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92話「視線」風祭順。

 今度は、女性にとっての怖い話。もちろん、男性でも気持ち悪く思うようなものよ。


 これは友人に聞いた話なんだけどね。



 友人の佐藤さん。彼女は仕事帰りに、駅のトイレに入ったの。すると、どこからか見られている感じがして・・・。


 でも、佐藤さんは幽霊なんかを信じるタイプじゃなかった。これは見られている感覚というより、普段は無かったものが増えている、それを察知した感覚なんだ、って直感したの。特に女性に顕著けんちょに見られる感覚ね。


 それで佐藤さんは個室の中を丹念に探ってみた。そうしたら、壁の上方部分に、不自然な紋様があったの。佐藤さんは監視カメラを隠しているのだと分かったわ。


 とりあえず別のトイレに入って用を足して、それから駅員さんに通報したの。あれは隠しカメラなんじゃないですか、って。


 通報した佐藤さんも立ち会って、トイレを確かめてみた。


 すると、実際にそれは単なる壁の模様だった。念のために霧吹きをかけて雑巾ぞうきんで丁寧にこすってみたけど、ただ壁を綺麗にするだけで、プラスチック片なんかは落ちなかった。


 それでも駅員さんは佐藤さんの言い分を信じてくれて、トイレ内をしばらく調査してくれた。


 すると、本当に見つかったのよ。隠しカメラが。


 場所はトイレ内のゴミ箱・・・の下。ポコッと浮いている部分があったんだけど、ご丁寧にも床のタイルと同じ模様で迷彩したカメラケースだったの。でもゴミ箱の下だから、そこが特徴的なタイルでも誰も怪しまなかった。清掃員でも、忙しければ見逃してしまうでしょうね。


 そこで駅員さんが警察に通報してくれて、佐藤さんは少し安心したわ。もしかしたら犯人の検挙にもつながるかも知れないしね。


 その時の警察の事情聴取にも協力した佐藤さんに、後日また警察から連絡が来たの。できればもう一度、駅に来てもらって、話をうかがいたい、って。


 駅?またカメラが発見されたのだろうか?佐藤さんはそんな事を考えながら、いつも通っている駅に向かったの。もちろん仕事終わりにね。


 すると、あの紋様を確認させられたの。当時と変わりありませんか?ってね。


 よく分からないけど、佐藤さんは頷いたわ。そうです、と。


 その時、警察や駅員さんの他に、工事業者さんみたいな人も居たんだけど、その人達がトイレの紋様を工具でいじると、ポロッと落ちたの。


 そして駅員さんは、その場で逮捕された。


 そう。駅員さんが仕掛けていた本命のカメラは、やっぱり佐藤さんの見たあそこにあった。ゴミ箱の下はダミーね。


 だから駅員さんは佐藤さんの目の前で紋様のカメラを発見しようとした「フリ」をしたのね。本気で雑巾でゴシゴシしたわけじゃなくて、力を込めたように見せて、実際にはカメラが壊れないようにしたんだって。


 でも警察は本気で調べた。すると紋様の中にもカメラが見つかり、それを調査してありませんでした、と言い切った人間はつまり・・・と言う事で、その時立ち会った駅員さんも逮捕されたの。



 すごく怖い話よね。身内に犯人が居たんじゃ、防ぎようもない。


 じゃあ、次。

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