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黒い炎  作者: 陸奥守
第二章 後退の始まり
22/424

徹底抗戦の始まり

 ――――ニューアメリカ州 州都サザンクロス北部 チライ河岸

      シリウス標準時間 5月9日 1300





「……またかよエディ」

「気持ちは分かるが……そう言うな。マイク」

「だけどよぉ……」


 ふて腐り気味のマイクと宥めるエディ。

 その隣でパンをかじっているアレックスが笑う。


 第2防衛線を脱出した501中隊はサザンクロスの北部へと到達していた。

 街の北部を流れるチライ河には立派な橋が架かっていて、その橋の袂ではサザンクロス最終防衛線が構築されつつ有った。


「ここを死守って簡単に言ってくれたけどな、あのおっさん」

「おっさん言うな。俺にとっては数少ない親族で、しかも恩人だ」

「……そりゃ失礼した」


 腐りきったマイクだが、エディは余り気に止めた様子では無い。この日の早朝に最終防衛線へとたどり着いた彼らは前線本部へと出頭していた。その際、501中隊の士官4人は予想外の歓待を受け戸惑った。だが、そこへ姿を現した人物を見てエディは合点がいったのだった。


 地球連邦軍シリウス派遣軍団総長。宇宙軍・地上軍・サイバー戦闘軍、三軍統合司令官。エリオット・ロイエンタール上級大将だ。ブリテン出身の古い貴族で、エディが士官学校へ入るに当たっての身元保証人を務めた人物だった。






 ――時計の針は2時間ほど前に遡る







「久しぶりだなエディ 相変わらずだそうだが」

「伯父上もお元気そうで」

「まだまだ若いモンには負けんさ」

「そのまま200まで生きそうですな」

「ハハハ! そりゃ難しいワイ!」


 握手では無くハグで再会を喜んだエリオットとエディ。

 その姿を見たドッド以下の下士官は今度こそまともな待遇を期待した。

 だが……


「諸君らが二つの遅滞行動戦闘における貴重な経験値を持ってきてくれた事に深く感謝する。そして、野戦昇進ではなくきちんとした手続きで昇進できるよう取り計らう事を約束する。その為にも生き残ってくれ。ここが正念場なのだ」


 あんぐりと口を開けて驚くドッド。

 生き残っていた下士官の全てが肩を落として居る。


「そうガッカリしなさんな。あんまり悪い話しじゃ無い。早ければ来週にも。遅くとも6週間後には地球から大規模輸送船団が到着する。今度はちょっとはまともな増援が来るじゃろうて。それまでの辛抱だよ」


 ニヤリと笑ったロイエンタール伯は事務方を呼びつけ命令書を用意させた。


「諸君らをここまで運んできた装輪装甲車だが、ここの守備隊へ譲り渡してやってくれ。代わりに装甲兵員輸送車を用意する」

「ここの守備では無いのですか?」

「守備なのは間違いないが、中身が違う」

「と、言いますと?」

「本業の方を頼みたい。だいぶ緩んできとるでな。市民の避難が続いているから、その支援と護衛だ。直接やりあうのは他の連中に任せるさ」


 サラサラと命令書に内容を記載し、最後に自身のサインを入れたロイエンタール伯がエディにそれを手渡した。内容をさらりと確認するエディが怪訝な表情になったのだが、当の老貴族は涼しい表情だ。


「よろしいのですか?」


 書類を折る事無くマイクへと手渡したエディ。受け取ったマイクはその中身をさらりと読んで驚きの表情を浮かべた後、アレックスへと手渡した。同じようにアレックスも驚きの表情を浮かべて、ジッとロイエンタール伯を見ていた。


