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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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心のブラザーブランさん

 皆さんは信頼できる人はいるだろうか?

 周りを見渡せば友達が多い、人付き合いがいい、長期休暇の予定は全部埋まっている。

 そんな会話が聞こえてこないだろうか?


 現代ではフォロワー数やネットでのお友達が数多くいるのがデフォルトになりつつある。

 誰に対してマウントを取る必要があるのか?

 一体誰と戦っているのだろう…


 ホントに信頼できる人は一人いれば十分ではないだろうか。


 俺の心のブラザーブランさんのように!





 連休も残り数日になり、相変わらず怪我の心配をして世話を焼いてくれる二人。しかし迷惑をかけたままは申し訳ないので、実家に帰って親孝行しておいでと送りだした。


「俺一人でもこの状態で生活できるようにしなきゃ色々不都合だ」


 二人はその言葉に渋々了承してくれた。なのでこれから数日の間は一人だ。これから少しリハビリにジムに行こうと思う。ブランさんにも会いたいし!


 ちなみにしらたま達は数日前に我が家に戻ってきた。俺の両親にも事前に葉月の事は話していた。相変わらずアホな返しが来たが説明するのもめんどくさい。

 しらたま達を見た葉月の反応は凄まじかった。


「ねねねねねね、猫さんですぅぅぅぅ!」


 普段のアワアワしたテンションは何処へやら、初めて聞いた葉月の興奮した声や様子は実に新鮮だった。

 しらたまも遊び相手ができて嬉しそうな声で鳴いてたな。

 ぜんざいは安定の大御所感で、でん!と構えていた。どこかのボスみたいな存在感だ。


 そんな事がありつつ、今に至る。俺はブランさんがいる『ホワイトキングジム』に来ている。


「こんにちは〜ブランさんいます?」

「は〜いあら神月くん久しぶり! 怪我は大丈夫?」


 元気よく出てきた受付のお姉さんが俺の怪我の心配をしてくれた。


「まぁなんとか。今日はブランさんにリハビリを兼ねた軽めのトレーニング指導をしてもらおうと」

「なるほどね。ちょっと待ってて」


 お姉さんは事務所に戻ってブランさんを呼んでくれた。


「おぉ翔馬くん久しぶりだね! 怪我の具合はどうだい?」

「こんにちはブランさん! 怪我はまぁまぁです。でもあまり休んでるとなまっちゃうんで……自分でもできる筋トレを教えてもらおうと訪ねました!」


「OK! この前約束してたからね。幸い連休中はビジターのお客さんが多くてあまり指名は入らないんだ。好都合だよ」


 トレーニングウェアに着替えた俺は、主に下半身と体幹トレーニングを軸にリハビリを開始した。


「ふむ……だいぶ体が傾いてるね。骨盤のズレが酷い。右足を庇った歩き方をしてないかい?」

「はいその通りです。正直右足が痛くて左ばかりに重心が寄ってる感じですね」


「これは結構長期戦になりそうだね。無理は良くないから体をほぐす所からやっていこうか」

「ありがとうございます!」


 やっぱりブランさんに頼んで良かった!

 その後はブランさんの補助を受けながらリハビリを続けた。


「ブランさん、また相談があるんですけど」

「そうだろうと思ったよ。翔馬くんの顔をみればなんとなくね。この前は結局用事が入って聞けなかったからね! 今日はしっかりと聞くつもりだよ」


 やっぱり頼りになるのはブランさんだ!


「前に彼女が出来たって言ったじゃないですか?」

「あぁそうだったね! やっと目標達成じゃないか。あの時は取り乱して悪かったね」


 ハッハッハと白い歯を見せながら爽やかに笑うブランさん。


「実はもう一人彼女ができたんですよ!」

「ハッハッハ……は……はぁ? 翔馬くんって面白い冗談を言う子だねぇ。お笑いのセンスがあるよ!」

「いやぁ実は冗談じゃなくてですね」


 やっぱり信じて貰えないかぁ


「マジ?」

「まじっす」


 ブランさんと俺、数秒の間見つめ合う。


「ふぅー。その目はマジのようだね。いや、もうねわかってたよ! 君がモテるのは!」

「ブランさん? 急にどうしたんですか?」


 急にブランさんが早口で喋り出す。いつもより砕けた喋り方だから俺は少し焦る。


「まぁあれだね! トレーニングに対する取り組み方とか学校での過ごし方とかを見たり聞いたりしてたからね。そりゃいつかはモテると思っていた!」


 学校での過ごし方?俺はある程度しか話していないが、基本的には俺の失敗談ばかりだったはず。


「こうなっては俺は何もできないけどね。しっかりと他の子の好意も受け止めるって事かな! それが男としての君の役目だ」

「俺はまだ何も説明してないんですが……」


 ブランさんに先回りされたように答えを言われてしまった。


「あれだろ? 二人の好意にどう向き合うかって事だろ?」

「はい……その通りです」


「正面からぶつかるしかないさ! それに君を狙ってるのは他にもいると思うよ。いやこれは確定事項かな」

「正直なんとなく頭に浮かんでいる人物はいるんですけど、これ以上どうしろと」


「さっきも言った通り、全力でぶつかるしかない。君が二人を受け入れた事で周りもその波に乗ろうと積極的にアプローチしてくるだろう」


 ただでさえ二人の相手で手一杯なのにその上まだ増えるのか。

 そこでブランさんがいつも以上に優しい声で語りかけてきた。


「それにね……これは翔馬くんの努力の賜物だよ?キミが考え行動し、導き手を引き、彼女達の力になった証さ! 経緯はどうあれしっかりとキミに好意を抱いている。いや愛情と言ってもいい」


 ブランさんの言葉を噛み締めながら考える。


「それにさ……彼女達が同時に翔馬くんを好きになって、それでも自分達で決めてキミを共に愛そうとしてくれている。最高の女性達じゃないか。同時に愛しても僕はいいと思うよ!」


 あぁやっぱりブランさんに相談して良かったな。

 俺の心は多分この時に決まったのだろう。


「ありがとうございますブランさん! 俺はブランさんという心のブラザーが居て幸せです!」


 俺は怪我していない左手を出してブランさんを正面から見つめた。ブランさんもしっかりと俺の手をとって笑ってくれた!


「翔馬くん頑張って! そして近いうちに家に招待することになるからその時にゆっくり話そう!」

「はい!」


 俺は感動のあまりブランさんが言った言葉をあまり理解していなかった。



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