66話「公園の亀」城新地。
おれらが公園でたむろして遊んでたのは、もう話したよな。その公園の話なんだけどよ。
おれらが行くのは夜で、昼間は近所の子供とか年寄りとか、まあ皆の憩いの場所なんだよ。カモも居ればハトも居る。普通の公園だ。
公園の中には池があって、水鳥にカニに、亀も。
この亀が、厄介な奴でよ。鳥にエサをやったら、いつの間にかこいつが食ってんだよ。カモのエサだろうがハトのエサだろうが、きびきび動いてメシを食いに来るんだ。自分だって、亀用のエサをもらってるのにな。
元気な奴だった。それでも、冬は越えられなかった。奴は二度と冬眠から目覚めなかった。
葬式なんかは無かったけど、皆に惜しまれてた。
それからだ。
公園の鳥にエサをやると、少し減ってるようになるのは。まだ誰も食べてないのに、エサ箱や投げたエサの量が、ちょっと減るんだよ。まばたきでもしたら、すぐにな。
皆、誰が犯人か、すぐに分かったぜ。
それからその公園には、亀塚が出来た。他の動物のエサを奪わないように、ってな。
まあ・・・その後もちょいちょいエサは減ってるんだが。
怖いわけじゃないが、存在感のある幽霊だったな。
じゃ、次。