「……君と君の中隊をこれ以上危険な目に合わせるのは本意ではない。大事な任務もあろう。故にそう言う事になる。まぁ、気にしなさんな。君らが持ち帰ってきた交戦記録にはそれだけの価値があるということだ。周回軌道艦艇からの偵察情報では、シリウス側はここへ例の二足歩行ロボットを全部投入していると言うことだ。情報部の推定によれば、おそらく週に4機仕上げられたら上出来と言う代物のようだし、消耗品や燃料など補給兵站系統に相当負担が掛かっている。正面戦力でやりあうにはにの勝ちすぎる相手なのは間違いない。だが、勝てない相手でもない。一定以上の被害を与えれば向こうも手を緩めざるを得まい。そして……」


 ロイエンタール伯は大型モニター上にニューホライズンの地図を表示させた。ニューアメリカ州から東へ5000キロの彼方。巨大工業地帯キーリウスのエリアでは連邦軍の大気圏内向け戦闘攻撃機や空中要塞による戦略爆撃が続いている。

 連邦側も手痛いダメージを受けているが、シリウス軍側にしてみれば数少ない航空戦力を全てキーリウスの防衛にとられている上、重工業系の産業が連日の攻撃で大きく能力を落としていた。

 エディ達サザンクロスへと後退する連邦軍が航空戦力による攻勢を受けていないいちばんの理由は、シリウス側にも明らかに浮かび上がってきている、生産力といった部分での疲労と被害だった。いかなレプリカントと言えど教育をキチンと受けねば精密機器の生産は覚束ない上に、数年掛けて教え込んだ熟練レプリも長くて4年程度の命とあっては、満足な仕上がりを得る前に寿命になってしまう。

 それゆえに、シリウス人の熟練工を育てるのだが、今度は人的被害が怖いから空襲前には早目早目に逃がさざるを得ない。つまり、生産系統の遅れは、そのままシリウス軍の足腰弱体化に繋がっているのだった。


「まぁそう言う事で、諸君らにはM223とM188を4輌用意させよう。うまく使って任務を果たしてくれ。そして、そこにあるとおりだが『市民の安全』の為とあらば『いかなる行動も独断で行ってよい』と言うことだ。意味は適宜理解してくれれば良い」


 エディが踵を揃え敬礼を送ったので、マイク以下の部下たちもそれに習った。


「了解しました。第501独立野戦中隊、チライ大橋の守備に加わります」

「うん。よろしい。守備隊長には私の方から話を通しておく」


 ロイエンタール伯の手がまるでハエでも払うようにヒラヒラと揺らされた。今すぐ行けという意思表示なのだが、その表情は柔和で穏やかだった。落ち着き払ったその振る舞いに皆が真意を悟る。この年老いた貴族はここで死ぬつもりなのだと。

 シリウス派遣軍の中で勝ち戦の場所に陣取らず、負け戦のど真ん中に陣取って部下を鼓舞する気骨の士。そんな姿に部下たちは一層奮い立つ事を、あの老貴族は知っているのだ。全ての責任はワシが取ると言わんばかりに振舞えば、避けがたい死を前に勇戦する事もある。人類の長い長い歴史がそれを証明していた。




 ――そして時計の針は元に戻る




 チライ河に掛かる大きな橋のルドウ側。連邦軍は残された数少ない戦闘車両と野砲とを並べ、防衛陣地の構築に勤しんでいた。戦車などの残骸を並べ即席の対戦車移動障害を作り上げる最中、前線指揮官の会合は異様な緊張感に包まれている。

 その輪の中心には2度の遅滞戦闘を生き延びたマーキュリー少佐が立っていて、各兵科の長や隊長達と防衛戦闘のセッションを行っていた。命の掛かった戦闘なのだから皆真剣だ。そんな陣地の間を続々と市民が通り抜けていて、501中隊のメンバーは市民の列を縫いながら野戦築城の手伝いを続けていた。


あんだぁ(なんだか)今まてて一番悪い空気なな」


 前歯を折ったロブの発音がぎこちなく、会話しづらい事を仲間が冷やかす。この戦闘が終わったら医療船で差し歯を作ってやるとマイクが約束していたのだが、ロブにしてみれば先ずこの戦闘を生き残る事が大事だ。


