学生寮
「USSIの【個人情報】欄に、自分の部屋番号が載ってるはずだから、確認しろ」
「4715」
「47階の左から15番目の部屋だな」
「ここ、何階まであるの…」
「75階だ」
75…。学園中央施設より少ないけど、マンションのレベルじゃないな…。
「中に入るぞ。もうこの学園の生徒だから、さっきのようなことはない。」
「…」
ルキアは結界が張っているであろう入口に入り込んだ。
「な。何ともなかっただろ?」
「ああ。どうやって判別してんだ?」
「USSIを投げた時に、光が自分の体に当たっただろ?あれで体にデータを登録しているらしい」
凄い技術だな。
少し進んだところには、箱型ではなく、チューブ型のエレベーターがあった。
乗り込むと、何もしていないのに、エレベーターが動き出した。かなり高速だ。
「なんで動いたんだ?」
「さっき言ったように、俺らの体はデータ化されているから、行きたい階層も分かるんだろうな。詳しい事は分からん」
そんなことも出来るのか。この世界の技術は凄いな。
『到着。47階です』
ドアが開いた。
「4715号室…あっちか」
「家の主なら、入ろうと思えば入れるからな」
「ああ。分かった」
『4715』と書かれた部屋があった。
テュールの言った通り、何の動作もせずに入ることが出来た。
「ここが僕の部屋か」
中は清潔な1LDK部屋だった。
「家具は最低限の物しか置いていないから、必要があれば、『商業区画』に買いに行けよ」
「そう言えば、この世界のお金って何なんだ?」
「ああ、説明してなかったな。この世界でのお金は一律で《エノム》という通貨だ。《エノム》はレートの100倍が月初めにUSSIに振り込まれる。お前の場合、レート6000だから、今は600000ynmがUSSIの中に入っているはずだ。【個人情報】を見てみろ」
確かに600000という、数字がある。
「それを支払う時は、USSIを判別機に翳せば、それで良い」
「へー。かなりいいシステムだなぁ」
「そうだろ?じゃ、ここで俺のガイドは終わりだ。何か分からない事があれば、メニューの【念話・チャット】のところで俺やハマリエル、ミューズに連絡しろ」
「あ、ああ。分かった」
テュールが部屋から出ていき、ルキアはこれから1人暮らしを始める部屋に一人になった。
「さて。今日は長い1日だったな。あと2日で新学期が始まるらしいが、上手くやれるかな」
時刻は午後23時。外は人工灯の光で明るいのに、星々が煌めいている。
「…あ。ベッドが無いや。どうしよう…。…そのまま寝るか」