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ドラゴンに転生したけれど、俺は人生を謳歌したい!!  作者: 黒絃
1章~さようなら平穏。初めまして異世界~
2/4

ドラゴン、森をさまよう。

・・・あれからどれぐらい時間がたったのだろう。

体感では、もう何時間もたっているような気もするが時計なんてここにはない。

だが今の俺にはそれを気にしている暇はない。

何故なら、






















「・・・食い物はどこだ・・・」
































―—―――――空腹でそれどころではなかった。

どうやらこのドラゴンの身体は、腹の減りがとんでもなく早いらしい。

この世界に転生して最初の課題がマジで食料調達になるとは・・・

ただかっこいいからって理由でドラゴンになった事を今更になって後悔している。

この身体の燃費の悪さは異常だ。

今は一刻も早く食い物を手に入れなくては。


「でもなぁ・・・」


見渡す限り木ばかりで食べられそうな物がない。

せめて木の実でもなっていればよかったんだがなぁ・・・

だけど問題は・・・


「そもそもドラゴンって、肉食のイメージが強いんだよなぁ・・・」


今食べられる物が不明なのが怖い。

人間と同じように大体の物は食べられるのか、それとも食べられない物があるのか、

それが不明瞭なせいで食べ物一つ食べることにも若干の抵抗がある。

・・・まぁ正直今の体なら余程の事がなければ食べ物で命の危機に陥ることはないと思う。だってドラゴンだし。

だけど俺はこの世界のことを全くといっていいほど知らないのだ。

いや、いっていいほども何もなく、今の俺の知識は産まれたばかりの赤ん坊とほとんど同じだ。

今最優先でやらなければならないことは食糧の確保だが、この世界の生き物や植物の知識が俺にはない。

だから、それらの知識を学ばなければ、この世界で生きていくことは難しいだろう。

しかし今の俺は人ではなくドラゴン。人に教わろうにも、この身体では会話はおろか、意思疎通すら難しいかもしれない。

・・・あれ、これ積んでね?これもしかしなくても誰も教えてくれる人がいないってことだよね?

今どきのアニメやゲームとかじゃ喋る動物とかいたけど、この世界はファンタジーじゃなくリアルだ。

喋る動物なんてものが本当にいるのかもわからない。

・・・いやよくよく考えたら俺がドラゴンになったこと自体ファンタジーみたいなもんだな。

だったら喋る動物がいてもおかしくないと思うんだが・・・ん?




「・・ぁぁぁ・・・」




「…なんか聞こえるな・・・」




声からして女の子かな?こんな森の中でなんで叫んでるんだ・・・って女の子?




「ぁぁぁぁ・・」




考えたら今いる場所、森の深い場所だし、さっき食べ物を探して森をさまよっていたからわかったことなのだがこの森、そこそこ広い。

だから子供、ましてや女の子が一人でこんな森の奥にいるのはおかしいんだが・・・・・・あれ?

声が近づいているように感じるのは気のせいか?




「ぃゃぁぁぁ・・・・」




「・・・いや、気のせいじゃないな。近付いてきてる・・・」




しかも近づいてくるスピードが速い。ということは何かから逃げているのか?

これは助けに行った方がいいか?と考えていたらその声の正体が見えた。




「いやぁぁぁぁぁ!!」




オオカミに似た生物が、何かを追いかけていた。どうやらその追われている方が聞こえてきた叫び声の

主らしい。だがその声の主を見た俺は、一瞬思考が止まった。

追われている方はかなり小さく、さらに驚いたのはオオカミのような生き物の、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「あれ、ひょっとして・・・よ、妖精か!?」