「だけど、少佐の隊なら生き残れるぜ」


 同じく歯を欠いたサムがそれに答えた。奥歯を割って欠いたサムなので発音自体は悪くないのだが、どうにも滑舌が悪くなるのは避けられない。そして、モノをしっかり噛めないと言う事で食事が辛かった。


「まぁ、俺たちは走りまわりゃ何となるが」

「そうだな。野砲の連中は災難だぜ」


 同じ場所で土嚢を作り陣地を拵えていたグーフィーとヤングが漏らす。渡河点となる橋の付け根は文字通りの槍衾になっていて、雑多な種類の砲を並べて待ち構えている。そして、河の上下から野砲射程ギリギリのところにも野砲陣地をこしらえて、迫ってきたロボットを挟み撃ちのつるべ打ちに出来る体制を整えていた。


「アタりゃイケるがあたらねぇと来たモンだ。おまけにこっちは動けねぇし逃げられねぇしで、砲兵の連中は死に物狂いだろうな」


 徐々に傾き始めたシリウスの光を浴びて作業を続ける隊員達。そこへジョニーとヴァルターがドゥバンを連れてやって来た。両手一杯にランチジャーを持っていて、全員分の食事を運んできたのだった。


「昼飯を持ってきました!」


 シャベルやあり合わせのヘルメットで作業していた隊員が手を止め笑顔になる。汗と土汚れで黒くなった顔を拭きながら、ドゥバンの持っている水タンクで手と顔を洗いだした。


「おせぇーよ! 小僧ども!」

「すいません!」

「まぁでも仕方ねぇな。なんせ機動力は取られちまったから」


 クリスの言葉に首を竦めたヴァルターだが、理由は皆言わなくても分かっているのだ。今までは装甲車の中のキットでメシの仕度が出来たのだけど、今は何も無いので橋の向こうにあるフィールドキッチンからランチジャーを運ばねばならない。

 対岸まで1キロ近くある橋を走って渡り、ランチをジャーに詰め込んで転ばないよう歩いて帰って来るのだから、どんなに急いでも1時間は掛かるのだ。


「さて、喰える内に喰っておこうぜ!」


 そんな言葉で隊に食事を始めさせたウェイドだが、ランチジャーを開けてまだ温もりの残るサンドを頬張り始めたとき、遥か彼方から雷鳴のような音が轟いた。発作的に皆がその音源を捜したのだが、チライ河の上流側にある砲兵陣地だと認識すると同時に、皆が走り出して塹壕の中へ飛び込んだ。街道沿いの遥か彼方にシリウス軍のロボット兵器が見えたのだ。


「飯ぐらいゆっくり食わせろ! クソッたれめ!」


 悪態を吐き出してシリウス軍を呪ったロージー。その隣ではグーフィーがサンドをジュースで流し込んで銃を構えていた。ライフル銃程度で抵抗できる存在ではないのだが、徒手空拳では幾らなんでも怖すぎる。

 大地を踏みしめ進軍してくるロボットたちは、ざっと見たところで50機程度だろうか。例えそれが何であれ、装甲に囲われていた場所であれば多少は安心できていたのだが、今は完全に剥きだしの状況で敵と対峙しているのだ。

 塹壕の中で震えるほど緊張しているジョニー。ふと隣を見ればヴァルターも青い顔をしていて、幾人かの501中隊を挟んだその向こうに居るドゥバンも血の気が引いている。


「良いかジョニー」

「はい」


 ジョニーの隣で涼しい顔のロージーは遠慮する事無くタバコに火をつけた。美味そう食後の一服を味わってから煙を吐き出し、タバコを指で挟んだ右手を向けジョニーを見る。


「死ぬ時はどうせ一瞬だ。だからそんなに緊張すんな。それよか、ヤバイと思ったら一目散に走って逃げだすんだ。俺が知ってる限り、ヤバイと思って走り出す奴は生き残る。飛び出て撃たれるのが嫌だとビビる奴はその場で結局死ぬ。自分から動かなきゃ死ぬだけだ」


