お金がほしい!⑥
ストーリーは、ついに佳境を迎えた。
街で起きていた連続窃盗事件。
公園の水道の配管や、側溝の金属製の蓋が次々と盗まれるという事件の黒幕が、ついに明らかになる。
「お前が犯人だったのか!!」
サル爺が、ビシッと犯人を言い当てる。
そこに、黒ずくめの男が登場。
「クックック……そうさ! この街の金属をすべて売り飛ばし、一攫千金を狙ってやるのさ!」
黒幕は、わかりやすく動機を語る。
「絶対に許すなー!!」
「犯罪者は吊るせー!!」
一気にヒートアップする客席。
(……いや、なんか熱量すごくない?)
悠真は、客席の異様な盛り上がりに少し引いていた。
サルレンジャーの面々も、そんな観客の熱に当てられたのか、妙にノリノリになっている。
「日本はワシたちが守る!!」
サル爺が、拳を握りしめて決め台詞を放つと——
「そうだ!! 政治家は日本人のために仕事をしろー!!」
と、観客席のどこかから、妙にリアルな声援が飛ぶ。
(いや、もはや話の軸がズレてないか!?)
悠真は、心の中で冷静にツッコミを入れながら、
——やっぱり、おれ、この場にいなくても成立するよな……
と、改めて場違い感を覚えていた。