まさか妖精がこの世界に存在するなんて、いよいよファンタジーじみてるな。

・・・あれ、さっきも同じようなことを考えたな。


「でもなんであの妖精は追われているんだ?」


そうつぶやき、そのまま思考を巡らせようとした時、


「ちょっと!!そこのあんた!!」


そんな声が聞こえ、その声の方を見ると、






「そんなとこに突っ立ってないで助けなさいよおぉぉぉぉぉっ!!」


なんと追われている妖精が、その顔に怒りを浮かべながらこっちにむかってきていた。


「いやなんでこっちにくるんだよぉぉぉぉぉぉ!!??」


そう叫ぶと同時に俺は身体を反転させ、全力で走り出した。


「ちょっと!なんであんたも逃げてんのよ!!助けなさいって言ってるでしょ!!」


妖精もその勢いのまま俺の後を追う。


「なんで助けを求めてるやつがそんな偉そうなんだよ!!あとお前がこっちに来たから俺も巻き添え食らっただろうが!!なんで俺の方に来た!!」


「助けてほしいからあんたの方に来たんでしょうが!!」


「別にこっち来なくても他に方法あっただろうが!!」


「しょうがないでしょう!?逃げるのに必死で他に思いつかなかったのよ!!」


「なんでそれが俺の方に逃げて来るって選択肢になった!!普通に助けてって言う考えはなかったのか!!」


妖精は少し考えるような仕草をとりながら顔を俯かせたかと思うと、

すぐに顔を上げて言った。


「・・・その手があったか!!」


「今気づいたのかよ!?」


今自分が置かれている状況も忘れ、俺は声を大にして叫んだ。


「だってあんたがいるのに気づいたのだって、あんたの方に行く時だったのよ!!」


妖精はそう弁明をする。


「ならその時に言えばよかっただろう!!」


妖精の弁明に俺は切り返す。

すると妖精は


「・・・てか、なんで全部あたしが悪いみたいになってるのよ!!あんただってあたしに気づいてたのに、なんですぐ助けに来てくれなかったのよ!!」


「仕方ないだろ!?お前を見たことなかったから、驚いて身体が動かなかったんだ!!」


「驚いて動けなかったのはしょうがないにしても、自分から助けようとは思わなかったわけ!?」


そんな事を言い合いながら逃げ続けていると、妖精があっ、と呟いたかと思うと叫んだ。


「・・・思い出したわ!!」


「今度はなんだ!!」


「この先、崖だから気を付けて!!」


「・・・気を付けてじゃねえぇぇぇぇぇぇ!!」


この馬鹿なんてタイミングでそんな重要なこと言うんだ!!

そうなるとまずい!かなりの速度で走っているのにあの狼もどきを全く振り切れてない!!

しかもその崖の場所がもう見えてきてる!!

方向転換するにしても少なからず失速する!!そうなれば確実に追いつかれる!!


「・・・と、ちょっと!!」


「っ!?」


「もうすぐ崖に着くわよ!!」


やばい、考えてるうちにかなり崖に近付いてきてる!!

どうする・・!?


