55話「ゴミ」八幡八重花。
これはちょっと、うえー、ってなっちゃうお話です。なので、気持ち悪くなったら、お水飲みに行ったりしてくださいね。
これは漫画で読んだ話なんですけど。
皆さん、ちゃんと部屋の掃除してますか?私はもちろん、お母さんがしてくれます。冗談はともかく、家の掃除はこまめにした方が良いですよ。楽ですから。
もし掃除をしなくなったら、こんな事になっちゃうかも。
都内某所に、佐藤さんていう人が居ました。佐藤さんはものぐさな人で、大家さんに怒られるまでゴミを出さないくらい。
それでも追い出されまではしませんでした。言えば捨てていたので。
だから、佐藤さんがあんな風になるとは大家さんは思っていませんでした。
とても暑い夏。もちろん、佐藤さんの家では虫が大量発生していました。だから大家さんは、毎日佐藤さんの部屋を訪れて、ガミガミ言っていました。と言っても、怒るんじゃなくて、じっとゴミ出しを見るだけでしたけど。流石に大家さんも、佐藤さんに怒り続けてたら、先に高血圧で死んじゃったでしょうね。
大家さんのおかげで、コバエは出るけど、まあ一般家庭並み・・・にまで清潔さが保たれていた佐藤さん宅。
しかし、そんな時、大家さんが入院しました。夏の暑さのために、ダウンしてしまったのです。入院期間は1週間。
退院した大家さんは、他の入居者のクレームを想定して、精神的にはブルーでした。きっと虫がいっぱいだわ。そう思いながら、佐藤さんの部屋を訪問しました。殺虫剤を構えながら。
しかし。戦々恐々(せんせんきょうきょう)とした大家さんを待っていたのは、綺麗に片付いた佐藤さんの部屋でした。
心を入れ替えた?にわかには信じがたい大家さんでしたが、目の前の光景は本物です。殺虫剤をプレゼントして、ウキウキで帰って行きました。
さて佐藤さんは、本当に清潔さに目覚めたのでしょうか。
実はちょっと違いました。
佐藤さんが普段食べているスーパーのお弁当、ペットボトルのお茶、それに缶ビール。それらゴミは、佐藤さんが部屋の片隅にポイと投げ捨てると、いつの間にか消え失せていたのです。
実は大家さんが来なくなって、二日後には部屋は汚れ始めていました。一応、初日だけは大家さんが来なくても、自室のゴミ箱に入れていたんですけど・・・。
でもこうなれば佐藤さんは無敵です。どれだけゴミを出しても、部屋は完全な綺麗さ。
だから佐藤さんは、部屋に脱ぎ散らかした衣服が消えても、片付けなかった本が消えても、そんなに気にしませんでした。
だって、綺麗になるんですから。
怖い話でしたね。
え、その後?
佐藤さんは、引っ越したらしいですよ。音信不通になって消え失せたから、蒸発って言うのかな。
私、思うんですよ。
もしかして佐藤さん、家に帰って来て、床にゴロリと寝転がったんじゃないかな、って。
じゃあ、次の方お願いします。