 小さな声で「はい」と返事をしつつ頷くジョニー。その間にもロボットは迫ってきていて、カタカタと地面が揺れ始め塹壕や土嚢の間に詰めた砂やら土やらが崩れ始める。


「全員伏せろ!」


 突然ウェイドが叫びジョニーは慌てて塹壕の中に蹲った。次の瞬間、腹の底まで響くような振動が伝わり、すぐ近くで砲弾が爆発した事を知った。ジョニーの背中にバラバラと小石やら破片やらが降り注ぎ、身体を乗り出したままであれば即死だったと気が付いた。

 そして、その恐怖に、気が付けば小便を漏らしていた。


「砲兵が総力砲撃中だ! とにかく身を隠していろ!」


 いつの間にかやって来たドッドがジョニーの隣に現れた。手にはパンツァーファウストを持っている。全員に二本ずつ配り、そしてドッドは自分の分の発射態勢を整えた。


「いいか! 接敵距離100メートル以内で使うんだ! 足を狙え! 股関節が膝だ。とにかく機動力を奪え! 勝手に死ぬんじゃないぞ!」


 随分と勝手な事を言ってくれると呪ったジョニーだが、シリウスのロボットは砲兵の砲撃をものともせず橋へと迫ってきた。ややあって砲兵からの砲声が途絶え、何事かと思って顔を出したジョニーは背筋が凍るほどのシーンを見ていた。

 チライ河の上流部下流部両方にある砲兵陣地へもロボットが迫り、巨大な火炎放射器で砲兵陣地を焼き払っていたのだった。次々と爆発炎上が続き、破片に成り下がった『人間だった物体』が飛び散っている。


「へぇ…… 随分とエグいじゃないの」


 引きつった表情のグーフィー。サムとカッパーゾが小声で何かを呪っている。その刹那、ジョニーの背中にある背嚢を何者かが引っ張った。引きずられるようにして塹壕へ沈んだジョニー。その上に何かが圧し掛かった。


「絶対に動くな!」


 聞き覚えのある声に圧され身動きの取れなかったジョニー。その声の主がエディだと気が付いた時、すぐ近くに砲弾が着弾し大地その物が揺れた。そして、ふと気が付くと辺りからうめき声が漏れていた。


「ウェイド! ドッド! 死んでないか!」


 エディが状況確認する中、ドッドとウェイドの二人は動いているのが見えた。だが、その向こうに居たカッパーゾとサムの二人は原形を留めていないほどグチャグチャになっていて、その奥には腹部から下を失ったドゥバンが空を見上げ激しく痙攣していた。大きく切り裂かれた腹部から血と腸液を撒きちらし、死を待つばかりの姿だった。


「ドゥバン……」


 言葉を失ったジョニー。ヴァルターも震えている。エディはすぐ近くに居たロージーをジッと見てから、手を左右に振った。そのハンドサインが『楽にしてやれ』だと悟ったジョニー。ロージーはドゥバンの眉間に銃口を当て、迷わず引き金を引いた。乾いた銃声が響き、痙攣を続けていたドゥバンの身体が動きを止めた。


「お前ら勝手に死ぬんじゃ無いぞ!」


 エディがそう叫ぶと同時に雨あられの如く砲弾が降り注ぎ始めた。シリウス軍のロボットが遠慮無く撃ってきてるのだと思ったジョニーは、気が付くと膀胱が空になるほど小便を漏らしきり、そしてパンツの中にケツの穴から巨大なモノを産み落としかけていた。


「おいジョニー! こんな時は笑ってろ!」


 いきなり無茶を言い出したエディ。

 ジョニーは引きつった表情でそれを聞いていた。


「すぐ近くを死神がウロウロしてやがるのさ。ビビッてる奴からあの世に引っ張られるからな。精一杯笑って誤魔化しておけ。あと、パンツの中に糞は漏らすなよ。皮膚炎の原因になる」


