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33話「絵の中の恋人」藤宮蛍。

 次はちょっと悲しくて怖いお話。



 古民家の解体にあたって、ちょっとした騒ぎになった事があったんだ。私のアパートからも、野次馬とかマスコミ関係者とかが見えた。


 人を材料にした絵が見つかった、って。


 枠は骨。塗料は体液。紙はもちろん、皮膚。


 民家の持ち主・・・今回死んでしまった芸術家・・・の作品なんだろうけど、一体、素材は誰なんだ?っていうのがミステリー。


 遠縁の親戚によって発見されたその作品に、親戚はおろか、付き合いのあった友人達にも心当たりはなかった。その芸術家には犯罪歴もなかったんだ。


 でも、推測だけは出来た。


 日本だけでも数え切れないほど出る、行方不明者達。彼らの中の誰かなんじゃないか、って。


 一応、DNA鑑定もされたけど、一般人のDNAは登録されていないから、結局発見はされなかったんだ。


 で。この騒動はここで一旦終わったんだけど、実は続きがあるの。


 その騒ぎが起きた時、私はまだ学生だったんだけど、それから数年が経った頃、また警察が来ててね。あ、結局、家は解体されなかったんだ。警察の捜査待ちで。


 まーた調査ですかご苦労さんです、と思って見物してたら、なんか大勢集まってて。警察が。


 終わった事件の調査にしては、なんか・・・と思ってたら、翌日のニュースを見てびっくりよ。


 絵の素材は同一人物のものだったから、昔はそこまでの事件とは思われなかった。言ってしまえば、1人だけだったからね。犠牲者は。だから刺激的なニュースではあっても、重大事件という扱いじゃあなかった。


 ところがその作家の作品が、他の場所でも見つかったの。


 それは何の変哲もない家で、やっぱりそこの住人が亡くなった際、大家さんが発見したの。微妙に覚えてたニュースを思い出して、警察に届け出たら、その作家の指紋が出たわけよ。


 その後の経緯いきさつは、実は本で読んだの。ニュースでは全然流れなかった詳細を書いてくれてた。


 犠牲者。とされた人は、雪さん。女性。


 雪さんは、その芸術家の恋人だった。それで殺されて、芸術品にされた・・・、んじゃないんだ。


 雪さんは純粋な病死。病院のカルテも保存されてた。


 だからこれは関係者への聞き取り調査からの推測なんだけど、雪さんは火葬前に遺体を解体されて絵にされたんじゃないか、って。葬儀社は否定してるけどね。


 雪さんと主犯である芸術家。それに雪さんのご家族。直接の関係者がもう居ない以上、全ては推測。


 でもその作家さんは、こう結論づけてた。


 雪さんの絵が遺族の家に飾られていた以上、それは同意の上だったのではないか。


 理由までは分からないけど。


 若くして死んだ雪さんをしのんでの行為、なのかねえ。



 死んだら色々怖いね。皆も頑張って生きようね。


 じゃ次。

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