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目が覚めたら今川家の軍師になっていた私。しかし当主は今川氏真。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』


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義元の三河入り

「お前の記憶がどうなっているか定かで無いから、まず御館様が殿に家督を譲られた経緯から話した方が良いかな?」

「お願いします。」

「御館様が殿に家督を譲った理由は三河を統治するためであった。当時、三河を治めるのに四苦八苦していた。織田の脅威があったからでは無い。三河の国衆を落ち着かせる事が出来なかったのがその理由。国衆の権益は極力尊重する方針で臨んでいた。しかしうちが三河に入る際の約束を全て叶える事が出来なかった。これに不満を持った国衆らの反乱に苦労していた。そこで御館様が打ち出した方針が尾張への進出。新たな権益を獲得する過程で活躍した国衆に対し、報酬と言う形で付与する事により不満を鎮める方策を採った。しかしそれでも。であった事もあり、

『なら直接私が統治する。』

と御館様が宣言。駿河と遠江を殿に譲られ、御館様は三河と尾張を見る体制となった。それもあり私は以後、岡崎城に入り御館様を助ける事に相成った。お前の父上が入っていた時期もあったんだぞ。」

「……なるほど。」

「その後、御館様は知多半島を巡り織田水野と対立。伊勢への出口となる大高や鳴海の城を奪取する等成果を上げて来たのだが、織田も反撃。城の周りに砦を築かれた事により両城は孤立。その中でも大高の状況は深刻で兵糧が枯渇。当時城を託されていた鵜殿長照の要請を受け御館様は出兵を決断。その先方を担った一人が其方朝比奈泰朝であった。

 そこでお前は殿の期待に応え鷲津の砦を奪取。大高城の孤立解消に大いに貢献した。これで此度の作戦は完了。知多半島の権益もほぼ手中に収める事が出来た。そう誰もが思っていた所に……。」

 桶狭間の戦いが勃発。

「御館様を始め、多くの貴重な人材を失う羽目に相成ってしまった。その中には遠江の国衆の当主も多く、それが今のお前を苦しめる原因となってしまっている。まぁ見た感じ。ほぼ終わっているようだな。」

「そうでありますか?」

「……本当に記憶が飛んでしまったんだな。文書に問題は無い。花押もある。後はあそこにある印鑑押すだけだ。それが終わったら一度、掛川に戻り休まれよ……。と言ってもそうは行かぬか?」

「どう言う事でありますか?」

「尾張からほぼ直でここに来たであろう?所領の者共も先行きを心配している事であろう。早く伝えて安堵させてやれ。

『今川に揺るぎなし。』

と。」

「わかりました。……。」

「どうした?」

「いえ。駿河遠江に問題は無い事はわかりましたが、今の三河はどうなっているのでありますか?」

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