ルーシーのデビュー戦
2023/1/1 少々加筆修正
~承前
手榴弾や榴弾が炸裂する都度、白い霧状の何かが空に溶けていった。
間違い無くレプリの兵士が身を投げて肉の壁になったんだろう。
だが、その中身までレプリかどうかは解らない。
残り寿命の無くなったレプリによる自己犠牲かも知れないし、レプリの身体を使っているシリウス人による咄嗟の行為かも知れない。
凡そ人間という生き物は、生きるか死ぬかの土壇場に立った時に人間性の本質を見せる。善良であるか。それとも悪徳か。或いは他利的であるか、それとも利己的であるか。
厳しく貧しい環境であったシリウス開拓の現場では、随所で人間性の限界を容易に踏み越える困難に直面してきた。それ故だろうか、シリウスの社会においては他利的である人間が尊ばれる。だがそれは、それが出来ないからこその美徳……
「咄嗟にあの判断が出来るのって……レプリだけだと思わない?」
ミシュリーヌの言葉に全員が肯定的な反応をみせた。
自己犠牲の精神は美しいが、同時にそれは鉄の結束を更に強くする鎹だ。
利己的な振る舞いをする者は自然と淘汰されていく厳しい環境故に、シリウスの社会においては咄嗟の行為にも他利的な振る舞いが散見される。良いか悪いかでは無く絶対的に必用な事として、全体の利益がまず必ず考えられるのだった。
「……ちょっと面倒な事に成るかも知れねぇな」
嫌そうに漏らしたジャンが何を心配しているのかと言えば単純な事。
それが正解だと学習したレプリ達が行動を真似る様になると厄介だ。
実際、シリウスの地上で働いていたレプリは、その短い生涯の中で他利的に死んでいく人間を何人も見てきた。或いはそこに、自分達レプリカントの為に死ぬ人間が居た可能性もある。
そんなものを見てしまえば、嫌でも感化されるだろうし染まってゆく。生物の能力としてレプリが人の上位互換にあるのだから、自分がやらねばと言う思想を持ってしまうのだ。
「今のうちにフォローに回る準備しよう」
テッドもそんな心配を共有してそう提案した。最後の一兵まで抵抗するとなった時、概ね抵抗側は非合理な選択をするものだ。そしてこの場合には、生き残る可能性を放棄して少しでも多く道連れにする。
シリウス地上戦の頃から幾度も経験して来た、非合理かつ不条理ながらも全滅を前提とする破れかぶれの突撃。残った戦力を有効活用する為に旧戦力を全て消耗させてでも敵の弾数を減らす行為。
死を覚悟した兵士を死兵などと言うが、死ぬ事を前提とするなら犠牲は考慮しなくなる。その結果、敵対する側は間違い無くパニック状態となるのだ。
「……だな。こんな時は舞い上がっちまうから」
ジャンが何を心配しているのかは言うまでも無い。
それが解って居るからこそ、中隊もまた共通認識として抵抗の排除を考えた。
だが……
「あっ!」
トニーが指差して驚いたそれは、シリウス側の抵抗戦術だ。
銃撃していたひとりが武器の中に収まっていたボディーアーマーを着込んだ。
そしてそのまま、銃撃線に対し走り出していた。
――――マジか!
誰もが思うそれは、美しい自己犠牲なんて言葉では説明しきれない行為。
確実な反撃射撃の為に、敵側の射撃点を見付ける為の犠牲を払っているのだ。
その結果、海兵隊側の射点が全て明るみに出てしまう。
今度はそこへシリウス側の射撃が降り注いでいて、海兵隊側がジリジリと後退し始めていた。理屈では無く気合と根性と、何より犠牲を伴った出血戦術。その結果としてシリウス側は何が何でも勝つ事を選んだらしい。
「……ヘッドショットできるかな?」
唐突に物騒な事を言い出したミシュリーヌは、茂みの中で射線を取るべく少し前進して匍匐に構えた。バイポットの代わりに木の根を台座にして銃を安定させ、銃のレーザースキャナーで距離を測る。
「彼我距離500m越えてるぞ。当たるのか?」
ヴァルターが心配そうに言うが、そこへステンマルクが口を挟んだ。
その辺りの割り切り方は、恐らく中隊の中で一番なんだと皆が思った。
「当たるかなじゃねぇよ! 当てんだよ!」
同じように精密射撃姿勢を取ったステンマルク。
その姿が見えたテッドも草の枝や茂みを掻き分け、伏射姿勢を取った。
そもそも射撃の腕前は良い方故に、こんな時は撃ちたく成る。
だが、仮にこちらの射点がバレた時には反撃を受けるだろう。
――――どうする?
