選ばれし者
初めまして!咲良-sakura-と申します!
今回の作品は私のデビュー作となっております⟡.·*.
一部内容が伝わりづらかったり、読みづらいことがあるかもしれませんが、多めに見ていただけるとありがたいですm(*_ _)m
ノエルとアズサの友情が起こす、奇跡の魔法少女物語を是非お楽しみください!!
学校の帰り道、ほとんど沈んだオレンジ色の夕陽が、街を柔らかく染めていた。
ノエルとアズサは、いつものように並んで歩く。
二人は幼い頃からずっと一緒で互いの癖も性格も、ほとんど知り尽くしている。大切な幼なじみであり親友だ。
「ねぇ、雲ってどんな味がすると思う?」
唐突にノエルが空を見上げながらアズサに聞く。
わたあめかな?いやチョコの味がしたりして…?なんてブツブツと呟いている。
「……また始まったよ…」
アズサは苦笑する。
冷静でいつもツッコミ役の彼女は、そんな会話も慣れたものだ。
ただ――アズサには、普段の冷静さを失う瞬間がある。
それは、魔法少女の話になる時。
子どもの頃、テレビで観た魔法少女アニメ。
変身バンクに胸を躍らせ、魔法で世界を救う彼女たちに心を奪われた。
いつか自分も――そう願う気持ちは、今でも胸の奥で輝いている。
「ねぇ今日の月、やけに大きくない?」
アズサの視線の先には東の空に丸く輝く月があった。
「ホントだ!月ってお饅頭の味がするのかな…」
「いや、もうその話はいいから!」
いつも通りノエルの妄想にツッコミを入れつつ、アズサはもう一度視線を月に戻す。
その時ふと、風が止まり、時間が緩やかに流れ始めたような気がした。
先程まで街を照らしていた夕日も沈み、辺りは夜が訪れ始めていた。
――光の粒が空から降り注ぎ、その中から、ひとりの女性が舞い降りてきた。
紺色の髪は夜空に溶けるようで、そして背中には夜空のような衣を纏っている。
その存在は、まるで神話の女神のようだった。
「あなたたちは……選ばれし者。私の名は夕月…」
夕月-ゆうげつ-が静かに告げる。
その瞬間ノエル、アズサの手がそっと光り始める。二人の手のひらには、光り輝く小さな三日月のペンダントが現れる。
「これを使えば、あなたたちは魔法少女になれる」
ノエルは困惑した表情でペンダントを見つめる一方、アズサは興奮を隠せず、既にペンダントを身につけている。
「……本当に? あなたは一体……?」
先程のノエルとは一変して冷静に夕月へ問いかける。
しかし夕月は微笑むだけで、ノエルの問いには答えようとしない。
「ルナリア界という月の世界で、こより姫が闇の力によって眠らされてしまったの。
彼女を目覚めさせるために……あなたたちの力が必要なの」
その言葉とともに、夕月の指先は闇の方を指す。
そこには、影に覆われた大きな何かが怪しくうごめく姿があった。
「貴方たちならきっと出来る__。」
次の瞬間、二人の体が光に包まれた。
ノエルは結ばれていた髪がふわりと解け、ハーフツインへと変わり、白とピンクを基調とした可愛らしい衣装へ。
胸元の大きなピンクのリボンは、まるでノエルを表したかのように華やかだ。
アズサの下ろしていた髪は、サラリとしたツインテールに結ばれる。
ノエルとは対称的な黒と金を基調とした衣装で、アズサのクールな性格にピッタリだ。
「ほ、ほんとに……変身しちゃったよ!?」
ノエルは驚きで固まってしまう。
そんなノエルとは対称的に、
「ヤバい! マジでなれちゃった!!」とアズサは興奮しきっていた。
いつの間にか出現していた大きなステッキをまじまじと見つめている。
そんな中、大きな闇が2人の元へ襲いかかる。
「ねぇノエル!今の私たちならなんだってできる気がしない?」
憧れの存在になれたからか、アズサの普段の冷静さは一切感じられなくなっていた。
「でもあんな大きな敵、うかつに飛び込んじゃ…!」
ノエルの忠告を聞くことなく、アズサは闇の元へ飛び込んでいく。そしてノエルもその後を追いかける。
ステッキから魔法を繰り出し、既に魔法少女に慣れつつあるアズサ。
「いや、ホントに…。どうなってるの、?」
困惑したまま、ノエルはアズサのサポートに回る。
魔法の光が闇を切り裂き、敵の影を祓っていく。
そして――何とか勝利を掴んだ。
「これからも……その調子で」
何処からか見守っていた夕月は静かに微笑む。
そして夜の闇の中へそっと消えた。
アズサは変身が解けたにも関わらず、まだ興奮の余韻に包まれていた。
一方ノエルは月を見上げながら、胸に小さな不安が芽生える。
「これから……どうなっちゃうのかな……」
満月の光が二人を照らす。
その未来に何が待ち受けているのか――まだ、誰も知らない。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございます!
ノエルとアズサは魔法少女になってしまった訳ですが、この先の二人の結末は一体…?
第2章以降は不定期にはなってしまいますが、公開していく予定です。気長に待っていただけると嬉しいですm(*_ _)m