第96話:十二月よ、レディオノイズを消して
芋洗レィディオぉ、レディオ、ィオ、ィォ。
皆さんこんばんは。
オールナイト芋洗ラジオ、金曜日のメインパーソナリティー、
斎藤一子と、
「金守銀千代です。十七です。なんでもします」
本日は皆様の恋のお悩みを芋洗の自称恋愛マスター・金守銀千代がズバッと解決していこうという大人気コーナー!
ギンギラギンにィ、キューピット、ピットぉ、トォ、ぉ!
本日も気合いいれて参りましょう!
ふふ、銀ちゃんが恋愛マスターかどうか私はいまでも疑ってますけどぉー。
いやぁ、それにしても最近めっきり寒くなってきたねー。銀ちゃんはどう、風邪とかひいてない?
「……」
銀ちゃん……本番中はスマホいじっちゃダメだよー……。
「いま大事な時なの。他人の恋にかまけてる暇なんてないんだよ」
お仕事なんだから真面目にやって!
「正直言うとね、なんでこんなことやらないといけないのか、全くもって理解できないんだ。
恋愛に悩みなんて起こるはずないんだよ。だって好きという気持ちにも嘘はないんだから。
嘘がないなら疑う必要もないでしょ? 真実から出た真の行動は決して滅びることはないから、安心して突き進めばいいと思うよ。はい、今日のお悩み相談はこれでおしまい。
それじゃ、銀千代、今日は早く帰ってお風呂掃除しなきゃだから、また来週のお楽しみ。伊達にあの世はみてねぇぜ!」
ちょ、ちょっと、まって、まだ話始まってもないよ!
え、えと、とりあえずオープニングソングです。曲はおなじみ、「九月の恋はファイナルディスティネーション」もう十二月なんですけどね! お聞きください!
ほら銀ちゃんちゃんとしてくれたら例の件、ちゃんと手配……
はい、相変わらずいい曲ですね。ちなみに途中で入っている銃声は本物らしいですよ。
銀ちゃんも大人しく席ついてくれたし、それじゃあ、さっそく本日の恋愛相談始めていきましょう。
「それよりワンコ、バスターコールの権利を銀千代にくれるって話、忘れないでね」
あ、はい。えと、
ギンギラギンにキューピットぉお!
一通目。ラジオネーム、深淵歩きのアルトリウスさんからです。
こんにちは、ぎんちゃん
「こんにちは」
好きな人の前だと緊張してしまい、うまく話せなくなってしまいます。どうしたらいいですか?
わかりますねぇ。とても可愛らしい悩みですが、誰しもそんなところあるじゃないですかね。
銀ちゃんはどうすればいいと思う?
「創造ればいいと思う」
つく……?
「前日とかにこういう会話をしようってきちんとシミュレーションするの。あらかじめ話すこと考えておくと緊張しないですむでしょ」
あ、わりと普通のアドバイスだ。
「やり過ぎると一体化しちゃう可能性があるから注意なんだけど」
なにごともホドホドってことかな。
えっと、シミュレーションは確かに有効な手段かもしれませんね。あ、でも、それだとさぁー、好きな人が違う行動とったときにうまく対応できなくない?
「なにか違うこと言いそうになったら、素直に新しい発見を喜ばなくちゃ。そういう事を言えるボキャブラリーがあるんだなって思ったら余計好きになっちゃうよね。想定を越えてくる、それが一番の喜びだから」
えっと、まあ、何を話すか考えておくってのはなかなかいい方法かも知れませんね。ラジオネーム、深淵歩きのアルトリウスさん、参考にしてください。
それでは二通目、ラジオネーム、神喰らいのエルドリッチさんからです。
こんにちは、銀ちゃん。
「こんにちは」
私にはいま十年片想いしている男性がいます。その人は私の親友と付き合っていますが、最近うまくいっていないようです。こんなタイミングで彼に思いを伝えるのは卑怯でしょうか?
これはなかなかシビアな問題ですね。愛をとるか、友情をとるか。三角関係? ってやつですかね。
銀ちゃんはどう思う?
「どっちが本当に好きかによると思うな」
あ、意外だね。銀ちゃんなら愛って答えると思ったんだけど……。
「その二人が崖から落ちそうなときどっちを助けるかって話だと思うよ。なにに対しても優先順ってのはあるから。もし両方選べないなら、両方殺すか。両方助けるか、しかないよね。それができるのならば、だけど」
うーん、なかなか難しいですね。
愛情もそうだげど、友情も大切にしたいし。
「まあ、なんにせよ、銀千代は悩むなら本物じゃないと思うね。自分の一番好きな人を優先する。当たり前でしょ? その人がいない世界を想像できない、その人以外考えられない、そういう感情に支配されていないのなら、それは本当の愛とは言えない。紛い物だよ。銀千代の言ってることわかったら早く好きな相手を助けて、残った方を殺してください」
あ、えっと、そこまではしなくていいと思います。
ラジオネーム、神喰らいのエルドリッチさん、参考程度に聞いてください。
それでは三通目のお便り参りましょう。
ラジオネーム、竜狩りのオースタインさんからのお便りです。
銀千代さん、こんばんは。
「こんばんは」
いま付き合っているカレシは友達が多くて私とのデートよりも友達との予定を優先してしまっています。
私はすごく寂しいのですが、そんなことをグチグチ言うのはカノジョとして間違っていますでしょうか?
