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黒い炎  作者: 陸奥守
第十一章 遠き故郷へ手を伸ばす為に
391/425

世論工作を逆手に取る方法

2023/1/1 若干改稿


 突然激しい爆発音が響いた。

 悲鳴と怒号が巨大なホールを埋め尽くし、助けを求める声が溢れ始めた。

 テッド達501中隊が見ているモニターの向こうで爆弾テロが発生したのだ。


「ひでぇ……」


 誰かがボソリと呟き、同時に重い溜息がこぼれた。

 ドイツ連邦南部最大の都市、ミュンヘン。


 古い時代から様々な文化や文明が入り混じったこの街の中心部では、国連による地球連邦国家の発足を祝う式典が執り行われていた。


 世界各国の様々な都市に主張所を設け、それぞれを有機的にリンクさせた相互補完型のネットワークによる運営体制だ。シリウスとの戦いはまだ終わりが見えず、何処かの施設が破壊されてもすぐにバックアップできる体制なのだった。


「んで、どこが吹っ飛ばされた?」


 ミュンヘン上空1万メートル付近。

 501中隊は喧嘩装備を調えた上で、輸送機のモニターを見つめていた。


 全員がいつでも飛び出られるようなHALO装備で固め、降下の指令と同時に飛び出せる状態だ。そんな中、ジャンはモニターを見ながら爆発が起きた箇所を探しながらそう呟いていた。


「共通戦域情報によれば中央会場の共用トイレ3-1-5だね」


 ウッディの言葉にジャンは殊更嫌そうな表情になっている。トイレの中に爆弾を仕掛け、次に扉を開けた時に爆発する仕組み。古典的ながら扉を開けた人間を確実に殺せるだけで無く、生き残った側を疑心暗鬼にさせる効率の良いやり方だった。


「典型的な爆弾テロだぜ」


 心底嫌そうに吐き捨てたジャン。同時に地上からはけたたましいサイレンの音が届き始めた。モニターのスピーカーから聞こえて来る早口のドイツ語はまったく理解出来ないものだった。


 ただ、それでも雰囲気だけは伝わってくる。大半が即死しない程度に手加減された、嫌悪感のみを煽る最低の爆弾テロだ。そして、負傷者の救護を優先する関係で容疑者の捕縛を後回しにさせるやり方。


「……って事は、何処かで同時進行の騒ぎが起きそうだね」


 どこか楽しそうな口調でウッディが言うと、それを聞いたディージョが横から口を挟んだ。


「降りる理由さえありゃ良いんだ。俺達もパーティーに参加してぇぜ!」


 大型の輸送機はペイロードデッキも広く、リアハッチを開ければフリーダイブで一気に降下出来る仕組みだった。だが、どんなに快適性が高くとも地上に降りていた方が気分的に楽なのは間違い無い。


「心配するな。もう指令が来る頃だ」


 中隊メンバーと同じように喧嘩装備を調えていたエディがそう言うと、中隊全員がひとしきり笑った。そもそもこの式典自体がエサとして開催されているのは間違い無い。ご丁寧に対シリウス強行派ばかりを揃えたのだから。


「工作員にしてみりゃ絶好のテロ対象だよな」

「だろうな。殺してやりたいってメンツばかりが揃ってる」


 ヴァルターとテッドが順繰りにぼやくが、それを横目で見ていたアリョーシャが少しばかり笑って見せた。ヨナとトニーが顔を見合わせ不思議そうにしているのだが、それを見て取ったブルが口を挟んだ。


「シリウスの地上でロボをぶっ壊して歩いた突撃小僧も大人になってきたな」


 ――――あぁ……


 中隊の面々が得心したようにテッドとヴァルターを見る。

 だが、当のふたりは何となく居心地が悪かった。


「誰だって成長する。凪の海は船乗りを鍛えない。ここまで酷い現場も辛い場面も乗り越えてきたんだからな。このふたりが生き残っているのが何よりな成長の証拠だよ。俺には自慢のメンツだ」


