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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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バイト先の化け物

 人は自分と違うもの、周りとは違うものに最初に抱く感情はなんだろうか?

 拒絶や嫌悪感だろうか?一体いつから周りと合わせなくちゃいけないと思い始めただろう……決してそんな事はないのに。


 個性あってこそ人は輝き、生き甲斐を持って人生を謳歌できるはずだ!

 周りの声など気にするな!

 自分に正直に生きなさい。

 これは祖父母の教えだったかな。




「先に言っておくが……店長は化け物だから」


 買い物を終えた俺達は俺のバイト先に立ち寄る事にした。怪我の経過報告やシフトでの迷惑を掛けているからその挨拶だ。


「どういう事?」

「ん?」

「まぁ見りゃわかるさ」


 俺は混雑の時間を避けバイト先に顔をだした。


 カランッ


「いらっしゃ〜い……あらまぁ! 翔ちゃんじゃな〜い!!」


 表れたのは、身長2mはあろうかと言う大男。服がはち切れんばかりの筋肉の塊。そしてその筋肉を覆う服は、フリフリのゴスロリファッションだ。


「ワオ!」

「ひゃあ!」


 二人共いいリアクションをしてくれる。

 初見ブレイカーだからな店長は。


「おい! オカマ! 服がバージョンアップしてるんだが客減るぞ?」

「誰がオカマよ〜ちゃんとオカマママって言いなさ〜い」

「言いづらいんだよ!」


 オカマの案内で俺達は窓際のテーブル席に案内された。


「どうしたの翔ちゃん? こんな可愛い娘達を連れてきて! まだ怪我が治ってないんでしょ? シフトは治ってからでいいのよ?」


「この娘達は俺の彼女だ。ちゃんと紹介しとこうと思って。それに知らせなかったら弥生さんが怖い」

「あらそうだったの? こんにちはかわい子ちゃん。店長のオカマママよ!」


「さらっと浸透させんなや!」

「んもぅ! それに、やっちゃんは今日いないわ。でも確かに知られたら不味いわね!」


「弥生さんは大学か?」

「家族旅行ですって。お土産に期待しててって言ってたわ」


 弥生さんはお見舞いに来てくれた日以来会ってないからなぁ。あの時は詳しく話せなかったけど、彼女達の事をちゃんと紹介しないとな…後が怖い。


「三人共メニューは決まった? 好きな物食べて行きなさ〜い! オカマママの奢りよ!」


「へっ? いや……そんな」

「あの、あのそれは流石に」


「気にすんな二人とも甘えとけ。オカマママありがとう! 大好きだオカマママ! 感謝するオカマママ!」

「現金な子ね〜まぁそういうとこ好きよ〜」


 昼ご飯は食べていたのでデザートにした。ソフィアはティラミスと紅茶、葉月は苺のショートケーキとレモンティー、俺はモンブランとブラックコーヒーのチョイス。


 運ばれてきたケーキを食べながらソフィアが尋ねてきた


「ショーマ、さっき話に出た弥生さんって?」

「…気になります。」


 俺は若干悩んだが、二人なら受け入れてくれるだろうと思って話し始めた。


「弥生さんってのはここのバイト先の先輩なんだ。今は大学1年生って言ってたかな。それとなんというか、お前ら二人に近いものを感じる」


「どゆこと?」

「すごく気になります!」


 二人は興味津々で俺の方を見てくる。


「俺がバイト始めた頃からだが……その……会う度にスキンシップが激しいんだよ。それもボディタッチの方の」


 二人はまだキョトンと首を傾げている。


「忘れてないと思うが君達二人は俺の体が目当てだと言って、迫ってきたんだぞ?」


「あー! そういえばそうだった!」

「確かに先輩の体は魅力的です」


 忘れてたなコイツら。


「それの先駆者というか恐怖の象徴というかだな……それが弥生さんなんだよ」

「益々意味がわからないわ」

 

 俺はコーヒーを飲み喉を潤して言葉を続ける。


「ボディタッチの内容なんだがな、体に触る程度じゃないんだよ。葉月みたいに噛み付いたり舐めたりするの。しかも俺が着替えてる時に更衣室に入ってくるんだぞ? ヤバいだろ?」


「確かにそれはヤバいわね!」

 「ですです!」


「おまえらも同じだけどな」


 俺は更に続ける。


「それにな弥生さんは特殊な性癖なんじゃないかと思ってる」

「はっ?」


 予想外の言葉だったんだろう、ソフィアが間抜けな声を出している。


「俺が入学した時結構いい体重だったのは知ってるよな?」


 コクコクと頷く二人。


「バイトの面接に行った時、弥生さんの目が凄い輝いていたんだよ。そして、店長とハイタッチしながら『キタぁぁぁ!』なんて叫んでた」


 弥生さんと一緒にバイトしている親友の先輩に聞いたのだが。


「大学でも結構告白されるみたいでさ、それの断り方がな」


 前のめりになる二人


『あなたの体に興味はない。私の心と体は彼の物よ!』


「なんて言ってんだよ〜。自意識過剰かもしれないけど、それを考えると俺なんだよなぁ。しかも俺がジムに行きだした時なんか、あからさまに機嫌悪いし。バイトの賄いなんてカロリーの権化みたいなやつ作ってくるんだよ?」


 二人はどこか遠い目をしていた。そして何を思ったのか。


「今度弥生さんを紹介しなさい!」

「ですです! 女子三人でお話ししたいです!」


 と言ってきた。


「実はまだあるんだが」

「まだあるの?」

「うん。どっちかと言うとこっちが本題でだな。男にだけ興味があるなら問題ないんだが……その」


 俺は乾いた唇で本題を告げる


「弥生さん多分どっちもいけるんだよなぁ」

「へっ?」

「ん?」


 二人はその言葉に唖然としていた。


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