ストーカー娘の思惑【如月ソフィア】
「……ただいまぁ」
衝撃的な方法で告白をしたワタシは浮き足立つ心とニヤニヤする顔を我慢しながら玄関をくぐった。
「あらソフィおかえり」
「ソフィ今日は早かったな。例の彼とは話せたのか?」
「ななな……何を言ってるのかな? お父さん!」
「だって……なぁ?」
「ねぇ?」
ニヤニヤする両親を置き去りにして、自室までカバンで顔を隠しながら足早に駆け込んだ。
「ソフィもうすぐ晩ご飯よ〜」
「今日はいらない!」
そう言ってワタシは制服のままベッドにダイブした。胸の高鳴りが落ち着くのを待つこと数分。
きゃぁぁぁぁ!
やっちゃった!
言っちゃった!
告白ちゃったよぉ!
バタバタと足を動かしながら枕に顔をうずめて羞恥心を隠したくなる。
でもでも、"あなたの体が目当て"なんて……ちょっと強引過ぎたかな? いやいや最終的には彼の全部を貰うんだからいいよね?
それに、ワタシの気持ちを伝えても……きっと彼は答えてくれない。そんな軽薄な人じゃないって分かってるからワタシは好きになったんだ。
ワタシの体でもなく……ワタシの見た目でも、ましてや家柄でもなく……ありのままのワタシを彼は受け入れてくれた。あれから1年しか経ってないのに、彼のワタシへの態度でわかっちゃった……きっと忘れてるんだ。
……ちょっと寂しいな
それでも、彼をワタシのモノにする為には、手段を選んでいられない。ここ最近のストーキ……ゴホンッ! 愛の監視のお陰でハッキリした事がある。
あの学校には少なくともあと3人、彼に好意を抱いている女がいる。
その中でも……あの後輩はヤバイ。初めて彼女を見た時に一瞬で背中に冷や汗をかいた。女の勘が最大限の警告を発していた。
だからこんなにも早く動く必要があったのだ。本当は、もっとじっくりゆっくり愛を育みたかったけど……それでは捕られてしまう。
こうなったら、ワタシの全てをぶつけて彼を落としてやる。心も体も全身全霊で振り向かせてやる。
心が振り向かないと分かってるからこそこそ、体から攻めたのだ! ワタシの体で彼を篭絡させれば、いずれ心も付いてくるんだから。
「ふは……ふふ……ふははははっ」
夜の帳が降りる頃、ワタシはそんな事を考えながら妄想の海へとダイブするのだった……ワタシの考えがあながち間違えでは無いことを、これから知る事になる。