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王様が出てくる

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「たかしのことは、僕から言うよ。だから、たかしは黙っていてくれ」

「ああ、わかった」


たかしとトシヒロは、豪奢で真っ赤な両開きの扉の前で口裏を合わせると、トシヒロが扉を開こうとして、その前に向こう側からバンと扉がすごい勢いで開かれた。


「何があったのであるかあ!!!!!」


高級な綿で作られたであろう肌触りの良さそうなマント、金ピカの王冠、品のある長い黒ひげ。着飾った表面を取れば、外見はただの小太りのおっさんであるが、そこにいたのは紛れもなく玉座に座っていたであろう、王様だった。


「我の家来が、倒れておる!!!」

「誰がやったであるかあ!!!」


王様はお冠であった。

王様はギロ、とたかしを見つけ、睨みつけた。


「お前がやったのかあ!!! 許せん!!! 死刑だあ!!」

「いや……」


たかしはわけもわからずぽかーんとする他ない。


「おいそこの家来共、こいつが我の家来をやった犯人である!!! 今すぐ捕らえるのだ!!!」


背後の扉からぞろぞろと家来たちが、総勢10名ほど出てきて、すぐにたかしとトシヒロの周りを取り囲んでしまった。


「お、おいちょっと待ってくれよ」

「戯言無用!! ここに家来が倒れている事実、それだけで全てに合点がいく!!!」


王様は人の話を聞かないタイプの人間であるらしかった。

ガチャン! 家来の長槍の先端がたかしの顔面に向けられる。

一歩踏み出し槍を突き出せば、たかしの顔面はひとたまりもないだろう。


「待ってください、王様。ここにいるたかしは、選ばれし勇者の1人! それは僕が保証します」


と、トシヒロが手をたかしの前に出し、それを制する。


「トシヒロ……! お前ってやつは……」


たかしは身を挺するトシヒロの男らしさに目が潤んだ。


「ふん。どうであるか。我は人の意見で物事を判断したりはせん。こいつが何をしたかは、我が決める。我が法なのだ。たとえ、それが選ばれし勇者の進言であっても、である」


「くッ……」


このイカレ王が、と言いたくなるのをグッと堪え、たかしは奥歯を噛み締めた。

だが、トシヒロは冷静である。


「そうですか。では、たかしを王様の儀式に参加させてください。それで、彼が本当に選ばれし勇者なのか、それとも違うのか、判断できるでしょう」

「ほう、そこまでいうか。ならば、それ相応の覚悟はできているんであろうな?」

「もしもたかしが勇者ではなかった場合、僕は殺されても構いません。また、反撃もいたしません。そのことを、アパリシ教の名のもとに誓います」


トシヒロの言葉に、王様は湧き上がる怒りを抑え込み、深呼吸をする。


「……仕方がない。アパリシ教の名のもとに誓いを建てられてはな。ではそこのもの、こちらに来るが良い」


「……」


どうやら、王の怒りは、なんとか静まったようだった。


「すまない、トシヒロ。この恩は、一生忘れない」


たかしは自分の命を2度ならず3度も救ってくれたトシヒロに言葉では言い表せない感謝を表した。


「こんなの、どうってことないよ。だって、ゲームじゃん」


だが、トシヒロのあっけらかんとした言葉に、たかしはぽかーんと口を開ける。


「それに僕たちの冒険は、まだスタート地点にも立っていないはずだ。もしもこの世界が勇者が魔王を倒すRPGなのだとしたら、これから先もっと過酷な運命が待ち受けているかもしれない。それを考えたら、今のこの状況なんて、ぬるすぎるよ」

「……そ、そうかァ?」


今でも十分過酷だが、と思ったたかしだったがその言葉は飲み込んだ。


「よし、今度こそ行くぞ、たかし」

「おう、トシヒロ」


今度こそ、たかしとトシヒロは大きく赤い玉座へと続く両扉の中へと入るのだった。


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