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源氏物語溺愛逆行絵巻―紫の上を失った光る君は、もう一度春へ戻る―  作者: 木風
第二帖 紅葉賀

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紅葉賀③

秋の夜は深く、朱雀院の奥御殿は、水底の闇のように沈みきっておりました。


月は濃い雲ににじみ、すべての灯を落とした藤壺の宮の御殿には、沈香の甘く重い気配だけが夜気に絡まり、深い底へ沈むように満ちています。


光る君は忍び慣れた垣根を越え、息を殺して回廊を進みます。

自らの胸の鼓動が、闇に反響する太鼓のように激しく耳へと打ちつけます。


御簾の奥から、かすかな衣擦れと、抑えきれぬ湿った吐息が聞こえました。


藤壺の宮は、この夜の訪れを知りながら逃げも拒みもせず、

ただ宿命に追い詰められたように震えている——

その細い影が御簾越しに浮かび、光る君の胸に鋭く突き刺さりました。


「宮……」


切実な声で名を呼ぶと、藤壺の宮は小さく喉を震わせ、息を呑んだ気配を見せます。

恐れと、それを覆うような甘い予兆が混じった微かな震え。


御簾を細く上げて中へ入ると、濃密な闇の中に浮かぶ白い御顔が、憂いを極めた気配を帯びておりました。

沈香の甘さと、藤壺の宮の肌から立つほの温い香が、光る君の理性をゆっくりと麻痺させ、震える腕を、光る君は力任せに引き、抱き寄せました。


薄絹一枚の姿で畳に膝をつく藤壺の宮。

雲間からこぼれたわずかな月光が、その白い輪郭を幽玄に照らし、影が薄く揺れては消えます。

藤壺の宮は逃れようとはせず、ただ、運命の奔流に逆らう力を持てぬ者のようにふるえているばかり。


「……なんと、恐ろしいことを……」


藤壺の宮の声は掠れておりましたが、その底に潜む艶めいた震えを、

光る君が見逃すはずもありません。


「一度だけでございます……今宵の、この一時だけ……

どうか、受け入れてください」


光る君がそう告げると、藤壺の宮は諦念の色を浮かべ、

そっと目を伏せました。

そのまま、抗う力を失い、ゆっくりとしなだれる身体を、

光る君は渇望のままに抱き寄せました。


光る君が、罪の意識を打ち砕くように背後から腕を回すと、

熱を帯びた指先が白い胸元に触れた瞬間、藤壺の宮は小さくビクッとのけぞりました。

光る君は、そのまま罪を分け合うように、彼女の繊細な耳元へ唇を寄せ、そっと甘い息を吹きかけると、腰の奥がびくりと跳ね、抑えきれぬ吐息を漏らし、膝が崩れ落ちます。


「んんっ!」


肌と肌の距離が、ひどく残酷で、ひどく甘い境を生みました。

月の光を受けた薄絹がふわりと揺れ、藤壺の宮の細い肩にかかった瞬間、押しとどめるような息をひとつ漏らし、膝が力を失って畳へ沈みます。


「……あっ……」


その吐息が、光る君の耳元で震えながら砕けました。


光る君は、二人を閉じ込める闇の静けさを破らぬよう、

けれど渇望を抑えきれぬまま、藤壺の宮のかすかな震えへゆっくりと身を寄せます。


十二単の分厚い帯を解く光る君の指は、激しい熱情ゆえに震えていましたが、この禁忌を犯すことへの迷いは、もはや欠片もありませんでした。

まとう衣が層をほどくたび、絹の水が流れるように滑り落ちていきました。


衣が畳に静かに降り積もる音だけが、夜の闇を密やかに震わせます。


重ねの色目の奥から現れた白い肌は、月光に透かされるたび、

影と光が交互に揺れては消え、

まるで触れれば壊れてしまう霜の花のようでございました。


光る君の視線は、その揺らぎに囚われたまま離れません。

沈香の香が満ちる闇の中で、藤壺の宮の震えが波紋のように伝わり、

彼の胸の奥の、罪と渇望の境界を静かに溶かしていきました。


彼はただ、震える藤壺の宮の肩へそっと額を寄せ、

祈りのように、罪のように——

そのたしかな温もりを、一度きりの幻のように抱きしめました。


夜の闇は深く、沈香の匂いと、藤壺の宮の肌の匂いが混じり合い、

首筋から鎖骨へ、そして豊かな胸のふくらみへと、彼の熱い唇はそっと触れていきます。


「だめ……んうっ……声が……誰かに……」


抵抗しようとする掠れた声も、その熱に掻き消され、

すぐに熱に浮かされた甘い吐息へと変わってしまいます。

震える息は、抑えようとしても抑えられず、甘い余熱へと変わり、喉奥でほどけてゆきます。


藤壺の宮の抗う声音とは裏腹に、その身を覆う薄絹の下では、

太腿の内側までジン、ジンと痺れるような熱が広がっていました。

光る君は、愛と罪の交錯する激情のままに彼女を畳へと抱き伏せ、露わになった胸元へ再び顔を寄せます。

白い胸元は月に照らされ、濡れたように艶めいていました。

指先でそっとなぞり、次にその温もりを確かめるように強く抱きしめると、

堪えきれぬ感情に、藤壺の宮は光る君の肩の肌に爪を立てました。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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