「あんた、なんか作戦はないの!!」


ふと、妖精が俺に問いかけてきた。


「え?」


「あいつを何とかする方法よ!」


妖精は切羽詰まった表情で俺に叫んでいた。


「・・・一つだけ、作戦がある」


「じゃあそれをやればいいじゃない!!」


確かに妖精の言うことにも一理ある。だけど、


「・・・成功するかわからないんだ。俺一人じゃあ」


俺がそう言うと、妖精は一瞬だけ驚いた表情を浮かべたが、


「あんただけならでしょう?あたしもいるの、忘れてないわよね?」


そう言いながら、妖精は得意げな顔をしていた。

そうだ。俺は今一人じゃないんだ。一人の時間が長かったから、知らないうちに妖精のことを入れて考えていなかった。


「・・・・・・そうだな」


こんな風に誰かと協力することははじめてだけど、きっとうまくいく。

根拠も何もないけれど、こいつの得意げな顔をみていると、なぜか俺はそう思った。


「それで?どんな作戦なのよ?」


「やること自体は簡単だ。いいか?まず・・・」


おれが作戦の内容を伝えると、妖精はさっきまでの得意げな顔は消え、

作戦の内容に驚いていた。


「はぁ!?なによその作戦!!」


「文句言ってんじゃねぇ!!さっきまでの得意げな顔はどうした!!」


「でも、これ明らかにあたしすごい危険じゃない!!ふざけんじゃないわよ!!」


「しょうがねえだろ!最初からそうゆう感じの作戦だったんだから!!」


でも妖精の言うこともしょうがないと思う。

なぜならこの作戦、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


そう、俺の考えた作戦とは、あのオオカミもどきから逃げ切るのではなく、ここで倒してしまおうというものなのだ。

しかもさっき妖精も自分で言った通り、この作戦で一番危険なのは間違いなく妖精なのだ。

まぁだからと言って俺は危険じゃないか、と聞かれたらそうではない。

あくまで妖精の役割は囮であって、成功するかは俺にかかっている。

でも考えて思ったのは

あれ?これ俺いらなくね?だった。

正直に言ってこの作戦の鍵は間違いなく妖精だ。

なんなら妖精だけで終わる可能性もある。

まぁだからと言って今更全部丸投げするわけにもいかない。


「・・・たぶん言わなきゃばれないよな?」


「なにが?」


おっと、声に出ていたらしい。

ここまで言っておいて『お前一人でも何とかなる』なんて言ったらマジギレされそうだからな。


「何でもない、じゃあ作戦通りにいこうか」


「今更だけど本当にこの作戦、成功するの?」


「たぶん大丈夫・・・なはず」


「ちょっと!?本当に大丈夫なのよね!?」


「大丈夫だ!!いいからいけ!!」


「あーもう!!わかったわよ!!」


文句を言いながらもちゃんと伝えた作戦の通りに動いてくれている。

そして妖精はオオカミもどきの視界を遮るように移動する。


「ひぃぃぃぃぃ!!や、やっぱり怖いわ!!これ本当に大丈夫よね!!」


「だから何度も言ってるだろ!!たぶん大丈夫だ!!」


「そのたぶんが不安なのよ!!そこははっきりさせなさいよ!!」


「いいからそいつの視界をきってろ!!」


オオカミもどきが妖精をどかそうと躍起になっている。

その間に俺は自分の持ち場に行く。


「きゃあ!!た、食べられちゃう!!食べられちゃう!!ちょっと!?まだなの!?」


「あと少しだ!!だからもうちょっと我慢しろ!!」


今のところは作戦通りにいっている。この作戦はオオカミもどきの意識がどれだけ妖精に向いているかにかかっている。

それと妖精の怖がりようを見て、やっぱりあいつだけじゃ無理だったかもしれない、と思った。

妖精だけに任せていたら、妖精は恐怖で何もできなかったかもしれない。

にも関わらず、今動けているのは、たぶん俺に啖呵切った手前、逃げ出したくても逃げられないのだと思う。

だとしても、妖精ももう限界だろう。だけど俺の準備も整った。


「よし!いまだ!!」


ここまでくればもう俺たちの勝ちだ。


「えいっ!!」


妖精が俺の合図でオオカミもどきから離れる。そのままオオカミもどきは標的を俺に切り替えて向かってくる。

しかし俺の背後に見える光景に気づくと、必死にスピードを落とそうとブレーキをかける。

しかし気づくのが遅かった。


「くらえやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺はオオカミもどきが突っ込んでくるのに合わせて、少し横にずれながら回転する。

