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71話「足立区ファミリー」神渡京介。

 これは有名な怪談なので、皆さんご存知だと思います。そろそろネタがなくなって来たんで、まあご勘弁。



 足立区に、とあるご家族が住んでいました。お父さん、お母さん、娘、息子。一家四人の核家族で、おじいさんおばあさんは田舎に暮らしていました。


 そんなどこにでもある4人家族ですが、1つだけ、違うところがありました。


 お父さんはフランケンシュタイン。お母さんはヴァンパイア。お姉ちゃんは人魚。弟くんは狼男。


 怪物一家だったのです。


 彼らは、人呼んで、足立区ファミリー。足立区の平穏と不穏の象徴として、現在もそこに住んでいるはずです。運が良ければ、一緒に写真をとってもらえる事もあるとか。


 足立区ファミリーに関しては、既に伝記小説が数十冊は出ていますが、今回はそのうちの一説を紹介します。皆さんにもきっと、懐かしいなあと思ってもらえるはずです。


 とある夏の日。足立区ファミリーは毎年恒例の花火大会を見物に出ていました。地元では有名なお祭りで、よそからもたくさんの見物客が訪れる、一大イベントなのでした。


 お父さんがそれなりに長身なために、一家は人々の後部座敷席に。もちろん、ちゃんとチケットを購入しています。


 お父さんがわたあめを食べてにっこり笑い、お母さんはケチャップとタバスコで彩られたフランクフルトにかぶりつきます。お姉ちゃんは青のりを付けながら、たこ焼きをもしゃもしゃ。弟くんは鋭い歯型を立てながら、お好み焼きを頬張ります。


 と。目の前の遊歩道を大急ぎで走り抜ける人が。それを追いかける御婦人も。


「泥棒ー!」


 なるほど。単純明快です。


 ソースを口周りに付けた弟くんが、立ち上がった、と思った瞬間には、女性もののハンドバッグを持った男性の首根っこを押さえていました。


「はあ、はあ・・・あ、ありがとうね。・・・あら?ファミリーの方かしら」


「はい」


 周囲の人が警察に通報してくれている間、犯人を地べたに押さえ付けている弟くんは、おばさんからお礼を言われていました。


 足立区ファミリーは地元の有名人です。


 時に1600年代、火縄銃とともに西洋から渡って来たと言われる一族。代々怪物の血統を生み出す種族でしたが、今世代は南蛮船を乗り継いで、日本に観光に来たそうです。次の世代が数百年後、どちらに向かうのか。それはファミリーのファンの間でも、定番の話題です。


 お姉ちゃんに合わせて南国の楽園か。弟くんに合わせて雪国か。


 どちらにせよ、きっと楽しい世界を創り出してくれるはずです。


 ここ足立区のように。



 短くってすみません。でも、良いですよね。足立区ファミリー。また映画見たくなったなあ。


 じゃあ、次をお願いします。

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