普段なら撃たない選択肢は無い。
だが、ここでは海兵隊のバックアップに回る可能性もあるのだ。
この攻勢でシリウス側は勝ちきるつもりらしい。
そうならないように支援に入るのは、エディの利益でもあるとテッドは考えた。
言うまでも無く、各方面に恩を売る大事な行為だ。
「しかし……連中気合入ってるな」
ディージョがボソリと言ったそれは、シリウス側の頑強な抵抗だ。
橋のニカラグア側に居るシリウス兵は、とにかく攻勢点を潰すつもりらしい。
何でそこまで?とも思うのだが、少々歯痒くも成る。
「ミシュとステンマルクに撃ってもらおうよ。で、残りは反撃射撃の拠点を作っといて、こっちに来たらクロスファイヤで一気に殲滅したらどうだろう?」
ウッディの戦術提案がなされ、中隊メンバーが賛意を示した。
殺し間を作っておくのは防衛戦術としては常套手段だ。
何より確実に敵を屠れるのだから、使わない手は無い。
「じゃぁサクサクやろう。全員戦術データリンクしてくれ。俺がホストになる」
オーリスがホスト役を引き受け、中隊はジャングルの中で漏斗状に陣を敷いた。
シリウス側から一番遠くに陣取ったミシュリーヌとステンマルクが構えた。
「じゃぁ、始めるぜ?」
「こっちも。準備出来た」
ふたりの言葉が森の中に溶けこんだ、その時だった。
『撃つな! 黙って見てろ!』
唐突に中隊無線の中でエディが吼えた。
それと同時に視界の中へ誰かの視野が割り込んできた。
激しい銃撃を加えている射線の中で、ルーシーが指示を出しながら撃っている。
その周りにはごつい体格の海兵隊員がいて、同じようにガンガン射撃中だ。
『エディ!』
ジャンが抗議するように叫んだそれは、ルーシーの姿だった。こめかみ辺りから血を流している彼女は、黄色のスカーフで止血中だ。そんな状態でも銃のマガジンを代え、統制射撃を行っている。
『騒ぐな! 今は貴重な学びの場だ! この程度じゃ死なん! 心配するな!』
そんなエディの言葉が流れ、視界の中にヘルメットを被っている姿が映る。
と言う事は、アリョーシャ辺りが見てる光景なんだと誰もが思った。
重装備のエディ達4人は海兵隊の縦列背後に居て、敵に姿を晒している状態だ。
そこ目掛けてシリウス軍側が盛んに攻撃中で、勇気ある囮役だった。
逆に言えばシリウス側の囮戦術はこれを真似た可能性がある。
つまり、同じ事をしあっている戦闘だ。
――――フォード軍曹!
――――第2小隊を東へ移動させて!
――――クロスファイヤ!
ヘルメット姿のルーシーは勇ましく指示を出しつつ、第3中隊の中で奮戦中だ。
指揮官役の大尉は負傷したらしく、現場実習の新品少尉が指揮官になっていた。
――――――少尉!
――――――敵が後退しているぞ!
エディはルーシーを煽りつつ、敵側の情勢を逐一観察している状態だ。
そんな状況のなかでも全体をちゃんと見ているのは恐ろしい事でもあった。
――――第3中隊前進準備!
――――距離を詰める!
