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失恋した直後に死んだら俺にハーレムができました。恋人達は俺が守る!!  作者: ゆうきぞく
第十二章 氷蓮過去決別編
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血と暴力の世界の法は重い


 さて俤治に対してのケジメをきっちりと取ったので今度は金城の方だろう。

 未だに気絶している金城の腹部を少し手荒に蹴り込んでやる。すると金城はおうっと言う情けない声を吐き出しながら強制的に目を覚ます。そして目の前で仁王立ちしている氷蓮と余羽を見て小さく悲鳴を漏らす。

 そしてすぐに自分の両腕を縛られている事に対してがなり立てる。


 「て、てめえら極道相手にこんな事をしてどうなるか分かってんのか!! 行李組の幹部である俺の一声で大勢の部下が押し寄せて来るぞ!!」


 「は…大勢の部下ね。でもそれって所詮そこで寝ている部下共と同じレベルの奴等だろ?」


 氷蓮がそう言いながらこぞって倒れている金城の部下を指差して皮肉気味に笑みを浮かべる。

 彼女の嘲笑に対して金城は思わず声を詰まらせてしまう。彼の組には転生戦士は1人しかいない。その転生戦士が自分の傍らで失神している以上は一般人の部下しか呼び寄せれない。そして金城も転生戦士の強さは熟知している。だからこそ大枚叩いて雇っていたのだから。

 

 「と言うよりもこの状況で仲間を呼び寄せるなんて無理ゲーでしょ」


 余羽がついでと言う感じでそう言うと益々何も言えなくなる金城。だがやはり彼だって腐っても極道幹部、俤治とは違ってまだ強気な態度を取り続けて来た。


 「いくらお前らが転生戦士だからと言っても所詮は一般人だ。組そのものがお前たち、いやお前たち周辺の人間に報復だって仕掛けるかもしれねぇぞ。それでもお前らは余裕ぶっていられるのか?」


 この言葉に対して少し不味いと感じたのは余羽であった。確かにコイツの組の人間が自分の周りに居る一般人である人間を襲うのは不味い。転生戦士である自分とは違い対応できずに命の危機だってあるかもしれいない。

 余羽の焦りが出始めた顔を見て金城は内心でほくそ笑む。


 「(よしいいぞ。ここから身近な人間に被害は及ばせたくないだろう、そんな流れで上手く言いくるめれば……)」


 自分に有利な手札がまだ残っている事を理解した金城は当初よりも落ち着きを取り戻しつつあり、ここから今まで多くの者を騙して来た舌先三寸の力を発揮しようとする。


 だが彼よりも先に廃倉庫内に何者かの声が響き渡った。


 「残念ながらお前に俺たち周辺の人間を襲っている余裕があるとは思えないぞ」

 

 「な、誰だ!?」


 倉庫内に響いた声は完全に自分とは別の男性の声であった。

 皆が一斉に振り返るとそこには何と加江須が立っていたのだ。その隣には腕組をしている仁乃も一緒だった。


 「え、な、何で加江須君たちが此処に…?」


 まさかの人物たちの登場に混乱する余羽をよそに氷蓮が彼らに話し掛けた。


 「よお加江須、それからおっぱい魔人。そっちの方はどうだった? 無事に決着がついたか?」


 「ああ、こっちの方は無事に片が付いたぜ」


 氷蓮と加江須の話している内容が良く分からず首を傾げる余羽。何やら決着と言う単語が出ていたが加江須たちは今まで誰かと戦っていたのか? どうにも話が見えてこない……。ちなみに加江須の隣では仁乃が氷蓮に胸部をネタにされた事でウガーッと吠えている。


 いい加減に説明が欲しいと思っていると自分と同様に置いてけぼりとなっている金城が喚き立てる。


 「おいお前たち、さっきから俺を無視して話を進めるなや! いきなり出て来てどこの誰だ餓鬼ども!!」


 まだ十代の少年少女に眼中にもされていない状態はやはり極道組織の幹部としては許せなかったのだろう。まあ氷蓮にやられ、しかも両腕を縛られている今の状態を考えれば何とも意味のない薄いプライドである。

 

 事情を説明しろと騒ぎ立てる金城に対して加江須は頭を軽く掻きながら溜息を吐く。


 「はあ…俺から説明してやってもいいが――アンタ等からこの人に説明してやってくれるか?」


 そう言いながら加江須は顔だけ振り返りながら倉庫の外で控えている連中へと声掛けをする。


 そして加江須からの呼びかけによって複数人の男達がゾロゾロと倉庫内へと入って来た。

 いきなり現れたいかにも堅気とは思えない男達の登場に余羽は思わず身構えてしまう。しかし隣に居た氷蓮が彼女の前へと歩み寄って手で制して来た。


 「まあ早とちりすんな。少なくともこのオッサン達は敵じゃねぇよ」


 「ね、ねえどう言う状況なの? 加江須君たちが来たかと思えば明らかに暴力団的な人達も一緒に来て、しかも敵じゃないって言うけどそもそも誰?」

 

 「ああその説明は俺からしても良いが…どうせならそこで震えている金城のオッサンから訊いた方が早いんじゃねぇかな?」


 氷蓮の言葉に余羽は振り返って背後で控えている金城の方へと顔を向ける。すると今まで威勢が良かったはずの金城はガタガタと顔を青ざめて震えていた。急な態度の変化に益々事態を呑み込めないでいると加江須の連れて来た男達、その中で一番年長者と思われる男性が口を開く。


 「金城ぉ…てめぇ堅気に手を出すなんざウチの組に泥を塗りやがって……!」

 