 エディは率直な言葉でふたりを褒めた。滅多に見せないそんな光景にテッドとヴァルターは顔を見合わせ、そろって『やべぇ』と漏らした。


「テッドの兄貴。なんでやべぇンすか?」


 トニーがそう問うた時、ヴァルターは苦笑いしながらテッドの脇を突いた。お前が言えと煽られた形で、そのテッドはウンザリと言った顔をしながら応えた。


「エディに褒められるって事は、次からピンチのレベルが一段上がるんだよ」


 凪の海では成長など望めないし、楽な道など結局何処へもたどり着けない。どれ程言い訳を積み重ねたとて、上り坂を登りきらない限り、山の頂へは辿り付けないように。故にエディは厳しい試練を課してきたのだ。


「まぁ、死なねぇように頑張るさ」


 ヴァルターもうんざり気味の表情でそう漏らすと、隣に居たテッドがフフフと力なく笑った。あのカナダでの戦闘から3週間程が経過し、ふたりも立ち直ってきたと言って良い状況だ。


 細々とした改良の施された身体の方はG00のブロック54まで進んでいる。ここから先は抜本的な再設計が必要になると言われている。その為に必用なのは、徹底した問題点の洗い出し。つまり、実戦だった。











 ――――――――ヨーロッパ中央部 ドイツ連邦共和国 ミュンヘン上空

         西暦2275年 3月 21日 現地時間 PM4:00











 一瞬だけ輸送機が揺れ、テッドは反射的に窓の外を見た。雲ひとつ無い青空のなかで眼下を見下ろせば、そこには大きな黒い煙。その向こうには夜の闇が音も無く迫りつつあった。


「どうやらアレだな」


 テッドがボソリと漏らすと、中隊のメンツが各々に窓の外を見た。ミュンヘン中心部の巨大なホールから黒煙が上がっていた。地上には灯りが見え始めていて、もはや夜になりつつあるようだ。


 ――――コマンドポスト(中央指令)より501中隊へ


 ラジオの中に広域指令情報が流れ、テッドは意識を一段上げた。そんなタイミングでエディの声がラジオに響き、グッと身構えて指令の言葉に意識を集中した。


『クレイジーサイボーグズ01よりコマンドポスト。感度良好。オーダー(指令)を求む。繰り返す。感度良好だ。オーダーを求む』


 ふと目をやったミシュリーヌが楽しそうに地上を見ている。その近くにはヴァルターが居て、窓の外を指差しながらあれこれ話しを続けているのが見えた。


 ――――くそっ!


 単純な嫉妬心が沸き起こり、テッドはニヤリと笑ってそれを眺めた。手の届かぬ距離に居るリディアを思うものの、ある意味では居なくて良かったとも思っている部分がある。


 単純に男のメンツの問題として、惚れた女を危険に晒す事に抵抗がある。もっとも、あのグレータウンの郊外で牛飼いをしていた頃から充分の危険だったのは否定出来ないのだが……


 ――――地上軍欧州作戦本部より海兵隊へ降下要請が出ています

 ――――ミュンヘン郊外のEU機関施設で立て籠もり事件が発生しました

 ――――武装したテロリスト50名前後との情報です


 ラジオの言葉が終わると同時、視界の片隅に書類マークが浮かび上がった。そこへ意識を向けると、自動的に地上情報がロードされて左目の視界にフロー表示され始めた。


「EU移民保護センター……ってか」


 ヨナがボソリと声を漏らす。隣に居たトニーも『シリウス系を相手にしてのかもな』と漏らした。地球の地上において人口の偏在が問題になり始めているのは周知の事実で、先進国と呼ばれる38カ国の多くが国民の高齢化に頭を痛めていた。


 年齢的な構成が高齢者側に傾けば、その国は緩やかに衰退していくのが歴史の事実として認識されている。そしてその大半が没落ギリギリの所で踏み留まっている状況だ。社会を支える底辺労働者が足らなくなるのが、その理由だった。


