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7話:図書館で調べます

 あれから二〇分後。俺は図書館にいた。

 放課後にも関わらず、図書館には人が殆ど居なかった。

 本を借りようにも図書委員らしき人物がカウンターに居ないし、並べられている机で本を読んでいるのは一人だけだ。

 

「……適当に探すか」


 生徒会室での一件は、無事に三人ともクラスマッチでの神威トーナメント参加という形で、幕を閉じることになった。

 俺たちのクラスでは、俺たち以外に申請者がいないため、このままいけばクラス代表ということになる。

 またクラス代表外枠という形で十枠ほどあるので、まあ出られることは確定と立花は言っていた。

 ただ、気になるのは、去り際の生徒会長の一言。


『今年は本当に楽しくなりそうだ』


 これの意味するところは、今のところ分かっていない。

 まあ俺にとって良くないことだということは、理解出来るが。


「……神威の本、と」


 図書館で神威関連の本を探す。

 個人的には民間伝承、並びに神話近くのコーナーに置いているのだと思ったのだが、そうでもないらしい。

 そんなことを考えていると、いつの間にか別行動をしていたマキちゃんがふわふわと浮かんである本を持ってくる。


「子供でも分かる 神威のあれこれ……」


 マキちゃんすごいな。俺の欲しそうな本をピンポイントで持ってきてくれた。

 思わず頭を撫でてしまう。

 俺の行動に最初はビクッとしたが、すぐにへにゃっとした珍しい表情を浮かべた。

 これが萌えというやつなんだろうか。


「さて、読んでみるか」


 空いている席は多い。どこで読んでも迷惑は掛からないだろう。

 俺はとりあえずマキちゃんを隣に座らせ、黙々と図や絵が多い神威の本を黙読し始めた。


 マキちゃん、あまりこっち見ないで。集中出来ない。




*****




「……ふぅ」


 軽くだが全てを読み終えた。

 神威に関する簡単なあらかたというのは、大体分かった。

 ここでQ&A方式を取って、神威とは何かということを整理してみようか。


 Q.神威とは何?

 A.分かりません! 結構調べているんだどね?


 ホントにこう書いてあった。神威がどこから、どうやって、何を目的に人間と共に行動をするかは未だに判明していないらしい。

 深層心理の具現化だとか、八百万の神だとか、色々妄想みたいなことは書かれていたが、まあ結局分からないが結論だ。


 Q.神威が出来ることって何?

 A.自身の透過、一定の特殊能力、記憶、その他諸々。


 神威は自分自身の体を透過させることが出来る。

 しかしそれが本当に透過かどうかは未だ判明していない。

 というのも、透過をすると物質的にその場から居なくなっているらしい。

 別の次元への移動が為されているのではないか、という研究が進められているようだ。


 そして一定の特殊能力。

先ほどマキが放った機関銃や電撃を受け止めたようなものか。雄二や恭平の神威もそれぞれ違う能力だったし、これが一定の特殊能力ということだろう。

 神威は一体につき、一つの特殊能力を持っている。

 雄二のが炎。恭平が……防御? だろうか。一見ではよく分からなかったが、何かを操っている能力だったのは分かる。


 ただマキちゃんの能力。

 機関銃。電撃の吸収。

 共通点は全く感じられない。


「お前は本当に不思議な奴だな」


 俺の読み終わった神威の本を読んでいる神威に問いかけると、頭を傾げて俺を見つめてくる。

 ていうか、神威が神威の本を見てどうなるんだよ。

 まあ気を取り直して、続きをしていこう。


 Q.神威はみんな発現するの? また、どれくらいの時期に発現しますか?

 A.全員が神威を発現出来るとは限りません。また、発現時期は各々で違います。

 

 神威はみんな発現出来ることはないようだ。統計的にみると、大体毎年四○%から五○%を推移しているみたいだ。

 そして発現出来る時期は、圧倒的に小学生の頃が多い。

 時点で中学生。そして幼稚園児。

 高校生以下になるとぐっとグラフが小さくなっていた。十五歳を過ぎて神威を始めて発現出来るようになるのは、かなり稀有なパターンらしい。

 と言っても無いという訳でもないらしいが、やはり低いのは確かなようだ。

 事例では五十八歳のおじちゃんが初めて神威を発現出来るようになったりと、その出現条件みたいな物は理解できておらず、こちらも研究段階。


「殆ど分かってないじゃないか」


 そう。子供でも分かる神威のあれこれでは、神威がよく分からない存在であり、特殊能力を使えるすごい者だということぐらいしか、分かることはなかった。

 まるで無知の知みたいなことになっている。

 しかし彼女がどういう存在か、というのは少しは知ることは出来たので良かったと納得しておこう。


「……ところでお前は、何をやっている」


 マキちゃんがいつの間にか俺の背後で髪をくるくると巻いて遊んでいる。

 コイツは俺を殺しにかかっているのだろうか? 精神的に。やめてくれなんて言えるわけないだろこの状況。

 こうなってしまったのは構ってやれてなかったからか、それとも偶々目についたのか。

 それは分からないが、とりあえず調べものというものはここで一旦終わるとしよう。

 さっさと家に帰ってマキとスキンシップを図ることにする。


「帰るか、マキ」

「――――」


 俺の問いかけに、彼女は無言の首肯を以て答える。

 ……そういえば朝の名前を名乗った以来、マキの声を聞いていない。

 今日見た神威たちも喋っていなかったし、あまり喋ることが得意ではないのかもしれないな、神威というやつは。

 そういったことはさっき見た本には書かれていなかったが。

 

 ――ネットで調べるか。


 席を立ち、バックを右肩に提げる。

 数歩歩くと、俺の後方に僅かな衝撃と、ふわっと包み込む柔らかい純白の腕が首元で交差される。

 移動はきっと、これからこのスタイルで統一されるのだろう。

 しかし悪い気は更々しなかった。思わず笑みが零れる。

 静かな図書館を出て、俺は声が飛び交うグラウンドを眺めつつ、下駄箱へと歩み始めた。


更新が遅くなりました。

そして少し文字数が少ないです。申し訳ないです><

次話は明日か明後日、更新いたします。

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