好意とはなんですか? 恐ろしいものですね
好意をもってくれている。
それは老若男女問わず嬉しい事だろう。
もちろん俺もその1人だ。
ただし、好意というのは必ずしも良いものとは限らない。
例えばこんな行為をされているのだから。
「ちゅっ……んんっはぁ……はぁ」
そんな艶めかし音を聞きながら俺は目を覚ました。
「ん、んん!?」
目を覚ました俺の眼前に飛び込んで来たのは、銀色の髪の乙女……いや痴女である。
椅子に座ったままの俺を跨ぎながら、濃厚で妖艶なキスをしているのだ。俺はまだ葉月の拘束から解放されていなかった。
話は解決したと思い込んでいた。
「ソ、ソフィ……何の真似だ?」
どうにか唇が離れた際にソフィに焦りながら尋ねる。
「ハァハァ……何って、実践訓練?」
「なんで疑問形なんだよ!」
「んっ……お手本を見せていたのよ」
「お手本?」
「そっ! これから葉月に実践してもらうわ!」
何を言っているんだこのロシアン娘はと思いながら視線を葉月に向ける。
「……葉月さんや、その手に持っているもよは何かな?」
「スマホです!」
「どうしてこちらに向けているのだい?」
「録画しているんです!」
「何の為にだい?」
「夜のオカ……ケホンッ……勉強の為です!」
この娘今、夜のオカズって言ったよね?そうだよね?
「葉月しっかり録画できてる? 後でワタシのスマホにも送りなさい!」
「はい! ソフィア先輩」
さっきまであんなに険悪な雰囲気だったのに、いつのまにそんな仲良くなったの2人共?
「さて、次は葉月の番よ! 思う存分やりなさい!」
「はっ?」
いやいやいや何を言ってるのソフィアさん?
「ちょっと待って話が見えない!」
俺は慌てて止めに入る。
「何って葉月がキスするのよ?」
当たり前のように言うソフィア。
「それがおかしいって言ってんの! 俺はソフィの彼氏だよね?」
「う〜ん……そうなんだけど」
モジモジして顔を赤らめるソフィア。
「……自分の彼氏が他の女にヤラれるのも……見てみたいかなーって」
「はいアウトぉぉぉ!!」
全力で叫ぶ俺!
なになに?
ソフィアさんは寝取られ願望でもあるの?
そっち方面の変態なの?
そんな俺の心境を察してかソフィアは続ける。
「あっでも、ワタシが他の男に抱かれるとか死んでも無いから。ワタシを抱いていいのはショーマだけよ!」
「いや……そういう事じゃなく、彼氏が他の女に抱かれるのはいいのかよ?」
「それはいい!」
全力で肯定しやがった。
「それに……やってみたいじゃない?」
「何を?」
「3P……ポッ」
ポッじゃねぇよちくしょぉ!
正真正銘の変態だぁぁぁぁ!
「……あの、あの先輩」
声の方を見てみると、トロンとした表情でどこかモノ欲しげな葉月が立っていた。若干太ももの辺りがモゾモゾしている。
「今から私の初めてを貰ってくれますか?」
「言い方! 初めてってアッチ方面じゃないよね? キスだよね? それならいいよ!」
早口でまくし立てた事で俺は自分のミスに気づいていない。流れでキスを承諾してしまった。
「あっ」
「えへへ! 言質とりました!」
録画もバッチリよ! と言わんばかりにソフィアがサムズアップしている! 力が抜けていく感覚を味わいながら俺は諦めた。
「もう好きにしてくれ……」
彼女達の猛攻が始まる。