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氷の旅人  作者: 桜 海夏
1/1

待ち合わせ

初めての投稿です。お手柔らかに…


たくさんの子供たちが鬼ごっこやらドッジボールで遊んでいる平日の昼、普段なら学校の机に座って勉強しているか給食でも食べ始めているのであろう時間に子供たちが公園で遊んでいる姿は無邪気で楽しそうだ。

「なにも午後から授業を入れなくてもよかったのに…」

昨日の夕方あたりから台風の影響で強く降っていた雨は今朝までは一日中降り続くと思われていた。それを見越した近隣の学校は休校にしていたのだが幸か不幸か雨は昼前には止んでしまっていて、台風一過にふさわしく雲ひとつない空から太陽の光は遮られることなく降り注いでいた。

台風の影響で休みにする機会の多かった学校では授業の進むペースがだいぶ遅れてしまっていた。そこで学校側は午後からの授業を無理矢理ねじ込んだのだった。

「それにしても里奈ちゃん来るのおそいなぁ。」

すでに十分は待った。もちろん他の人からしたらたかが十分かもしれないが里奈ちゃんは普段から時間管理に気を使っていて、少しでも遅刻するときは連絡を入れていたはずなのだが…。「十二時二十分にいつもの噴水前に集合」と朝に連絡をして、間違いなく返信も来ている。なにか事件にでも巻き込まれているのだろうか。

ふと、嫌な予感が胸をよぎった。

「ま、まさか…」

その瞬間

「きゃあぁ!」

力加減をしなかったせいで方向を上手くコントロールすることの出来なかったサッカーボールが顔面に直撃した。

嫌な予感はしたけど何かが違う気がするな…

そう思いながらも最近では使用されていなかったせいで汚く濁った噴水の水面に後頭部から

「きゃああああああ。」

とんでもない叫び声と共に汚水に頭が触れた瞬間、ほんの少しだけ意識を失った。


真っ白な世界にいた。まわりを見渡してサッカーボールが飛んで来ていないことを確認しているとだんだんとまわりが青く染まり始めていること気が付いた。色はどんどんと暗さを増して紫になってきている。血の気が引いてきて、足が微かに震え始めていた。色はさらに暗くなってきていて漆黒とは言えなくとも充分黒と言っても差し支えないくらいには暗かった。

「ご乱心なようだけれど大丈夫かい?」

どこからか声をかけられた。またも紫に戻っていき、そう思ったのもつかの間にまた黒に進んでいく。

「この場合は僕が原因なのか色が原因なのか場所が原因なのか…まあ取り敢えず簡単な方から片付けていこうか。」

やっぱりどこからか声が聞こえてくる。

「まわりの色の変化は君の心や気持ちに応じて変わっている。無心だった白から少しの間冷静だった青、そして疑問や不安から恐怖になった紫から黒。そういうことだから深呼吸でもしながらちょっとの間で良いから冷静になってごらん?」

何もわからない以上取り敢えず言われた通りに深呼吸をしながら落ち着きを取り戻しているとまわりが徐々に青くなり始めてきていた。

「なかなか上手だね。次に場所かな、気付き始めているかもわからないがここは君の心の中だ。」

疑問を口にしようとしたが喋れないことに気付く。

相手はこちらの意図を悟ったのか

「喋れないのかい?普段はあまり喋らないのかな?焦らなくても大丈夫だよ。声帯とか喉とか想像しながら私は喋れる!と想っていてごらん、そのうち喋れるようになるよ。」

言われた通りに想っているとなんだか喋れるような気がしてきた。

「あ。」

「喋れるようになったね、それで何を言おうとしていたんだい?」

「あなたは誰?」

「誰だと思う?当ててごらん。」

質問に質問で返されてしまった。

「もう一人の私?」

「はずれ、答えは神だよ。もっと説明すると最高神でも代表神でも唯一神でもないただの神さ。」

「全然答えになってないんだけど…」

「そうかな…まあ取り敢えず時間がなくなってしまったから最後に一つだけ、君はこれから今まで生きてきたのとは別の世界で生きることになる。頼むから死なないでね。」

「がんばる?」

「近い未来にまた会うだろうけどそれまでまたね!」

「また会うの?」

「忘れてたけど僕の名前はイナ…」

そこで声は途切れてしまった。


ごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼ

水底からたくさんの水泡が浮かんでいき

「ぷはっ。」

水面から顔を出して大きく深呼吸し、まわりを見渡してみれば、そこには活気のある風景と私を見ている女性の顔があった。


少しでも楽しんでもらえたら最高です。

様々な方に紹介してもらえると嬉しいです。

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