表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/100

77話「開かずの間」水野智之。

 ぼくは研究対象の採集のために、たまに遠出するんですけど、その時はホテルに泊まるんです。やっぱり車中泊とは回復度合いが全く違いますよ。仲間と一緒なら車中泊も楽しいかも知れませんが、1人ならホテルでシャワー浴びて寝たいですね。


 でもこんなホテルは、ちょっと遠慮したいですね。



 N県にあるホテルには、開かない扉がある。先輩達の間にはそんな噂がありました。N県は研修にも旅行にも頻繁ひんぱんに訪れる場所です。そのホテルには、結局ぼくも行く事になったんです。


 N県の大学との合同研修が行われるのが、ちょうどそのホテルでした。


 ホテル自体は歴史ある建物ながら、時代に合わせての改修工事が行われ、全ての設備が近代的。不便さなんて全くありませんでした。


 ただぼくの泊まった部屋の隣が、その開かずの扉なのは、刺激的でしたね。


 ぼくの部屋は305号室。フロアの中ほどにあるにも関わらず、横の306号室には進入禁止のテープまで貼ってありました。


 最初は工事中なのかと思いましたが、それなら工員さんまで入りにくくなるテープじゃなく、鍵だけで良いですよね。普通に。


 ぼくも少しは気になりましたが、中には入りませんでした。ぼくは。


 でも、先輩はそう思わなかったそうで。一緒に来ていた先輩の1人が噂を確かめようと、その中をのぞこうとしたらしいです。


 その後、その先輩は行方不明になったきり、消息も聞きません。ニュースになったかどうかも怪しいものです。



 でも、ぼくが怖かったのは、開かずの間じゃなくて。


 消えたはずの先輩が最後に立ち寄った場所であるホテルが、立ち入り検査も受けてないらしい事です。


 ぼくはもうN県に行っても、あのホテルにだけは泊まりませんね。


 では次の方どうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