そして奴の足を()()()払う。

全部の足には当たらなかったがそれでも充分だ。

オオカミもどきはバランスを崩しながら崖から落下していった。


「・・・・・・・・・ふぅ」


オオカミもどきが崖下に落ちたのを確認すると息を吐く。


「・・・やったの?」


妖精が俺の方に来て、そう問いかけてくる。


「ああ。とりあえずあのオオカミは・・・」


そこまで言いかけて、俺の言葉は止まった。

死んだ。

あのオオカミもどきは死んだ。

この高さだ。

助かるはずもない。


「・・・ぇ」


自分が殺した。

あのオオカミもどきは自分が殺した。

その事実を今更になって理解した。

それと同時に身体が心なしか震えているように感じる。


「ねぇってば!!」


「っ!?」


そこまで考えて、妖精の声で我に返る。


「あ、ああ。どうした?」


返事を返しながら妖精の方に振り返ると、心配そうな表情の妖精がいた。


「・・・大丈夫なの?」


「何がだ?」


「いや、あんた・・・」


「・・・なんだよ?あのオオカミみたいなやつは下に落ちたからもう大丈夫だぞ?」


「オオカミみたいなやつじゃなくて・・・あいつグレイウルフっていうこの森ではそんなに珍しくない魔獣なんだけど・・・」


なるほど。あのオオカミみたいなやつはグレイウルフっていうのか。あながちオオカミみたいっていうのは

間違っていなかったのか・・・て、魔獣?


「・・・魔獣って?」


「・・・あんた、それ本気で言ってるの?」


妖精は信じられないといった顔をしている。

そんな顔されても、俺はここに転生してまだ数時間だから・・・


「それじゃああんた、魔物はわかる?」


魔物はまあ、ゲームはそこそこやってたからそれはなんとかわかる・・・はず


「人を襲う生き物だよな?」


「まぁ大体はあってるわね。魔獣っていうのは厳密には魔物の種族よ。比較的動物に近い魔物が魔獣に分類されるらしいの」


「つまり魔物っていうのは総称みたいなものなのか」


ゲーム風に例えると


魔物名:グレイウルフ

分類:魔獣


みたいな感じか。


「・・・そういえば、グレイウルフってどんな魔獣なんだ?」


「え?さっき見たとおりの魔獣だけど・・・」


「いやそういう意味じゃなくてだな・・・」


「あぁ、そういうことね。グレイウルフは基本的には気性が荒いわね。あと肉食よ」


「・・・他にはなんかないのか?どんなところにいるのかとか」


「他の場所ではどうなのか知らないけれど、この森にいるグレイウルフは森のもっと奥に入らなければ会うことはあまりないわ」


「森の奥に巣でもあるのか?」


「ええ、加えてアイツらは縄張り意識が強いから、基本的に巣からあまり離れないの」


なるほど、縄張りに入らなければ襲われることは・・・ん?


「・・・縄張りに入らなければ、襲われることはそうそうないんだよな?」


「ええ、そうよ?」


「じゃあなんでお前は襲われたんだ?」


「・・・・・・」


「お い こ っ ち を み ろ」


こいつ自分で森の奥にはいって襲われたのか。バカかこいつは。自分で森の奥は危険って言っておいてなんで自分から死地に飛び込んでるんだ。


「お前自分で森の奥に入ったんだろ、なんで自分から森の奥に入ったんだよ?」


「・・・・・・・み」


「え?」


「・・・大好きな木の実がなる木が森の奥にしかなくて・・・」


妖精は顔を紅く染めてそういってきた。ってちょっと待ていま『木の実』っていったか!?


「木の実があるのか!?」


「え?えぇ・・・森の奥だけじゃなくてもウンディーネ様の泉に行けば、ほかの食べ物もあると思うけど

・・・」


やっぱり人助けはするものだな!!妖精だけど。ともかくやっと食い物にありつけるかもしれない!!


「なあ、そのウンディーネ様の泉まで連れてってくれないか?」


「え?いいけどなんで?」


妖精が不思議そうな顔で俺にそう問いかけてくる。と思ったら急に敵対心むき出しの顔をしながら俺から離れ始めた。え?俺なんか変なこといったか?


「あ、あんたまさかウンディーネ様に変なことしようとしてるんじゃないでしょうね!?」


こいつ俺がウンディーネ様になにか変なことをしようと企んでると思ったのか。最初に木の実のことを聞いたんだからウンディーネ様になにかするとかないと思うんだが。


「いやなにもしないぞ、ただ食べ物が欲しいだけだ」


「そ、そうだったの。それならいいわ、案内してあげる」


誤解が解けて妖精は表情を和らげてくれた。そして俺を先導するように俺の前を飛び始めた。

俺は妖精の後についていきながら、ようやく空腹を満たすことができることに、胸を躍らせた。

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