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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
19/94

騒動後と親衛隊とそれから縄と【如月ソフィア・神月翔馬】

如月(きさらぎ)ソフィア】


 昨日の騒動から一夜開けた今日。ワタシは困惑の表情を浮かべながら、隣のショーマを見ていた。


 「えーと……ショーマ、これはどういうこと?」

 「ふむ、どうやら作戦は大成功のようだな! は……ははははっ」


 そういった彼は若干顔が引きつっていた。


 今日も一緒に登校し、下駄箱で靴を履き替えて教室に向かおうとした所にソレと出くわした。


 ワタシ達の学校はマンモス校だけあって校舎も広く、それなりにゆとりがある創りなのだが、その廊下を埋め尽くす人だかりが出来ていた。


 「ソフィア様〜踏んでくださいませ〜」

 「ぶひひひ……僕にはロウソクを……」

 「自分はムチで……」


 なんて声が聞こえてきた。

 そんな彼らの額にはソフィア様に踏まれ隊なんて文字が見える。


 一方別の方からは。


 「きゃーソフィア様! 私にあのムチ捌きを教えて下さいませ〜」

 「彼氏に逃げられないように調教したいんですが、どうすれば?」

 「私は口下手なので是非ソフィア様の口撃指導を」


 なんて言葉が聞こえてくる。彼女達の腕にはソフィア様に教えを請い隊と書かれた腕章が見える。


 彼は小声で話してきた。


 「いや〜昨日の映像を見て、もしかしたら同士がいるんじゃないかと思ってはいたんだが……ここまでとはな、はは」


 事前に彼が言っていた副産物というか「悪い事ばかりじゃない」というのはこういう事だったのか。


 ワタシは呆れたような、それでいて嬉しいような心境だった。


 「さぁソフィアお前の出番だ! 今までのストレスをぶつけて来い」


 彼はワタシの背中を押してくれた。


 ワタシはここから新しい生活が始まるのだと思い、皆に向かって宣言するのだった。



 「注目〜! いいかよく聞け〜ワタシは……」


 その日学園に女王が誕生した。


 その日一日のワタシは授業の間の休み時間や昼休みも親衛隊の皆に質問攻めにされた。


 女子達の厚い壁のお陰で男子の魔の手からは逃れる事ができたのは良かった。


 そして放課後。


 「俺、今日料理同好会なんだけど、ソフィも来るか?」

 「料理同好会ってあの後輩がいる所よね?」


 「あぁ葉月(はづき)な。昨日ちょっと会っただろ。アイツと……あと会長だな」

 「会長も入ってるの?」

 「あぁ、忙しくてあんまり顔出せないがな」


 料理同好会の部員は3人らしい。


 「という訳で、ソフィが入ってくれたら部への道のりも近くなる訳だが……」

 「いやぁ、ワタシはちょっといいかなぁ……アハハ」

 「?」


 ワタシとしても、放課後まで一緒に居たいのだけど、少し様子を見よう。


 「まぁ、またゆっくり考えてくれればいいさ!」

 「……うん……そうだね、考えとく」


 そう言ってワタシは女子達『教えを請い隊』のメンバーに半ば強引に連れて行かれるのであった。


 ……………………

 …………

 ……



【神月翔馬】


 ソフィアと別れた俺は、料理同好会の部室である調理室に到着して扉を開けた。


 バチンッ


 そんな音が聞こえたかと思ったら視界が真っ暗になり、意識を手放した。薄れゆく意識の中で最後に耳にした言葉は……


 「つ、捕まえました……」


 と小さな声が聞こえた気がした。



 気が付くと何処かに座っていた。

 いや座らされていた。

 それも縄で縛られた状態で。

 そんな俺に横から小さな声で。


 「あの、あの先輩! 昨日聞きそびれたんですけど……か、彼女ができたって本当ですか?」


 モジモジしながら話す彼女は料理同好会の後輩、白咲葉月(しらさきはづき)だ。


 前髪で少し隠れた目はくりっとしていて肩までかかる黒髪は、どこか日本人形を思わせる。小柄だが、出るところはしっかり出て……出すぎているくらいである。一見気弱そうな印象の彼女。


 俺は極めて冷静に言葉を発した。


 「葉月さんや、出来ればこの縄を解いてはくれまいか……」

 「でもでも……そんな事したら先輩逃げちゃうじゃないですか? それに……」

 「それに?」


 若干冷や汗をかく俺。

 この先の言葉は聞きたくないなぁ。


 「それに……先輩の事食べられないじゃないですか!」


 そう言いきった彼女の手には、見覚えのあるムチと夜のお供のアレが握られていた。


 「おお神よ! どうして俺の周りにはこうも肉食系な女性しか居ないのでしょうか」


 その言葉は虚空へ消えていった。

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