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10話 モンタージュ

 香と智也は、石橋商店街で、夕飯の買い物をしていた。

 お肉屋さんをでると、智也が「あっ隆二兄ちゃんだ!」と一枚のポスターを指差した。

「え?」と香がそのポスターを見ると、それは、

〝三億円事件〟のモンタージュ写真の指名手配のポスターであった。

「違うわよ!確かに白バイ警官の格好してるけど‥待って!でも確かにそっくりね!似てる!」

と香は見入った。

 智也が「三億円事件ってなあに?」と聞くと、

「それはね、白バイ警官に変装した犯人が、3億円泥棒しちゃったの!まだ捕まってないのよ、智也が生まれる前に起きた事件よ」と香は説明した。

「え!お兄ちゃん3億円も、持ってるの!」と目を丸くした。

「だから、違うわよ!違うと思うけど‥でも似てるわね?」と香もまさかとは思ったが、あまりに似ていたので確信が持てなかった。

「お兄ちゃんに聞いてみようか?智也」と香が誘うと智也は行く行く!と二つ返事で香の手を引っ張り、古川雑貨店に向かった。


 「三億円事件の犯人⁈俺が?」とたまたま、店にいた隆二は声が裏返った。

「隆二さん?本当に貴方犯人ではないんですね、余りにもモンタージュが似てるもので‥」と香が再度聞くと、隆二は、「あのね!俺は本物の白バイ隊員だよ!だいたいね、俺は事件の時、まだ白バイに乗ってなくて、交番勤務だったの!交番で、事件の無線は聞いたけど、充分すぎるアリバイがあるの!」と勢いが凄い。

「怪しいの〜隆二やったんなら自首せいよ!」と婆ちゃんが割り込んでくる。爺ちゃんも「隆二?

この前、一万円札持っておったの?あれはどうしたんじゃ?」と参加する。

「あれは、冬のボーナス!俺だってそれくらい持ってる時あるわ!」とムキになる。

婆ちゃんは、小声で「隆二、自首する前に、金の隠し場所を婆ちゃんに教えてから、自首するんじゃぞ!」と言って笑った。

「俺じゃないって!」と隆二はふくれた。


 後日


 足の怪我から復帰した隆二は白バイでパトロールにでていた。

 街中で三億円事件のポスターを見かけ、白バイを停めて、ポスターを眺めていた。

「そんなに、似てるかな?」とポスターの前にいると、そばを通りかかった女子高校生3人組が、

「やだ!三億円の犯人がいる!」と大声を上げた!

隆二は、「ちょっと待て!俺は本物の警官だ、やめなさい!」と言うが見る見る人だかりが出来た。「三億円の犯人⁈」「本当だ似てる!」と騒ぎが大きくなる!

「お前ら!俺は本物の白バイ隊員なの!大体犯人が白バイの格好をして街中にいる訳ないだろ!

落ちつきなさい!俺じゃ無いって!」と警察手帳を出して周りに出来る人だかりに見せて歩く

「おい誰か110番しろ!」「三億円の犯人だ!」と騒ぎが更に大きくなる!

「だから!俺じゃないって!」

街中に隆二の叫び声が響いた。

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