「全員聞け」


 唐突にエディが切りだし、テッドは頭をそっちへ向けた。中隊全員の視線が集まっているのを確認したエディはニヤリと笑って言った。


「たった今ハミルトン司令が三軍統合本部と政治的取引を行ったようだ。今回の突入については我々に全権委任が行われる。つまり、俺達だけで降下し、上々に片付けてこいと言う司令だ。しっかり恩を売って実績を作るぞ。覚悟は良いか?」


 エディがそれを言うならば、何らかの打ち合わせなり意思の疎通があった筈。そして同時に情報部等が何らかの動きを掴んだのだろう。その証拠にアリョーシャがエディに続いて言葉を発した。


「降下から突入を経て作戦完了まで、全ての視界情報を記録し続けろ。特に地上での戦闘では出来る限り高解像度で高レートが望ましい。バッファがオーバーフローしない限り最低でも8Kの120が望ましい」


 ――――何か裏がある……


 そう直感したテッドは横目でヴァルターを見た。視線で『やべぇ』と呟いた形だが、無意識レベルで視線を絡ませたヴァルターもまた『きなくせぇ』と言わんばかりになっていた。


 そんな中でもアリョーシャの説明が続いていて、視界に表示されている作戦指示書を踏まえた認識の共有が行われている。要するに、地上施設に立て籠もっている連中を皆殺しにしてこい……である。


「さて、さくさく行ってさっさと終わらせるぞ」


 エディが指示を出すと、輸送機の後部ハッチが開いた。気圧差が凄まじく、荷室は一気に気圧が下がった。生身の兵士で有れば大事なのだがサイボーグには何ら関係無い。


「レディース&ジェントルメン! 行くぞ! 神のご加護を!」


 エディは最初に蒼空へと飛び出した。通常ならば最後に飛び出すはずの指揮官がそれを行うのは異常な事だ。テッドは後れを取らぬように上空へと身を投げ出し、ヘッドダウン姿勢になってエディを追った。


 ――――なんか慌ててるな……


 不意にそんな気に成ったのだが、後方を見た時には中隊全員が上空に飛び出しているのが見えた。そして再び下を見た時、エディが手招きしているのが見えた。


 ――――ん?


 エディの降下速度がスーッと遅くなり、テッドはその脇に並んでいた。その後も徐々に中隊が結集し始め、ある程度の塊になった時エディはテッドの手を掴んで両手を広げた。


 ――――円環降下!


 幾度かHALOの訓練でやった降下姿勢で、隊員同士が手を繋いで巨大な輪を作れとエディが求めた。テッドの隣にはトニーがやって来てその向こうにはミシュリーヌが見えた。


【全員聞こえるな? 直結通信だ。これなら枝が付かない】


 枝とは通信漏れの事を指す。つまり、何らかのミッションが確定している。前もって言ってくれよとも思うのだが、これもいつものエディのやり方で、やむを得ない事だった。


【地上に立て籠もっている連中の中にマスコミが紛れ込んでいるが、その中身はシリウス派の工作員だ。人質が射殺される所を撮影して放送する工作を企んでいる。それを逆手に取る。手順は――


 エディの言葉を聞いていたテッドは、思わずニヤリと笑っていた。シリウスの工作員がマスコミ関係に浸透しているのは周知の事実だ。ヴェノム文書ですっぱ抜かれたWWⅡにおける米国参戦の政治工作と同じ事がここでも繰り返されている。


 いつの時代でも世論工作を行うにあたり、マスコミを押さえて手足のように使い世論形成を図るのが常套手段なのは言うまでも無い。およそどこの国家でも同じ事が起きていて、適当な罪を針小棒大に膨らまして政権与党を貶めるのに熱を上げるマスコミは信用するなと言うのが23世紀の社会常識になっていた。


