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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第一章 同居開始編
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噂話と雑談。朝食のトーストは憧れのア

 


 噂というのはいつの世も話題の中心にある。


 誰々が結婚。

 誰々がアイツと。

 誰々が浮気。


 人の不幸は蜜の味。


 得てして悪い噂ばかりが世の中に蔓延しているのが現代であり、この情報化社会を生きていく我々は常に噂と隣り合わせで過ごしている。


 紙一枚、画面一枚挟んだ向こう側を覗けば、噂という実体のない仮面の者がコチラを睨んでいるかもしれない。








 リビングにある4人掛けのソファの端に彼女は借りてきた猫のように大人しく座っていた。どこか緊張しているのか時折チラチラとこちらを見ている。


 どこか儚げで、何かを決意したような瞳。


 「えっとソフィさん。いつから居たの?」

 「5時」


 すぅぅ。

 これは俺の息を飲む音。


 「OK質問を変えよう。なんでいるの?」

 「婚約者だから」

 「そこは彼女って言って!」


 更に続ける。


 「なんで家知ってるの?」

 「愛の監視者だから」


 サラサラと言い切る彼女。なのでどうしよもなくなり話題を変える事に。


 「よし次の質問だ。朝食は食べたか?」

 「えっ朝食? まだだけど」

 「そっか。じゃあなにか食うか」


 俺は彼女の変化の理由を知っている。きっと彼女はこっちが本性。見ればわかる。落ち着いているような様子だが、時折小刻みに手や足が震えて、目には決意の色が見える。


 きっと俺に気持ちを打ち明けてから……いやそれよりもずっと前から、悩んでもがいて苦しんで、真実を伝えたくてそれでも伝えるのが怖くて……今日こんな朝早くから居るのだろう。


 俺は彼女の悩みに気付けないほど鈍くはない。


 「なにか食べたいものあるか?」

 「えっと……なんでもいいの?」

 「あるもので作れるならな」


 彼女は少し迷ったあと頬を赤らめながら口を開く。


 「じゃあ、トーストにベーコンと目玉焼きを乗せたやつがいい」

 「それくらいでいいのか? もうちょっと手の込んだヤツも作れるぞ? 俺これでも料理同好会入ってるからな!」


 「うん。知ってる……でもそれがいい」

 「あいよ!」


 そう言って俺は彼女の所望するモノを作り始めた。


 てかコレって、まるっきり天空からの使者のやつじゃんら、


 出来たてホヤホヤのトーストとカフェオレを持って彼女の隣に座る。


 「お待ちどう様!」

 「ありがと」


 「じゃあ、食うか」

 「うん、いただきます!」

 「いただきます!」


 厚めに切ったトーストはバターの香りが鼻腔をくすぐり、その柔らかな表面にベーコンの油が染み渡りツヤツヤと光輝いている。


 その上には黄金の騎士のように光る目玉焼きが、殻を破り新しい世界へと旅立つ雛鳥のように、いまかいまかとトーストの表面へと溢れ出るのを待ちわびている。


 一口頬張ってから俺は彼女に問いかける。



 「聞いてもいいか?」

 「うん」


 彼女は美味しそうにムシャムシャと食べ始め、唇に残る卵がツヤツヤしていた。


 「これくらいの料理なら自宅でも簡単に作れると思うんだが」

 「うん。家でもときどき食べてる。でも今日は凄く特別」


 こちらを振り向き、はにかんだ笑顔をみせる彼女はこう続けた。


 「好きな人と食べるから特別な味♪」


 はい来ましたぁ!

 みなさんデレ期が来ましたよぉ!

 交際3日でやって来ましたデレ期。


 えっ何?

 めっちゃ可愛いんだが?

 本当に俺の彼女なの?

 やったぜ!


 「そ、そっか。そいつは良かった」


 極めてクールを装い落ち着いた声で言ったはずなのに、耳から聞こえた自分の声はキョドりまくっていた。


 朝食も食べ終わり、落ち着く為に今度はミルクココアを2人で飲んでいる。まだ登校時間までだいぶ余裕があるので彼女が話したくなるのを待つことに。


 そして。


 「ショ、ショーマ、あのね……聞いてくれる?」


 来たか。


 ここからが今回の本題であり、彼女の苦悩の原因。そして噂の真相というわけだ。

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