お金がほしい!⑦
突如、黒幕の男が不気味な笑い声を上げた。
「クックック……! こうなったら、真の姿を見せてやろう!!」
そう叫ぶと、舞台は怪しいケムリに包まれ、
次の瞬間——
「スチール・デストロイヤー!!」
全身が黒い金属で覆われた怪人が登場した。
「な、なんだと!?」
サル爺が驚きの声を上げる。
「さあ、サルレンジャーよ! 貴様らなど、鉄クズにしてやる!!」
怪人は、鋭い爪を振りかざし、猛然と突進する!
ドガッ!
「ぐああっ!!」
サル爺が吹っ飛ばされた!
続けて、グリーン、イエロー、ピンクも次々と倒されていく。
会場の子どもたちからも悲鳴が上がる。
「サルレンジャーが負けちゃう!!」
「がんばれーー!!」
——そんな中、悠真だけが無傷で立っていた。
「……え?」
突然の展開に、悠真は戸惑いを隠せない。
(いやいや、ちょっと待て。なんでおれだけ残ってんの!?)
すると、倒れたはずのサル爺が小声で囁いた。
「……今じゃ……悠真……!!」
「え?」
「最初はガップリ四つに組んで、あとは流れで……」
適当なアドバイスを残し、サル爺は倒れたフリを続ける。
(いや、流れって何!? そんなフワッとした指示ある!?)
悠真は、心の中で叫びながらも、観客の視線を一身に浴びていることを実感した。
会場は、完全にヒートアップしている。
(……もう、やるしかねえか)
悠真は腹をくくった。
そして——
「お前なんかに、この街は渡さない!!」
と、観客の熱気に押されるように、自分なりにセリフをアレンジして叫んだ。
——すると、客席から大歓声が上がる。
「サルブルーがんばれーー!!」
「やっつけろーー!!」
悠真は、勢いに任せてポーズを決める。
(……意外と、悪くないかも?)
そんなことを思いながら、ふと観客席を見た悠真は、あるものを目撃してしまった。
千鶴と雪が、めっちゃニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「……っ!!?」
悠真の顔が、一瞬で熱くなった。
(なんでいるんだよおおおお!!!)
心の中で絶叫しながらも、悠真のサルブルーとしての戦いは続くのだった……!!!




