよね? ね!




 弥生さんが俺に馬乗りになりながら叫んだ言葉。

『好きだからに決まってるでしょ!』


 この言葉を頭の中で整理していた。

 場所は俺の自室。ソフィアと葉月が弥生さんに付き添って色々と話をしてくれている。一旦落ち着いてまた話をする流れになったので、俺はここで考え事をしている。


「どうしたものか」


 なんとなく、なんとな〜く気づいていた。でもそれはバイトの後輩に対する好き、自分の性癖に対する好きだと思っていたんだが、まさか本気とは。


「……」


 俺は弥生さんと出会ってからの事を少し思い出していた。


 しょうくん! よろしくね!

 弥生って呼んでよ!

 これの作り方は。

 大学の学祭が。

 店長今日居ないんだって、二人きりだね?

 これ美味しいよ! 自信作!

 今度知り合いの喫茶店にメニューの研究に行こうよ!

 しょうくんって好きな子いるの?


 脳裏に浮かぶ光景はどれも弥生さんの満面の笑顔だった。


「そうだよなぁ……本気なんだよな弥生さん。それにソフィと葉月も」


 色々な想いがぐるぐると頭の中に木霊する。

 そして以前、ブランさんから教えて貰った言葉を思い出す。


『正面からぶつかるしかない』


 自室の扉を開けてリビングへと歩きだす。


 コンコンッ


 返事はないがゆっくりと扉を開ける。

 そこには落ち着いた様子の弥生さんがソフィア達に挟まれる形でソファに座っていた。


 俺もゆっくりと三人の前に行き正面に腰掛ける。しばらく無言が続いたがやがて俺から口を開く…


「弥生さん俺は」

「待って! 私から言わせて!」


 弥生さんが俺の言葉を遮ってそのまま続ける


「私はしょうくんが好き! 大好き! だから……私もソフィアちゃん達と同じように考える事にした!」


 弥生さんはこれまでにない真剣な眼差しを向けてくる。


「えっと、同じと言うと?」


 これはアレか。二度あることは三度あるってやつ。


「ソフィアちゃん達と話して決心した! 私もしょうくんの体を目当てにする! 元々……大きくて包容力があるしょうくんの体が良かったけど……今のしょうくんも好きだから!」


 あぁやっぱりか……三人で話をするって聞いた時なんか嫌な予感がしたんだよなぁ。


 ソフィアと葉月を見ると、ソフィアはドヤ顔葉月は可愛らしくサムズアップしている。


 女子の会話術怖い。


 俺は自分の決意は何処へやらといった感じで話を切り出す。


「弥生さん……弥生さんの気持ち受け取りました。ありがとうございます! ふつつか者でだらしない自分ですがよろしくお願いします!」

「しょうくん……」


 弥生さんは両手で口を抑えて目に涙を溜めている。


「ソフィと葉月が俺の事をどう伝えたかわかりませんが……」


 そこで言葉を区切り弥生さんに本心を伝える


「俺は……俺に好意を持ってくれた人に全力で答えます! それが例え世間的には歓迎されない事だとしても」

「……んっ」



 弥生さんの頬を伝う雫がポタポタと足元に落ちる。

 ソフィアと葉月も目を見開いて聞いている。


「だからその……どんな事があっても離しませんからね!」


 これは俺のケジメなのだ


「俺はこれから……いや今迄も含めて三人を好きになる努力をする! ソフィアも葉月も覚悟してくれ!」


「うん!」

「ワタシも覚悟しててよね!」

「先輩ステキです!」


 これは俺のエゴかもしれない……一人だけに好意を持って貰えたら話は単純だっただろう。

 しかし、世の中は甘くない……いや俺の周りの女の子達が一筋縄ではいかないのだ…


 賑やかになるな。

 俺の心は暖かな気持ちでいっぱいだ。

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