彼我銃撃距離がかなりあるので威力が減衰されているらしい。
基本的に5.56ミリの高初速小口径弾は500m前後で威力が急減衰する。
つまり、どれほど撃ち合っても終わらないという事に成るのだが……
「あの状態から前進するらしいぜ」
呆れた様にオーリスがそう漏らすと、ジャンが小さく『冗談じゃねぇ』と呟く。
だが、少なくとも立派な指揮官の役をしてるのだから大した物だ。
良い指導だとか経験だとかでは無く、持って産まれたモノなのかも知れない。
――――あぁ……そうか
ルーシーの根本が何であるのか?をテッドは再認識していた。
彼女は女性の姿をしたもう一人のエディ。
それ故にエディ自身がルーシーを直接鍛えているのだろうと気が付くのだ。
『彼女は前進するらしい。これから痛い目に遭うだろう。そこで救援に入る』
中隊無線の中にブルの声が流れ、エディの思惑が中隊全員にも見えた。
エディはここでルーシーに失敗をさせるのが目的なのだ。
程よく死傷者が出て、その砂を噛む悔しさと言う経験を積むのだ。
これから先、様々な経験をする事になるであろうルーシーに、その時に備える為の強さを経験させておく。困難に心折れて楽な方へ逃げそうになるのを自分自身で支えられるように。
「相変わらず鬼だぜ……」
少々呆れ声でディージョが漏らす。
ただ、そんな経験は中隊メンバーなら何度も経験している事だ。
そしてその間も事態は進行していた。
ルーシー率いる中隊はじりじりと前進し続けていた。
「けどさ、なんでシリウス側はコスタリカ側へ撤収しないんだ?」
いつの間にか散開陣形をやめたティブがそんな事を言う。するすると扇を閉じるように集まり始めた中隊は、橋の袂が見える位置に集まった。双方の戦闘がよく見える位置に来た中隊は、黙って観察する事を選んだ。
「案外、コスタリカ側がそう言う条件付きにしてるのかも知れないぜ?」
ティブの問いにロニーがそう応えた。エディの思惑の内にこれも入っているのだろうと全員が思っていた。エディの手駒である以上、その思惑を正確に見抜き、理解し、行動せねばならない。
不思議そうな顔で『どういう事ですか?』とヨナが質問するのだが、それを聞いていたテッドは、ここに失敗の例があるんだと気が付いていた。そう。誰かに聞かなくとも目的を把握できなきゃいけないのだ。
「いや、コスタリカも本気で米国と事を構える気はねぇってこったろ。ただ、シリウス側の存在が米国とかに対する嫌がらせでちょうど良いって奴で――」
ロニーは国境となる川を指差して言った。
「――あの川よりこっち側、ニカラグア側ならドンパチして良いが、コスタリカに入ったら一切撃つな。武器も持ち込むな。大人しくしてれば居て良い。そんな条件になってる可能性があるんじゃ無いか?」
何の根拠も無い事だが、それでもロニーはそんな所見を考察して見せた。ただ、その分析が妙にストンと腑に落ちて、テッドは何とも気分が悪い。
国家という巨大な組織の都合により振り回される悲哀。コスタリカ側にキャンプしているが、武器はニカラグアで受け取った事実。そこを狙い澄ましたように襲撃した海兵隊。
――――あ……
テッドの脳内で全てが1つの線で繋がった。
同時に何をするべきなのかも理解した。
これは当て付けだ。それも欧州全域に対する強力が当て付け。
全てが終わった後で皮肉混じりに報告するのだろう。
欧州各国代表の横面を正論という鈍器で盛大に殴りながら。
『 彼 等 は 人 類 の 利 益 に 協 力 し た が ? 』
喧嘩は余所でやれのスタンスで拒否した欧州をへし折りに掛かっているのだ。
同時に、海兵隊に便宜を図れと脅迫も行っていたのだろう。
全てはエディの遠大な計画の為に。