【――地上まで残り40秒だ。気合い入れろ! 録画を忘れるなよ!】


 エディの指示に『サー!』を返し、視野にフローティング表示されているコントローラーから録画のプロパティを開けて戦況記録にチェックを入れた。視野の中に大きな四角の枠が表示され、その枠の外に赤い丸が灯った。


【見えたな】


 ここまで黙っていたブルが渋い声でそう言うと、視野の中に高度が表示された。地上まで残り3000メートル。一気に降下すれば一瞬だ。無意識レベルで予備パラシュートの安全装置を外し、チラリとエディを見た。


『全員行くぞ!』


 ラジオの中に声が聞こえ、テッドは手を放してパラシュートを広げるべく構えた時だった。


 ――――居た!


 最大ズームにした地上施設の屋上に幾人もの姿があった。どう見たって殺してくださいと自己主張するようなテロリストだった。それは、殺されるのを前提に送り込まれた面々だとしか思えないメンツ……


 ――――なるほど……


 何かを合点したテッドは、一気にパラシュートを広げると同時にS-8を構え狙いを定めた。照準器越しの視界に地上施設の人間が見えた。上空は全く無警戒で地上ばかりを見ている。念の為に『エディ?』と声を発したテッド。その返答は銃声だった。


『各個射撃始め!』


 エディの声が聞こえ、テッドは引き金を引き絞った。12.7ミリの弾丸が地上へと降り注ぎ、垂直にそれを喰らった人間は爆散するように死んでいった。それはまるで地上に華が咲くようで、テッドはそれを美しいとすら思った。


『撃ち方止め! 地上クリア!』


 ブルがそう叫び、テッドは着陸態勢に入った。と言っても、もはや無意識レベルで勝手に着地したと言って良い状況だ。そのまま手近な入口から無い内部へと侵するべく姿勢を整えた。飛び出してきたテロリスト全てを射殺しつつ。


 もはや作業と呼ぶべき行為だったが、出会ってしまった以上は仕方が無い。このまま突入しようかと一歩踏み出した所でテッドは思いとどまった。シリウス側の工作を逆手に取るのが主眼なのだから、オープン環境で射殺してやるのが良い筈だ。


『テッドはそこに陣取れ! ヴァルター! ロニーとティブ、ヨナを連れて突入しろ! ミシュ! ジャン! 周囲を警戒! 何も見落とすな!』


 エディの淀みない指示が飛び、ヴァルターはロニーとティブとヨナを手招きして建物の中へ飛び込んでいった。だが、ややあって別の出入り口から一斉にテロリストが飛び出してきた。


 アリの巣穴から大量に出て来る様な光景をイメージするそれは、少々気色悪い光景でもある。だが、別の見方をすればある意味では手間が省けるのだ。そして、これまた狙い通り、飛び出して来るテロリストは銃を乱射していた。


『トニー! ヨナ! 俺の両翼に着け! クロスファイヤだ!』


 その手に持ってるのはH&K製の自動小銃だった。装甲付きの野戦戦闘服なので直撃を喰らってもどうという事は無い。だが、7.62ミリの弾丸を頭に受ければ洒落にならないのは間違い無い。


 ――――もう少し撃たせるか……


 テッドは伏せる事無く的になるように銃を構えた。早速各方面から銃弾が襲ってきて、装甲服へ直撃を受けた時には打撃でよろけてしまった。ただ、その視界の中に見えたテロリストは血走った眼で銃を構えていた。


 ――――なるほどな


 これを録りたかったのか……とテッドは得心した。つまり、先に攻撃されたと言うアリバイが欲しいのだ。となると、先ほどの降下時点で既に射撃を開始していた訳だが……半ば無意識レベルで反射的に射殺してしまっていた。


『兄貴! カバーする!』


 トニーが銃を撃ち始め、呼応する様にヨナも銃を撃ち始めた。それに伴いステンマルクやオーリスも左右へと展開して銃を撃ち始めた。まだまだ飛び出てきているのだが、ややあってラジオにヴァルターの声が聞こえた・


