ハマリエルの両親
「ただいまー!」
家に着くとハマリエルは、ダグザさんの館の時の様に大きな声で家に到着したことを告げた。
「それにしても…」
かなりの豪邸だなー…。さっきから見ている周りの家は、普通に一軒家だったり、マンションだったりするけど、フルーゲリン家は、ダグザ邸よりも規模はちいさいものの、普通の4倍程ある家だった。
「お、お邪魔します…」
「何畏まってんのよ。今日からあなたは、ここの家の家族なんだから、畏まらなくてもいいのよ」
そう言われてもな…。大きい家だし、もとから自分の家だったわけじゃないから、すぐには慣れなさそうだ…。
少し会話をしているうちに、リビングに部屋に着いた。そこには、ハマリエルの父と思われるごつい男性と、母親と思われる華奢な体つきの女性がソファにすわっていた。
「ハマリエル。今回の《聖門》から出てきたのは彼か?」
「そうよ。父さん」
「名前は?」
「例のごとく、《聖門》の影響で、忘れていたわ。私が、ルキアって名前を付けてあげたけどね」
「ルキア、か。なかなか良い名前じゃないか」
どうやら認めてもらえたようだ。
「じゃ、父さん。母さん。自己紹介をして」
「そうだな。俺は、テュール・ローエングリン。ハマリエルの父親だ。《アルカディア》で教官及び戦闘兵をやってる。こっちは、母親のミューズ・ローエングリン。同じく《アルカディア》で、教官及び戦闘兵をやってる」
「大人も戦闘兵になるんですか」
「まあ、希望するか、《学生兵》の時に好成績だとなれるんだ。俺は希望してなったけど、ミューズは超好成績だったから、学校側から推薦があって戦闘兵になった」
「こんなに、言っちゃあ悪いですが、華奢な人なのにですか」
「あら。見た目が華奢でも、戦闘力があれば勝てるのよ。それに、能力もあるしね」
そうか。能力という概念が、存在するんだったな。
「ルキア。お前はもう、うちの家族なんだから、敬語はやめてくれ。落ち着かない」
「分かりまし…。分かったよ、父さん」
「おう。それにしても、ハマリエル、良かったな。お前、弟が欲しがっていたじゃないか」
「な、何を言うの!?わ、私は別に弟なんて欲しくなかったわ!」
「嘘おっしゃい。あなた、『私の番の時に来る遷移者は、年下の男の子がいいなぁ』って言ってたじゃない」
「そ、それは扱いやすいだろうなと思って言っただけよ!」
これは、止めないとエスカレートしていきそうだ。話題を変えないと。
「そ、それはそうと僕はこれからどうすれば良いの?」
「まずは役所か学園に行って、『遷移者』としての戸籍を登録して、USSIを貰うところからだな。どっちに行きたい?学園に行くのなら、一緒に入学手続きができるが」
「じゃあ、学園で」
「決まりだな。よし、今から行くか」