18話 凧上げ
2月
隆二は、智也を連れて凧上げに官舎の前にいた。
「いいか?智也!俺が離せっていったら離すんだぞ!」と今日買った〝ゲイラカイト〟とと言う洋風のビニールで、出来た凧を智也に持たせた。
「離せ!」助走をつけた隆二は、ゲイラカイトをみるみる上げた。
「うわーすごい!」そらにどんどん上がる凧を智也は喜んで見上げた。
「智也!持ってみな」と凧糸の巻いてある。〝筒〟を智也にもたせた。
「うわー、引っ張られる!」と凧糸を全部、空に上げた凧に引かれる。
隆二は、「どうだ?面白いか?よし、もっと上げよう!」と言って、智也に凧を任せ、部屋に向かった。
暫くして隆二は、釣りに使う〝リール〟を持ってきた!
「智也!もっと上げてやる!」と凧糸にリールを繋げた。
リールの糸は、空へどんどん吸い込まれ、もはや
500メートルは上がったであろうか?凧は豆粒ほどしか見えなくなった。
隆二と智也、二人でリールを持っていたが、隆二が「トイレに行きたくなった!智也、持ってて」と凧のついたリールを智也に持たせた。
智也は、その強力な引っ張る力に、右に左に振り回される!
「お父さん!待ってよ!飛んじゃうよ!」と悲鳴にも近い声を上げるが、隆二はお構いなしにトイレに向かった。
独りきりになった智也は、なんとか、凧を降そうと必死にリールを巻こうとするが、リールの糸はドンドン空に伸びていく!
「お父さん!お父さん!」悲鳴にも近い声を智也は上げる。
そこへ、買い物から帰ってきた香が智也の凧に引っ張られる様子を見て、慌てて近寄る!
「どうしたの⁈お父さん、隆二さんは?」と香も
リールを巻く手伝いをしようとするが、凄い力で、手に負えなかった。
「智也!ちょっと我慢してて!」と言い、走って部屋に向かった。
香は、扉をあけ「隆二さん!何やってるの!」と雷を落とした。
呑気にタバコを吸っていた隆二は、「あっ!」と言い、慌てて智也の元へ向かった。
隆二は、智也から、リールのついた凧を預かるが隆二でも一苦労な力であった。
香は、呆れた様子で「智也いこ!」と隆二を置いて、智也と部屋に戻った。
「もう!智也にあんな遊びさせて!許せない!」と香はカンカンに怒っていた。
「なんか仕返ししてやる!」そう言って2合程残っていた隆二の日本酒を持ち出してきた。
智也は「お母さん⁈何するの!」と側で覗きこんだ。
夜
「香!お酒頂戴!」と台所で夕飯の支度をしている香に声をかけた。
「は〜い」と香は、何事も無かった様に日本酒の瓶を持っていく。
〝トクトク〟とコップいっぱいに日本酒を注いだ隆二は一気に飲んだ!
「ゴホ!ゴホ!ゲッホ!これ!〝酢〟じゃないか!」と咽せて隆二は転がった。
その様子を見ていた香と智也は、指差し、大笑いした。




