お父様と一緒②
ヴィーに向かって宣言したぼくは、さっそく部屋で頭を捻っていた。
「どうやったらお父様はぼくに会いたくなるだろう……」
前世読んだ漫画とかでは、親の気を引きたい子供がわざと危険なことをする展開があった。
でも、ぼくのお父様の場合、それをやってもスルーされる可能性すらある。ぼく、お父様に嫌われてるもん。
だからまずはお父様の気を引かないと。
「どうしたらお父様の興味を引けるかな……」
お父様は多分、そもそもぼくのことをよく知らないはずだ。
ぼくを知ってもらうことからだな。
*
「サスリカお嬢様、何をされているのですか?」
「お庭を掘ってるの!」
植物に水をやりに来たヴィーに聞かれ、ぼくは答える。
納屋から引っ張り出した小さなスコップを片手に、ぼくは地面を掘っていた。
「見てみて、ミミズ捕まえた」
「おや、見事なミミズですね」
「ぼくね、お父様にぼくのことを知ってもらおうと思うの。ぼくはお外を歩いたり虫を捕まえたりするのが好きだから、虫を捕まえてプレゼントしようと思って!」
「なるほど、それは良いお考えですね。ではそのミミズは箱に入れて、私から旦那様にお届けしましょう」
「ありがとう!」
名付けてプレゼント作戦。
ヴィーにお花のかんむりをあげた時はすごく喜んでもらえたから、ぼくはそれで味を占めていた。
お父様にいーっぱいプレゼントをあげて、ぼくのことをよく知ってもらおう!
「蝶々捕まえた!」
「お見事です」
「でっかい蜘蛛いたよ!」
「素晴らしい」
「蛇いた!」
「お嬢様もすっかり狩りがお上手になりましたね」
それから毎日ぼくのプレゼント作戦は続いた。
「ねぇねぇ、お父様どう? 喜んでた?」
「箱を開けてミミズが入っていた時は、とても微妙な顔をしていらっしゃいました」
「なんで? 可愛いのに」
「何故でしょう?」
ぼくたちはそろって首を傾げた。
「お父様は虫がそんなに好きじゃないのかな?」
なら、虫じゃないものをプレゼントしよう。
「泥団子作った!」
「おや、ピカピカですね」
「表面を擦ってね、ピカピカにしたの」
子供がよくやる奴。
例に漏れず、ぼくはこのピカピカ泥団子を作るのが大好きだった。
なんだか童心に帰った気持ちで頑張っちゃったな。今は正真正銘の童だけど。
そんな風にして、ぼくは毎日お父様にプレゼントを贈った。
*
「サスリカお嬢様、何をしていらっしゃるのですか?」
「ここにねー、鳥の巣があるの!」
今日も今日とてお父様への贈り物を探すぼく。
お庭を歩きながら何かないかなーとやっていたら、庭の木の上に鳥の巣ができているのを発見した。
これは! と思ったぼくは木に登り、枝をつたって鳥の巣に近づいたのだった。
「お嬢様、危ないですよ。降りてください」
「あとちょっとだけー。鳥の巣にね、卵があるんだよ」
「落ちたら怪我をします」
「大丈夫だよ。めったに落ちたりしない……」
と言った瞬間、ごっと強い風が吹いた。
「あっ、卵が!」
「お嬢様!」
枝が揺れ、巣から卵が落ちそうになり、ぼくはとっさに手を伸ばしてしまった。
バランスを崩してぼくは木から滑り落ちる。
「いったぁ〜〜〜……っ」
「大丈夫ですか」
思いっきりお尻から落ちた……。
「ヴィー、お尻が痛いよ」
「だから言ったではありませんか」
「えへへ、失敗しちゃっ……いたっ」
手をついて立ち上がろうとしたら、手首がひどく痛んだ。
「ひねってしまっていますね。落ちる時に妙な力の入れ方をしたのでしょう」
「いたい……」
「お屋敷に戻って冷やしましょう」
「うん……」
ぼくはヴィーに抱っこされてお屋敷に戻り、氷嚢で患部を冷やされまくった。
お気に召しましたら感想、評価、ブクマお願いします。
いただけると更新が目に見えて捗ります。