そしてそこに彼女の。
ルーシーの成長も含まれている……
「んで、ロニーよ。俺たちゃどうすりゃ良いと思う?」
ディージョが言うそれは、次にエディが何をするかという話だ。
ここに展開して居る理由を考えても、なかなか理解出来ないでいた。
「そりゃ……連中が逃げ出した時にコスタリカ側へ飛んでいくんじゃねっすか?」
どこか抜けた声で適当にそう言ったロニー。
しかし、すかさずトニーが言葉を継いだ。
「確かに。川を飛んで飛び越えていけるのは俺達だけっすよねぇ」
恐らく2人とも何かしら根拠がある話では無いはずだ。
だが、逆に言えば何気なく正鵠を射る時だってある。
「……燃料チェックしとくか」
黙って聞いてたレオがそう言うと、隣に来ていたカビーも『あぁ』と呟く。
後から入って来た面々はとにかく寡黙で言葉が少ない。
しかし、物はよく見えているし、洞察力もある。ただ……
「なぁ、ふと思ったんだけどさぁ」
そう切り出したテッドは、何となく感じていた違和感を切り出した。
歓迎しない事態だが、エディという人間が持つ底知れない悪意を思い至った。
「……あんまり良い話じゃ無いよね?」
ウッディがそう確認すると、テッドは首肯しながら言った。
「エディはさ、あのシリウス側をコスタリカ側に逃がすのが目的じゃ無いのかなって思わないか? で、そこへ襲い掛かってコスタリカ側で戦闘するんだよ。俺達は橋の上まで位で引き返して、コスタリカ側で『それだっ!』
テッドの話を切るようにヴァルターが言った。
ロニーやトニーの考察から更にもう一つ考察を重ねた結果だ。
最終的にどうしたいのか?
そこから逆算していけば、エディの思惑は本来全て一本の線で繋がっていた。
シリウス軍の全てを地球から叩き出すのが本義の筈なのだ。
「要するに反米政府はシリウス軍に米国を攻撃させたいんだろうさ。だからあそこで囲っておいて、武器を調達して米国本土まで送り込む算段だったんだろうな。エディはそれが解ってるから、反米政府側からシリウス軍を追い出させるのが……」
ヴァルターの説明にロニーやトニーも『なるほどなぁ』と漏らした。
そして同時にやる気を漲らせ、S-8のボルトを引いた。
「せいぜい上手く踊ろうぜ。エディの手の上でも、この橋の上でも」
ステンマルクまでもが少々面白く無さそうな空気を醸しつつも言った。
そんな会話をどこで聞いていたのか、無線の中にエディの声が響いた。
『もう説明しなくても良さそうだな。そろそろルーシー達の第3中隊が突撃するだろうから連中は逃げ出すぞ。海兵隊はニカラグア側のみで戦闘する事になっているから橋の上では手を出せない。せいぜい撃ちかけるだけだ――』
答え合わせ状態でエディが言うと、全員がおもむろに離陸できる場所へと移動を開始した。一気に飛び出し、上空から散々と撃ちかけるのが狙いだからだ。
『――離陸開始のタイミングはこちらで計る。上空に出たら燃料が続く限り飛び回り続けて囮に成れ。敵を撃滅しなくても良いんだ。向こうに撃たせる事が目的だ』
そう。つまりは実績作りだ。コスタリカがシリウス側の支援をして居ると言う疑惑が生まれれば、それ以上のモノは求めない。
『燃料が切れたらどうしますか?』
冷静な声音でミシュリーヌが質問するのだが、その実は解っている。
実際の飛行時間は10分と持たないのだから効率よくにも限界があるのだ。
『その辺りの判断は任す。上手く踊ってくれ』
ザ・丸投げ。
誰もが思わず息を呑んだエディのやり方だが、言いたい事も解っている。
臨機応変にやろう。状況を見て判断しよう。各々が最善を尽くせば良い。
要するに、全員の成長が重要なのだ。
『了解』
