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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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あいつは俺のストーカー?

 春というのは、出会いと別れの季節である。新しく始まる新生活に心を踊らせる者。大人の波に飲まれないか不安な者。大抵の人間は不安とそれと同じくらい大きな期待を胸に、暖かな春風を置き去りにして前へ進むのだ。


 ガラガラ


 「うぃす! 翔馬(しょうま)!」


 バシンッ


 「いってー!」


 うるさい挨拶と共に入ってきて、俺の肩を叩いてきたヤツの名前は早乙女春樹さおとめはるき


 1年生の時に仲良くなったヤツだ。なんでも2年になったこの春にサッカー部でエースを任せられるそうだ。


 「おう……おはよ」

 「なんだぁ? 元気ねぇじゃねぇか? 新しいクラスにまだ慣れねぇのか? 新学期始まってもう1ヶ月だせ?」

 「いや、そういう訳じゃないんだが……」


 チラッ


 「ん? どこ見てんだ? ……あぁなるほどな! そりゃ見たくなるのもわかる! 美人だもんな如月(きさらぎ)


 俺が視線を送ったのは、1番後ろの席に座る如月ソフィア。なんでもロシア人の母親と日本人の父親のハーフらしい。


 サラサラの銀髪を肩まで伸ばして、目は少しつり目気味で流し目をした時の表情は破壊力バツグン。手足もスラッと長くスタイルも良い。そしてなにより美乳である。


 「なぁ、翔馬。この際だから言っておくぞ……如月はやめた方がいい」

 「ん? どういう事だ?」


 「いやまぁ。あんまりこういう事言いたくないんだが……」

 「……なんだよ?」


 ハッキリしない春樹に疑問顔の俺。


 「いや、やっぱりいいや! お前噂とか大っ嫌いだもんな!」

 「別に、嫌いってわけじゃ」


 「昔、俺と(あい)がこじれた時、お前にブチ切れられてボコボコにされただろ? あれで懲りてんだよ」


 そんな事もあったねぇ。


 「それは……まぁすまん」

 「謝んなって! あの一件が無かったら俺達カップルは今もこうして笑ってないって!」

 「……そっか」


 春樹が言ってる愛って子は、春樹の彼女で秋ノ宮愛(あきのみやあい)。以前、コイツらカップルがすれ違いを起こした時に、お節介で色々してしまった事がある。その時に春樹とは仲が深まったのだ。


 じぃ―っ


 ブルりと背中に悪寒が走った。振り返ればコチラを睨んでいる如月の姿が見える。一瞬目が合ったかと思ったがすぐ逸らされた。


 「なんなんだよぉ……もう1ヶ月もこんな感じじゃねぇか」


 新学期が始まってから1ヶ月の間、如月はずっと俺の事を見てくる。


 いや見てくるだけならいい。

 アイツは付いてくるんだよ。


 学校でも!

 プライベートでも!

 それも無言で!


 「……俺、何かしたかなぁ」



 そんな事を思いながら、その日はいつも通りの日常として過ぎていくハズだった。

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