36話「歴史資料館」城新地。
これも学生の頃の話なんだが、皆は歴史資料館って行った事あるか?おれはもちろん、学校行事でしか行った事はないぜ。
あそこは不思議な場所だよな。もう死んじまった奴らの物が置いてある、ガラクタ小屋でしかない場所。
でも、こんな事もある。
中学生の頃だったか。なんとか学習の時間に、歴史資料館に行ったんだよ。退屈で仕方なかったけど、授業だからな。
で、自由に散策して良い時間になって、おれも友達と一緒に色々回ってた。小さいとこだったから、そんなに言うほどでもないんだが。
そうしたら、いつの間にか友達とはぐれててな。
今言った通り、小さな建物だぜ。はぐれるわけがないんだが、おれはビビって、キョロキョロしながら誰かを探してた。初めての場所だから迷ってもしょうがねえ、くらいには思ってたかもな。
そうこうする内、おれは建物の外に出て、中庭に居た。そこにはなんだか、昔っぽい服装の人らが集まっててよ。ちょんまげじゃないけど、変な編み方をした髪に、毛皮みたいな服を着て、テレビで見た火の付け方をやってた。
あー、体験学習ってやつか。おれはそう納得した。
普通、イベントの時にしかやらないんだけど、まあテストでもしてんだろ。そう思ったおれは、これは誰かクラスメートも見てるだろ、と考えて見に行った。
実際、見事なもんだったよ。毎日それをやってるみたいにな。
煙が立つまで火起こしを見届けてから、おれはまた建物の中に入った。中庭には、結局友達は居なかった。
すると、資料館に入って1分もしない内に合流出来た。はぐれたのが嘘みたいにな。
ま、お察しの通り。あの日、中庭のイベントなんてのは開催されてなかった。もちろん、火起こしイベントもな。
でも楽しかったんだぜ、本当に。他の部族?との戦争ごっこも見応えがあったしな。
じゃ、次。