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61話「見知らぬ船員」神渡京介。

 この話は、昔本で読んだやつです。なので、知っている人も居るかもですけど、そこはまあ。



 昔、海外旅行っていうのはそれだけで一大事だったらしいですね。今はもう、学生の修学旅行先になるくらい簡単に行ける場所ですけど。


 で、数十年前、とある県の学校が、その当時では珍しい船旅に出かけました。なぜなら、商船学校だったからです。


 行き先はハワイ。夢のハワイに出かけた学生たちは、船旅と上陸を楽しみ、再びの日本行きルートにつきました。


 そして気が付きました。


 知らない教員が居ることに。


 来る時に乗っていたのは見知った顔ばかりだったはず。知らない先生は乗っていなかったような。


 でも、密航者なら、あんなに堂々と居座るでしょうか。それに周りの先生方も何も言わないのは。


 結局、なにかの事情でハワイから乗り込んできた教員。そう学生らの間では結論付けられました。だって、先生たちの間では話がついているのに、要らない口出しをして、仕事を押し付けられても困ります。船上には仕事はいくらでもありましたから。


 日本に帰って学校に着いても、やはり警察が来ない以上、彼は密入国者などではなく、先輩船員かなにかなのでしょう。


 そして、修学旅行から帰って幾日いくにちかが流れました。いつもの日常の中に戻った頃、ある噂が流れました。


 実はあの教師は、戦時中の人間で、幽霊になって戻って来たのだ。だから、生徒には見覚えがなかった。あるいは、長い航海の最中、自分の船からはじき出され、名前まで失ってしまった哀れな幽霊だとか。


 こうして商船学校に1つ増えた怪談でしたが、続きがあります。


 学校を卒業後、様々な進路に進んだ彼ら彼女らですが、たまに再会しての会話の中では、ある話題が定番となっていました。


 見知らぬ船員の話題です。


 先輩でも同期でも、別会社の人でもない。誰にも違和感を持たれず、ただそこに居る。船を沈めるでもなく、海難事故を起こすでもなく。


 いつの間にか、その幽霊の話は、商船業界で知らぬ者の居ない不思議の1つになったそうです。



 どうでした?あまり怖くはなかったと思いますけど、不思議なお話でした。


 じゃあ、次をお願いします。

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