19話 スプーン曲げのユリゲラー
古川雑貨店 座敷
香と智也は、熱心にテレビに映るスプーン曲げの〝ユリゲラー〟を見ていた。
智也は、ユリゲラーの真似をしてスプーンを擦るが、一向に曲がらない。
香も、「本当に不思議ね〜」と一緒にスプーンを擦るが、一向に曲がらない。
そこへ、清一が帰ってくる。
「ただいま!おっユリゲラーか?これ本当に不思議だよな!俺もやってみるか!」と台所からスプーンを持ってきた。
「うーむ、やっぱり曲がらないよな‥」と試したが無理であった。
「そうですよね!曲がらないですよね!」と香は、清一に同調する。
そこへ、爺ちゃんが奥から出てきて「どれ、ワシもやってみるか‥」と台所へ向かい、スプーンを持ってきた。
「うーむ、曲がらんか‥」と肩を落とした。
テレビの前では、香、智也、清一、爺ちゃんが一列にならんでスプーンを擦っている。
そこへ、香と智也を迎えに隆二がやって来た。
「お!ユリゲラーか⁈それ俺、得意なんだよ!」そう言って、智也からスプーンを取り上げ背中を向けて、スプーンを手元に持った。
両肩が上がり、明らかに〝力〟を入れている。
「ほら!曲がったろ」と自慢げに〝へ〟の字に曲がったスプーンを見せる。
「お前、力で曲げたろ!隠さないで目の前で、やってみろ!」と清一が突っ込む!
「ズルい!お父さん!」「ズルいわよ隆二さん!」と皆から、一斉に非難を浴びる。
隆二は、「違うよ!俺には〝超能力〟があるの!」と皆のスプーンを取り上げ、背中を向けて、次から次へとスプーンを曲げた!
『ズルい!』と全員に言われる!
「なんの騒ぎじゃ!」と店を閉めていた婆ちゃんが座敷にくる。
「なんじゃ!隆二か⁈こんなにスプーン曲げおって!このアクタレが!」と婆ちゃんは、隆二が曲げたスプーンを親指と中指で、軽々とヒョイっと次から次へと元に戻す!
『婆ちゃん!超能力者!』と全員が唖然とした。
婆ちゃんは、戻したスプーンを持って、隆二にあっかんべーをした。