 アッハッハ!と笑うエディは塹壕を移動してサムとカッパーゾのドッグタグを回収した。まともに身体のパーツが残っていない二人だが、ドッグタグだけは残っていたらしい。

 それをポケットにしまったエディは、一瞬だけ塹壕から頭を出して周りを確かめる。例のロボット軍団は連邦軍の戦車を寄って集って攻撃し始めてた。


「チャンスだ! 動ける者は橋へ走れ!」


 エディの声が響き、ジョニーは立ち上がって塹壕を飛び出し橋へと走った。市民たちの避難が続いていて、その最後尾を501中隊が走っている。橋へと迫ってくるロボットは、まだ軽く2キロはありそうな距離だったのだが、残されていた僅か5輌の戦車隊と打ち合いを始めていて、有効打にこそなっていないものの、ロボットの進軍速度は明らかに低下していた。


「とにかく走れ。市民のケツを持って走れ!」


 エディは隊の最後部に居て中隊を鼓舞していた。橋の上を走る501中隊の面々は年寄りや子供を担ぎ上げ、橋の対岸へ向けて走っている。ふと後方を振り返ったジョニーは爆発炎上する戦車を見た。その隣で盛んに打ち返している戦車がロボットを撃破するのも見た。一瞬の間に生と死が交差していて、その間を黒い影が飛び回っていた。


「エディ! 黒い影が見える!」

「そいつが死神だ! 目を合わせるなよ!」


 エディにケツをつつかれジョニーは懸命に走ったのだが、1キロ以上ある橋の対岸はあまりに遠かった。途中で何度も足を止め、その都度に胃液を吐き出して尚も走ったジョニー。やっと対岸へたどり着いた時、エディは橋の真ん中辺りで何かをやっていた。


「エディ!」


 ドッドが叫ぶ。皆も必死になって叫ぶ。そんな中、エディは橋の反対側に残っていた最後の戦車が吹飛ぶのを見届けていた。


「エディ! 死んじまうぞ!」


 ウェイドの絶叫が響く中、橋のルドウ側にあった橋脚が大爆発してトラスが水中に没した。それを見届けたエディが橋の上を走り出す。その間にも次々と橋脚が爆発して行き、8径間あったオーバートラス橋の全てがチライ河に没していた。


「無茶しやがって!」


 先にたどり着いていたマイクが湯気でも出すかの勢いで怒っていた。

 そんなマイクの肩を叩いたエディは息一つ切らす事無く振り返っていた。


「彼らは義務を果たしたんだ。それを讃えてやらねば」


 エディは姿勢を正し、燃えている戦車に正対した。その姿を見て慌てた501中隊全体が整列し姿勢を整える。そしてアレックスが号令を掛けた。


「勇猛果敢な砲兵と戦車兵に敬礼!」


 その敬礼を送っている時だ。直撃を受け、動かなくなっていた筈の戦車が、いきなり砲塔を回転させ、至近距離で主砲を放った。車体の正面装甲に大穴の空いていた戦車だ。間違い無く即死で搭乗者は全滅したはず。

 だが、その戦車はまるで意志があるように砲塔を回転させ砲撃を続けている。重装甲なロボットとは言え、弾着距離が100メートル以下では装甲を撃ち抜かれるらしく、あっと言う間に5機がスクラップになった。

 そして6機目に狙いを定め砲撃したと同時に大爆発を起こした。裏手からロボット側の攻撃を受けた戦車が爆発したのだった。


「すげぇ……」


 ぼそりと呟いたジョニー。そんなジョニーをエディが叱りつけた。


「油断し過ぎたぞジョニー。俺が引っ張らなかったらお前は即死だった」

「すっ…… すいません」

「次は気をつけろ」

「サー!」


 恥ずかしげに震えていたのだが、それを誤魔化すように腕を組んでシリウス軍のロボットを睨みつけたジョニー。上目遣いの敵意ある目で見つめ、渋い声音でそっと呟いた。


「このままじゃ… 終わらせないぞ ドゥバンの仇を取ってやる」


 その後ろ姿にエディは満足そうな笑みを浮かべていた。


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