『エディ! 下は掃討を完了した! チョロいぜ!』


 無我夢中の遭遇戦闘だが、結果的には一方的な掃討戦だった。中隊の共有する戦術コマンドリンクでは殺害数が合計で68と出ていた。案外多いなとも思うのだが作戦が終わった訳では無い。


『よろしい。全員一階正面入口へ集合だ! 一番乗りには一杯奢るぞ! 突入!』


 降下から15分。エディの指示が飛びテッドは建物内部へと侵入した。どこにでもあるような事務所だが、内部は立て籠もりにでもするつもりだったのか、バリケードが各所に築かれていて通路を塞いでいる。


 そんなバリケードを撤去し、内部の見通しを良くしながらの前進では時間も掛かろうというもの。時々は何処かから銃声が聞こえるのだが、ブービートラップの可能性を考慮すると少々怖い気もするのだ。


『全員愛想笑いを忘れるなよ。予定通りマスコミの皆さんがお待ちかねだ』


 エディの声がラジオに流れ、テッドはヘルメットのバイザーを開けて目元だけを見える状態にしていた。素顔を晒して良いのか?と訝しがったが、その前にヘルメットを取ったエディが正面から出て行った。


 一斉にライトが集まり、マスコミのカメラがワーッとエディへ集まり始めた。そんな中でエディは手を上げながら言った。


「テロリストは全て射殺しました。もう大丈夫です」


 ……と。その一部始終を地上放送局が生中継していたらしく、施設を囲んでいた民衆の間から『人殺し!』の罵声が浴びせられた。ややあって別の場所から『平和的解決は出来なかったのか!』の声が聞こえる。そしてまた『人殺し! 彼等は誰も殺してない!』の声が聞こえた。


 ――――あぁ……

 ――――こういう事なのか……


 世論を作る上で重要なのは、生贄には確実に死んでもらう事だ。その意味では狙い通りの展開になっていると彼等は踏んだ事だろう。だが、突入劇を繰り広げた海兵隊がサイボーグである事を、彼等はまだ知らなかった。


『民衆の間で声を上げている者を記録しておけ』


 アリョーシャの冷静な声が聞こえ、テッドは思わず吹き出しかけた、政治工作の片棒を担ぐ為に、現場における指揮権をハミルトン司令が奪い取ったのだと気が付いたからだ。


『とりあえず困惑している顔をしておけよ。彼等が喜ぶようにな』


 笑いをかみ殺した様なエディの物言いに腹の底で笑ったのだが、実際には血走った目で罵声を浴びせられている。その大半が良いように丸め込まれた『善良な一般市民』なのだろう。


 ただ、彼等は自らが丸め込まれ良いように使われている事に気が付いた後で、今度はその思想を自分の思想に切り替えてしまう。世に言われる通り、謝ったら負けであり、自分の間違いを認めたら負けなのだ。


 それ故に、致命的レベルでその間違いを思い知らせる証拠を用意し、容赦なく突きつける必要がある。その為の工作をエディとハミルトン指令が行ったのだ。そしてその狙いがバッチリはまった事をまだ彼等は気付いていなかった。


『さぁ来たぞ。迂闊な事を言うなよ?』


 アリョーシャの声がラジオに響くと同時、独立系メディアのカメラとインタビュアーがエディの所へ突撃していた。その開口第一声が『無抵抗の者でもテロリストは射殺ですか?』だった。


 その問いに対し、エディは笑みを浮かべ首肯し、胸を張ってこう言った。周囲のカメラが一斉にレンズを向けているのを確認し、それぞれに一度は視線を送って大事なシーンをわざわざ録らせてから……


「良いテロリストなど存在しません。テロとテロリストは純粋な悪です。テロリストの存在は許容出来ず、すべて排除の対象です。そこに矛盾は存在しません」

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