46話「お盆に帰って来る幽霊」城新地。
なんだな。幽霊っつったら、やっぱりお盆だよな。
これは仲間に聞いた話なんだけどよ。
佐々木の家では、毎年お盆は豪勢にやるんだ。なんでも地元の名士の家だったとかで、今でも大勢の親戚が集まって来るから、毎年やるんだと。
そんな佐々木の家には、幽霊もたくさん帰って来る。
名士の家だったから、そこらの女に子供産ませて、水子の像もたくさんあった。そうやって名前のない墓も、いくらでもあったんだ。一般家庭の家なのに、ちょっとした墓地公園なんだからな。直系の墓、親戚の墓、遠縁の墓。墓はいくらでもあった。
佐々木も夏休みになったら、これをずっと掃除したりして、音を上げてたぜ。大学行ったら必ず一人暮らしする、ってな。
で、お盆の夜ともなると、ちょっと墓とは思えない光景になる。灯籠、提灯に火が灯され、その間を蛍が舞うんだ。幽霊の何匹か迷い込んだって、何も不思議はない。
で、佐々木んちは、まあまあ歴史が長い。平安時代までさかのぼるらしいな。
だからそこには、数えきれない水子も居れば、歴史から名前を消された人間も居る。
佐々木んちは、地元じゃ有名なスポットだ。地元民は、誰も近寄らない。
たまに心霊スポットとして知ってしまったよそ者が墓地に肝試しに来るんだが、翌日には全員がバラバラ死体になって発見される。そして地元警察があっさり処理する。
佐々木んちは、地元じゃ名士だからな。家のために人を殺した奴も、100人はくだらないだろうぜ。
そんな幽霊も、お盆には帰って来る。
おれは、お盆にだけは、絶対に佐々木の家には行かないぜ。
じゃ、次。