 「ひぃ…カ、カシラ。これはその……」


 「え…カシラ? じゃあこの人達って……」


 「ああ、そこに居る男と同じ行李組の人達だよ」


 もしやと思っている余羽に対して加江須は彼等が金城と同じ組の人間である事を話す。

 加江須が連れて来た連中の正体は分かった。しかし何故行李組の人間と加江須たちが一緒になってこの場に現れたのか、その理由に関しては謎のままだ。

 未だに頭を捻っている余羽に続けて今度は仁乃から事の顛末を語られる。


 「実は余羽さんが帰って来ないから氷蓮のヤツが加江須や私に連絡して来たのよ」


 大まかにまとめると自分が俤治たちに廃倉庫で捕らわれている間、氷蓮が捜索の協力を加江須たちに要請していたらしい。そして捜索途中で氷蓮のスマホに俤治からの連絡、その通話で俤治が行李組の人間と共に居る事を知らされた。

 そこで氷蓮はこの廃倉庫に向かいながら加江須と仁乃にある頼みをしていた。それは行李組に乗り込みそこに余羽が居ない確かめに行って欲しいと言うものだった。もしかしたら余羽は廃倉庫ではなく組本部に連れ攫われている可能性もあると判断して頼んだのだ。

 普通ならば恋人に極道本部に乗り込んでくれなんて頼みはしないだろう。だが加江須や仁乃の実力ならばハッキリ言って何の問題もなく勝てると信じているからこそ頼めた事であった。


 「氷蓮から行李組へと向かって欲しいと連絡されて俺と仁乃は急いで組へと乗り込んだんだよ。もしも余羽さんが捕まっているなら無視はできないからな」


 加江須と仁乃にとっても余羽は大事な友人、死線を共に潜り抜けて来た戦友なのだ、見捨てるなど選択肢はない。例え相手が暴力団の本部であろうとでもだ。そして二人はすぐに組へと向かうと乗り込んだ……だがそこで予想外の展開となったのだ。


 『アンタ等に訊きたいことがある。ここに俺たちと同じくらいの少女が捕らえられてはいないか?』


 『隠すとためにならないわ。正直に話した方が身の為よ』


 加江須と仁乃の二人が神力を漂わせながら鋭い眼光を向けて問いを投げかけると組員達は額に汗を滲ませていた。それは目の前の二人から未成年とは思えない凄まじい圧を本能で感じ取ったからだ。

 だがそんな二人以上の巨大な威圧感を身に纏った人物が現れたのだ。

 

 『随分と騒がしいと思ったら、何か用かい坊主たち?』

 

 落ち着きを感じさせる白髪の60代くらいの男性がゆったりと歩いてやって来た。その人物こそは行李組の親分であった。彼は決して加江須たちの様な転生戦士ではない。しかし長い時間を暴力の世界で生き抜いて来て身に付いたその迫力と貫禄に加江須と仁乃の二人は思わず唾を呑み込んでいた。


 『おう坊主と嬢ちゃん。一体何の用でウチに来たんだい?』


 暴力団の組織にまだ未成年の子供がやって来たのだ。何か訳アリである事は彼も見抜いておりまず話を聞こうとして来たのだ。この対応は加江須たちからすればかなり意外だったようだ。と言うのも暴力団相手にはまともな話し合いが望めないだろうと半ば決めつけていた部分が二人の中にあったからだ。

 加江須たちも別にこの組織と全面戦争を所望している訳ではない。氷蓮から受けた連絡内容から知った情報を組長へと伝えて訳を話した。


 自分の友人がこの行李組の人間に捕らわれている事を説明すると組長の表情が変化する。


 『なるほどぉ……金城のヤツ、まさか堅気相手にそんなふざけた真似をするとはなぁ……』


 相手が自分たちより非力な人間だと理解しつつも加江須と仁乃は思わず後ずさってしまった。もう高齢の人間とは思えない程のまるで猛獣並の殺気を放たれてその場にいる全ての人間が冷や汗を流していた。


 『なあお二人さん。少し頼みがあるんだが……』


 どうやら行李組は堅気相手に理不尽を働くような鬼畜な所業は許していなかったらしいのだ。つまり余羽を捕らえたのは完全に金城の独断行動であり、それを知った組長は烈火の如く怒り狂った。そして組の人間達に命令を下す。


 『おめぇら! このお兄さん達と一緒に金城をここまで連れて来い!! 俺が直接ケジメを取らせる!!』


 このような経緯があって加江須たちと行李組はともにこの場所に乗り込んで来たと言うのが事の経緯だった。そして戦闘が終わった氷蓮からこの居場所を聞いて今に至る。


 行李組のカシラである男はゆっくりと先頭へと出ると金城に低い声で言った。


 「おい金城ぉ…ウチの組は堅気に迷惑を掛ける事が許されていねぇ事は幹部であるてめぇなら十分知っていた筈だな」


 「あ…そ、それは……」


 「ああ…テメェはもう喋らなくてもいいぞ。なあそこの嬢ちゃんたち、コイツに何をされそうになったのか被害者本人であるアンタらから話しちゃくれねぇか?」


 カシラがドスの訊いた声で余羽と氷蓮に尋ねると氷蓮は意気揚々と全てを話す。


 「ほう……堅気、それも未成年を売りに出そうとは良い根性だ。金城ぉ…テメェ覚悟は出来てんだろうなぁ……」


 「あ…ああああああ………」


 血と暴力の世界の掟は表の世界以上に厳しい事は金城は良く知っている。裏の世界の法を犯した者の末路を嫌と言う程に見て来たのだし、何より金城本人が制裁を下した事も何度もあるのだから。


 だからこそ金城はこの後の自分に未来だって容易に想像がつく。逃げ場の無いこの状況、そして言い訳も脅しも通用しない事を悟った彼は失禁しながらな涙を流す事しか出来なかった。



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