なるほど、友情か愛情かという点では二通目と少し共通している問題かも知れませんね。
銀ちゃん、君の意見を聞こう!
「間違ってないよ。寂しい思いをしてるときは素直に寂しいって言うべきだよ。銀千代なんて一日に二十四回は寂しいって呟いてるよ」
んー、問題はその寂しい気持ちに彼氏さんが応じてくれるかどうかですよねぇ。なにかいい方法はありますか?
「相手を孤立させればいいよ。すがるものがなければ、自ずと依存してくれるよ。できるだけ合法な手段がいいけど、やむを得ない場合は常識の範囲内で対処していこう」
ちょ、ちょっとそれはどうなんでしょう?
下手したらイジメみたいになりません?
「ならないよ。嘘はもちろんダメだけど、真実を知って離れない人が本当にその人を愛してるってことだから。銀千代なら相手が【ピーーーー】(とんでもないフェチシズム)でも、愛してられるもの」
な、なるほど。それはすごい本当の愛ですね。
ちなみに銀ちゃんはなにかフェチってあります?
「んー……ないかな。好きな相手のことならなんでも受け入れられるし、特に思い浮かばないなぁ」
そうなんですね。ちなみにアタシは喉仏フェチです!
それでは本日最後のお悩みです。ラジオネーム、処刑人スモウさんからの投稿です。
銀ちゃん、こんばんは。
「こんばんは」
ずっと好きだった男性がいるのですが、付き合う前に体の関係をもってしまいました。私としては正式にお付き合いしたいのですが、ここからカップルの関係になることはできるのでしょうか?
うーん、ちょっといきなり大人な質問が来ちゃいましたね。どうなんでしょう? 愛があれば大丈夫だと思うけど、銀ちゃんはどう思う?
「スモウさん、まずお聞きしたいんだけも、体の関係ってセックスのことかな?」
あ、とくに中継とかは繋がってないけど、たぶんその認識であってると思います。
「正式に付き合う前にセックスしちゃったってことか」
ああ、はい、そうですね。
あの、一応アイドルなんでそういうことは明け透けと言わないように……。
付き合う前にしちゃうのは、貞操観念が緩いと思う人がいるかもしれませんが、銀ちゃんはどう思います?
「人は人、自分は自分だから、結局のところ自分がどう思うかじゃないかな? 銀千代は相手に合わせるタイプだからそういうのは特に気にしないけど」
さりげに爆弾発言な気がしますが……、男の人はいわゆるヤリモクという方も多いから女の子は気を付けた方がいいんじゃないかな、と一子は思うわけですよ。
「生物学的には子孫を残す行為をしているだけなんで間違ってはないんじゃないかな。あとは精神的な面でお互いがどう思うかってところが重要だよね。一番大事なのはやっぱり気持ちだから。とりあえず告白するなりしてみたらいいんじゃない? 正直どうでもいいけど」
ぎ、銀ちゃん、一応恋愛相談のコーナーなんだからもっと真剣に考えて寄り添った回答してあげてよ。
「後悔してるふりしてるけど、文面から見るに、断れる状況にはあったと思うんだよね。それを今さらグチグチ悩んだふりするのは相手の人にも失礼なんじゃないかな。そんなつもりなかったとか相手が言うなら、責任とってって追及すればいいし、拒否するなら【ピーーーー】」
いや、まあ、一時の気の迷いとか、雰囲気にのまれてしまって、不本意のなか体を許してしまうということもあるのでは?
「逆に聞きたいんだけど、どうすれば手を出して貰えるの?」
え?
「自慰行為はしてるからそれなりに性欲はあるんだろうけど、モーションかけても反応しない男性が……えーと、いたとするじゃない? どうしたら手を出してもらえるのかな? いや、完璧美少女の銀千代がお願いしてるのに反応しないのは、もしかしたら、なにか別の性癖をもってる可能性があるのかな? 最近本当に悩んでて、世の男性に答えてほしいんだけど」
え、と。銀ちゃん?
恋愛相談から少しずれている気がしますが。
「というわけで銀千代の悩みに答えてくれる方はこの番組のメールアドレスまでご応募ください」
あ、いや、その前にスモウさんのお悩みにお答えください。
「告白すればいんじゃない?」
あ、はい。少しは参考になったかな、ラジオネーム処刑人スモウさん。
はい、と、ゆーわけでっ、
本日もズバッとお悩みを解決していきましたね!
コーナーに採用された方には芋洗メンバーのサイン入り番組ステッカーを差し上げますので大切にしてください。転売だめですよぉー。
名残惜しいけどお別れです。遅くまでお付き合いありがとうございました。
本日のお届けは斎藤一子と!
「金守銀千代です。十七です。なんでもします」
エンディングソングはエアロスミスでアイ・ドント・ウォント・トゥー・ミス・ア・シングです。
また来週この時間にお会いしましょう。
さようなら!
「デュエルスタンバイ!」
銀ちゃん、なにそれ?




