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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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初デートとは心躍るものですね

 一緒にショッピングモールに来た俺達はまず昼ごはんを食べようという事になり、ソフィアの提案で甘いスイーツが食べ放題の店に来ていた。


「わぁ〜すっごい美味しそうだねショーマ!」

「確かにこれはすごい。甘い物だけじゃなく、ピザやパスタまで! これは無限に食べられるな!」


 昨日夕食の時に色々話したんだが、ソフィアも食べる事が好きみたいだ。一緒に過ごしていく上で同じ価値観を持った人がいるというのは有難い。


「ショーマ何食べる? ワタシがとってあげる!」

「悪いな、じゃあベリーが乗ってるチーズケーキとティラミスを貰おうか」

「はーい! ティラミス美味しいよねワタシも好き!」


 そういって笑う彼女は無邪気な子供みたいに可愛いかった。そして、ある程度皿に乗せて、店員に渡された番号の席に着いて食べ始めた。


 ソフィアは写真をパシャパシャ撮りながら美味しそうに食べている。

 俺はそんな彼女を見て、彼女の笑顔を守れたのかな……と物思いにふけっていた。


「あっショーマごめん! 左手だけじゃ食べずらいよね?」


 そう言った彼女は俺の隣の席に来て、フォークにケーキを乗せて口元まで持ってくるのだった。


「はい、あーん!」

「マジか」


「昨日は両親がいたから恥ずかしかったけど、今は誰もいないし」

「周りに人がいるんだが……」


「周りなんて気にしないし。それにショーマ顔赤いよ?」


 これが伝説の彼女からのあ〜ん。そう思うと俺の顔は炎のように熱くなる。普段の押せ押せの時は強引だからそんな暇がないのだが……こうナチュラルに来られると照れる。


「やっぱり、口移しがいい?」

「もらいます! 今すぐ頂きます!」

 パクッ


 ちょっとでもしおらしいと思った俺がバカだった。

 それから楽しく食事を終えて家具を見てまわった。意外だったのが、ソフィアは欧風のアンティーク調の物が好みのようだ。女の子色が強い物が好みと思っていた俺は、ソフィアの新たな一面を知れて少し嬉しさを感じている。


 どんどんソフィア沼にハマっている気がする。


 そして時刻も丁度よくなりお菓子を買って公園に到着した。すると元気のいい声が聞こえてきた!


「あ〜ポヨポヨだ〜」

「ポヨポヨ〜ずっと来なかったから心配(嘘)してたんだよぉ?」


「葵はともかく奏は嘘だな」

「嘘じゃないよ〜」


 いきなり話しかけてきた女の子は双子の姉妹、あおいかなでだ。

 今年で中学三年生になる女の子だ。俺を弄るのを生きがいにしてるお転婆姫達だ。


「そんな悪い子にはお菓子をあげません!」

「あぁそんなホントだよ! 心配してたもん!」


「本音は?」

「お菓子が来ないから拗ねてた」

「やっぱりか! まぁいいや。色々あって来れなくてすまんな」


 俺はお菓子の入った袋を2人に渡した。


「わーい! ありがとうポヨポヨ!」

「ごち!」


 二人は嬉しそうに袋を開けて食べている。


「もぐっもぐ……今日は手作りじゃないの?」

「あぁ怪我して作れなくなったすまんな」

「んぐっ……ホントだ!でも……ポヨポヨの手作りの方が美味しい」

「そりゃどうも」


 純粋に褒められると照れてしまう。話していると後ろから声を掛けられた。


「翔馬さん、お久しぶりね。最近見かけなかったから心配していたのよ」

「あっ時子さん! お久しぶりです。すみませんちょっと色々あって来れなかったんです」


 声を掛けてくれたのは、時子ときこさんだ。

 和服に身を包み、凛とした面持ちがある上品なご婦人だ年齢は60歳を超えているというのに、それを感じさせない雰囲気がある。

 茶道教室を開いているので立ち居姿が様になっている。俺の年上の話し相手の一人だ。


 それに、どこか在りし日の祖母を思い出させる。


「時ちゃんばぁば! これあげる! ポヨポヨからもらったの!」

「あらあら葵ちゃん、ありがとうね頂くわ」

「時ちゃんばぁば! 今度のお茶会いつ?」


 時子さんの茶道教室には双子の姉妹も通っている。薦めたのは俺だ。


「ところでそちらの美人のお嬢さんは初めましてかしら?」


 そういって時子さんはソフィアにあいさつする。


「あっ初めまして! 如月ソフィアといいます! ショーマとは結婚を前提にお付き合いしています! よろしくお願いします!」


 ソフィアも時子さんに見蕩れていたのだろう。急に話しかけられてテンパっている。


「まぁまぁそうでしたか。私は時子といいます。茶道教室を営んでいますのよ。花嫁修行の際は是非ご贔屓にして下さいね!」

「はいありがとうございます!」


「それにしても、翔馬さんにこんな美人な彼女さんなんてねぇ。ゆくゆくは私の孫娘を嫁にして貰いたかったのだけど、先を越されたわ!」

「はは……時子さんまたご冗談を。」

「オホホホホホッ」


 そういう時子さんは冗談を言っているのか真顔で言っているのか分からなかった……


「アハハッ! ポヨポヨに彼女? それもこんな綺麗な人が? ないない」

「キレイなお姉さん! 弱みでも握られてるの?」

「あ……あははは……」


 お転婆姫達は冗談だと思っているようだ。


「誰の何が何だって〜正真正銘俺の彼女だが?」

「え〜マジ?」

「おう! 大マジだ!」


「はぁ……せっかく私達のどっちかが結婚してあげようと思ったのに」

「そうだぞポヨポヨ! 私達は本気だったんだ!」


「寝言は寝て言えガキ共!」

「ガキじゃないもん! 2つしか年違わないじゃん!」


 二人はムキーッとしなが俺に詰め寄ってくる。そんなやり取りを見て時子さんは「若いっていいわねぇ」と言って微笑ましそうに見ている。


 ひとしきり皆で談笑した後、解散になった。帰り際に「諦めてないからな〜」なんて事を言いながら去って言った。


「いい人達だね」

「俺の大切な人達だ。きっとソフィも仲良くなれるさ」

「うん!」


 彼女は俺の左腕に抱きつきながら嬉しそうに笑うのだった。

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