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70話「カチカチ山」亀戸玄武。

 カチカチって聞くと、皆は何を思い浮かべる?ぼくはカチカチ山だけど、スズメバチの警戒音って上げる人も居るかな。


 ところでカチカチ山のカチカチって、何の意味か知ってるかな。


 こういう意味なんだよ。



 的場まとばって奴が居て、ぼくと同じジムに通ってるんだ。そいつから聞いた話なんだけど。


 的場があるデパートで買い物してたんだ。お酒とおつまみ。まあ、男の一人暮らしメニューだね。


 目当ての商品をゲットした的場は、ウキウキでエレベーターに乗って、帰ろうとした。


 その時、同じエレベーターに乗り合わせた女から、何か音がする。


 ・・・カチ、カチ、カチ・・・


 置き時計か何かの音。女が持ち帰るのは大変だろうな。車か電車で来てるんなら良いが。


 的場はなんとなく心配しつつ、気付いた。


 女は袋を下げてないし、ショッピングカートもついていない。


 ・・・すげえデカい音のする腕時計でもしてるのか。


 他人事だからどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、的場はその女の事がちょっと気になった。


 同じ階で降りた的場は先に出て、立ち止まった。そして女が付いて来ていない事を足音で確認してから振り返り、女の行き先を探った。


 女はデパートから出ると、デパートの向かいで選挙演説をしていた首相の近くに向かっていた。


 ・・・勘違いだったら、前科持ちかあ・・・。的場は暗い気持ちになりながら、女の後をつけた。


 女の服装はゆったりとしていて、シルエットが出ない。爆弾を仕込むスペースに余裕がある。歩き方には余裕がなく、歩幅が狭い。体重を重く感じている。だが腕や足を見れば、太っているわけではないのが分かる。スイッチは手元にある?


 女は信号を渡り、いよいよ首相の演説に近付いた。的場も距離を詰める。


 そして女の手先がブレた瞬間に、的場の回し蹴りが直撃した。女は手加減抜きの蹴りの衝撃に、一瞬で意識を刈り取られた。


 そして首相の周囲で警戒していた警察が的場を逮捕し、女を介抱しようとして、爆弾を発見した。



 的場の自慢話も聞き飽きるほど聞いたけど、まあ聞いてやらなくちゃね。本物のヒーローだから。


 カチカチ山は現代にも教訓として生きている、っていうのは言い過ぎかな?


 じゃ、次!

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