プロローグ
人はなぜ恋をするのだろう?
それは、愛した者と一生を添い遂げたいと思うからだろうか。
「あっついなぁ……」
ジリジリと照りつける太陽がもうすぐ夏の訪れを知らせる頃。俺、神月翔馬かみづきしょうまはリビングのテーブルに座り、独り言をつぶやいていた。
「やっぱり1人はいいなぁ」
穏やかな時間の中で、1人の世界を漫喫していた。
大きく息を吸い、手を伸ばし新鮮な空気を取り入れる。それが終わると目の前には湯気がゆらゆら揺れるコーヒーに口を付ける。もちろんブラックだ。
「はぁ、ひとりは幸……」
「ちょっと、翔馬! 早く食べなさいよね!」
「ワタシが食べさせてあげようか? 口移しで。はいあ〜ん」
「ちょちょちょ、ソフィアなにやってんのよ!?」
「ひとりは……」
「……あのあの先輩! お、お弁当作りました!」
「ひとり……」
「私は生徒会の仕事があるから先に出るぞ! 皆も遅刻するなよ?」
「「「は〜い」」」
「うふふふ、さつきちゃんいってらっしゃ〜い」
「って、どうしてこうなったぁぁぁぁ!?」
思い描いていた1人暮らしは突然終わりを告げ、なぜか俺の家には……5人の女の子達が住んでいた。
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