少しばかり不本意そうなミシュリーヌの返答が無線に流れて静かになった。
何となく重い空気だが、そんな時に空気をかき混ぜる役は、やはりロニーだ。
「あっしとネーさんとヴァルター兄貴と、あとヨナとレオでまず飛びだして、途中でステンマルク兄貴とオーリス兄貴が加わって、そんでバンバン撃たれた辺りで適当に1人ずつ引き上げて、最後にテッド兄貴になるように調整しやしょう」
その実はつまり、上手い具合に人を入れ替えてコスタリカ側の攻撃時間を長くすると言う事だ。ついでに言えば、陸揚げしたはずの弾薬を少しでも使わせるという面もある。
「そうだな。それがいい。俺とミシュで最初に上がる。ロニーとヨナとレオが後から少し遅れて来てくれ。んで、後は1分おきずつくらいで1人ずつ増えよう」
ヴァルターが最終手順を確認し、全員がサムアップで方針を共有した。燃料は充分でエンジン周りも問題無いようだし、後は飛び出るだけだと思ったその時、シリウス側から悲鳴と歓声の中間みたいな声が上がった。
「精神の限界だね」
ウッディがそんな分析をしたのは、負け戦への恐怖に耐えられなくなった兵士の絶叫その物だ。シリウス側の火線が一斉に崩れ始め、我先にコスタリカ側へと逃げ始めた。海兵隊もそれを追い立てるように走り始める。
銃弾が飛び交い、双方に負傷者が出始めた頃、エディはブルとアリョーシャを引き連れたまま着陸した。燃料を焚ききったのだろうと誰もが思った。そして……
『501中隊! 離陸しろ! 敵を追い立てろ! 猟犬の役だ!』
エディの命令が飛び、すかさずヴァルターとミシュリーヌが空中へと飛び出して行った。凄まじい加速だとビックリしたのもつかの間、今度はロニーがヨナとレオを引き連れ飛び立った。
予想通りにシリウス側はパニックを起こしていて、各所でやたらな銃撃を開始している。もはや統制の取れた動きなどでは無く、自分が生き残る為の戦闘状態だ。
「さて、俺達も行くか」
ステンマルクがやや助走を付けて低く飛び立ち、地形に沿って頭から突入して行った。それを見たオーリスは垂直に飛び立ち、高度を取ってから急降下する作戦のようだ。
そうやってバラバラに動けば敵側も把握に時間を要してしまう。その結果としてより混乱が大きくなり、統制の取れた反撃は行えなくなるのだろう。
「俺とトニーが最後に出るよ。先に頼む」
テッドが順番を譲ったのはディージョとウッディだ。ディージョはカビーと。ウッディはティブを連れて2人ずつ飛び出して行く。まだ最初に出たヴァルターが飛んでいる状態だが、テッドはメルメットのバイザーをおろした。
「いくぞ?」
「へい。オッケーっす!」
助走を付けて低く飛び立ったテッド。そのやや後ろをトニーが固めている。一気に速度を乗せたテッドは、まず川の上に出てからコスタリカの領域へと僅かに足を踏み入れた。
予想通り地上からバンバンと撃ってくるのが見えるのだが、当たった所でどうという事は無いレベルだ。そのまま旋回し、今度は川沿いに飛んでいくのだが、シリウス側の全域から十字砲火を受け、正直生きた心地がしない。だが……
『良い感じだな! シリウス側が地対空兵器持ち出したぞ!』
ぶっ飛んだ声で喜んでいるのはオーリスらしい。
その後にステンマルクがイカレタ声で叫んだ。
『良いぞ! 凄く良いぞ! ぶっ放せ! たたき落としてやる!』
こいつらイカレてる……
そんな事を思ったテッドだが、その直後に悲鳴が聞こえた。
ミシュリーヌか!と悲鳴の元を探したテッドだが……
『地上! 地上注意! やべぇ!』
テッドが思わず叫んだそれは、シリウス側に包囲されてしまったルーシーだ。
逃げ遅れたシリウスを追い越してしまった結果、包囲されてしまったのだった。




